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    ヒトといっしょ

     ロボットと人が同僚のように働く。かつて映画や小説に描かれた未来の光景が、目の前にある。

     貨幣処理機や自動販売機などの製造会社「グローリー」の埼玉工場(埼玉県加須市)では、労働人口の減少に備え、従業員と同じ作業を行うロボットを導入している。故障したら人が代役を務め、人が足りないときはロボットが加勢する。「黙々と働き、そっと部品を置いてくれる。肩を並べているのが、人かロボットかを意識することはないですね」と女性従業員は話す。

    • 人型ロボット「ペッパー」の使用目的に沿ったアプリを作成する体験が出来るソフトバンクの施設。人の声や表情を読み取り、感情を察するロボットは、世の中の様々な要望で、より進化していく(東京都千代田区で)
      人型ロボット「ペッパー」の使用目的に沿ったアプリを作成する体験が出来るソフトバンクの施設。人の声や表情を読み取り、感情を察するロボットは、世の中の様々な要望で、より進化していく(東京都千代田区で)

     今年1月、政府は「ロボット新戦略」をまとめた。最先端の技術開発を強化し、さらに2020年の開催を目指す「ロボットオリンピック」を発表するなど、この分野で世界をリードする狙いだ。

     産業用ロボットの年間出荷額、国内稼働台数ともに世界一の日本だが、店舗や家庭などで活躍するロボットにも注目が集まる。ソフトバンクが開発した「ペッパー」を一般向けに販売したところ、受け付け開始からわずか1分で完売した。東京都千代田区の廃校になった中学校の一角に、同社が開設した施設では、仕事帰りの会社員らがペッパーを制御する「アプリ」の開発を体験し、ロボットを進化させる醍醐だいご味を味わっている。

     大阪大学大学院・知能ロボット学研究室は、人とのコミュニケーションを目的とした研究を進めている。顔を認識し表情を変えながら対話できたり、人間そっくりの外見だったりするロボットを、街角や病院などで実験し、社会での役割や活用法を探る。同研究室の石黒浩教授(51)は「人との対話を目的とすると、まだ赤ちゃんの段階。感情や思考を持たせる分野は、大きく伸びる余地がある」と言う。

     人とロボットが心を通わせ共生する社会が、すぐそこまで来ている。

     写真と文 竹田津敦史
     (4月7日から6月25日に撮影)

    • ロボットと従業員が貨幣処理機の部品組み立てで協業する「グローリー」の埼玉工場。ロボットには海外の通貨にちなんだ名前が個別に付けられ、細かい作業も従業員と同じようにこなしていく(埼玉県加須市で)
      ロボットと従業員が貨幣処理機の部品組み立てで協業する「グローリー」の埼玉工場。ロボットには海外の通貨にちなんだ名前が個別に付けられ、細かい作業も従業員と同じようにこなしていく(埼玉県加須市で)

    • 人間の腕の動きに似せるため、情報通信研究機構と大阪大学が研究を進めるロボットアームには、複数の空気圧シリンダーが組み込まれている(大阪府豊中市で)
      人間の腕の動きに似せるため、情報通信研究機構と大阪大学が研究を進めるロボットアームには、複数の空気圧シリンダーが組み込まれている(大阪府豊中市で)

    • 複数で同時に会話することを目指す小型ロボット。人と視線を合わせたり、うなずいたりして会話を盛り上げるレベルを目指す。科学技術振興機構が開発し大阪大学で研究が続く(大阪府豊中市で)
      複数で同時に会話することを目指す小型ロボット。人と視線を合わせたり、うなずいたりして会話を盛り上げるレベルを目指す。科学技術振興機構が開発し大阪大学で研究が続く(大阪府豊中市で)

    • 日本科学未来館で科学コミュニケーターとして働く人間酷似型ロボットの「オトナロイド」(左)。来場者は人間そっくりに表情を変えるロボットと会話を楽しんでいた(東京都江東区で)
      日本科学未来館で科学コミュニケーターとして働く人間酷似型ロボットの「オトナロイド」(左)。来場者は人間そっくりに表情を変えるロボットと会話を楽しんでいた(東京都江東区で)

    2015年06月29日 14時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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