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よみうり写真大賞 第29応募要綱
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写真家 倉沢栄一さんに聞く


第29回よみうり写真大賞・作品募集 テーマ部門(一般)「ゆかいな仲間」

 ◆感動した時がチャンス


倉沢栄一さん
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 全長40〜50センチあるフサギンポ。岩に隠れて、どこかとぼけた顔を出している(北海道・羅臼町沖、水深12メートルで)
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 街中でも何かテーマを、と始めたシリーズ。肩車する親子が少なくなったというコラムを読んだのがきっかけ(東京・新宿区西落合で)
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 楽しく踊るときの場面で、生命力にあふれた一瞬の輝きを見つけた。日本独自の「瞬間」に魅せられて引き込まれるよう、輪に加わらせてもらった……。

 第29回よみうり写真大賞は「報道」「テーマ」「デジタルアート」「ファミリー」の4部門で作品を募集中です。今年のテーマ部門(一般の部)のテーマは「ゆかいな仲間」。今回は日本の海にこだわり、魚だけでなく環境・海と人間のかかわりを見続けてきた写真家の倉沢栄一さん(46)に話を聞いた。

■漁師もうなる

 生まれも育ちも新宿。釣り好きの父親と共に出かけた海での素潜り体験が、倉沢さんの魚との出会い。すぐ目の前で泳ぐ魚の姿に感動した。大学の水産学科を卒業後に就職したダイビング雑誌で、多くの水中カメラマンと一緒に国内外の海を回り写真を学んだ。その後はフリーランスで日本の海を潜り続け、20年の足跡を600点の写真にまとめた写真集「日本の海大百科」を2001年に出版。

 そこには亜寒帯から亜熱帯まで、流氷からサンゴ礁にいたる日本近海の海中風景や、膨大な種類の魚やアザラシ、クジラなど哺乳(ほにゅう)類の写真が並んでいる。「魚やアザラシにこんな顔があったんだ」。写真は地元漁師もうならせた。

■魚と駆け引き

 「図鑑に載せるような写真ならバンバン撮ればいいのですが、魚にも表情があります。興味を示していたり、動揺していたり。餌を求めている魚は物欲しそうな顔をします。その魚がおどおどしている時は、驚かせないように一端引いたり、魚から視線をはずして、もう少し近づけないか、しばらく様子を見ます」。倉沢さんが無言の被写体から表情を引き出す「駆け引き」だ。

 「写真自体はカメラが撮ってくれます。そこに命を吹き込むのが自分の仕事。本当に心が動いたときにシャッターを切ります。自分が感動しないと人を感動させられませんから。きれいさで写真をまとめることはできますが、それは作った感動かもしれない。それでは人を心から感動させられないと思います」

■肩の力をぬいて

 今から19年前、1988年8月、北海道・えりも町に移り住んだ倉沢さんは、地元の漁師さんに顔を覚えてもらおうと、毎日浜に出て漁師にレンズを向けていた。「何撮ってんだ」と言われたこともたびたびあったが、浜に出続けた。

 フリーランスになったが、自分の写真に自信が持てないでいたある日、古老の漁師が山のような拾い昆布を肩に担いで、強い向かい風の浜の斜面を一歩一歩踏みしめて上がってきた。足取りを追って写真を撮っている時に「手応え」を感じた。「こういう風に心が動いた瞬間にシャッターを切れば、自分の写真になるんだな」とそのとき思った。

 その後、倉沢さんの写真の撮り方が変わった。「撮れなければ撮れないでいい。1回潜って1枚あればいいじゃないか。肩の力を抜いて、1カットでも拾って帰ろうと思えたときにドンドン被写体が見えてきました。いい写真が撮れないからダイビングがつまらなくなるのでは本末転倒。撮れないなら水中での浮遊感を楽しめばいい。そのうち向こうから視野に飛び込んできますから」

■被写体へのアプローチ

 漁師の船に乗せてもらうときも、倉沢さんはまずは「漁師の仕事場にお邪魔します」という気持ちが最優先で、カメラを出すのは二の次。「漁師を観察してカメラを出すタイミングを待ち続けます。それが明日になるか、いつになるかはわかりませんが……」。自然な関係を作り、それからカメラを出すようにしている。そうやってていねいにアプローチしても、「被写体との距離感が難しい。人を撮るということは、それだけ難しいのでしょうね」と語った。

倉沢栄一さん 東京生まれ。自然写真家。北海道・えりも町を拠点に国内外の海に潜り数多くの作品を制作。2001年からはハイビジョンカメラによる撮影も手がける。04年第20回東川賞・特別賞受賞。主な著作に「日本の海大百科」(阪急コミュニケーションズ)、「アザラシの棲む岬から」(平河出版社)、「二十歳になったジュゴンのセレナ」(徳間書店)がある。

2007年10月11日  読売新聞)
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