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    君は未来から来た友達

     「手を伸ばして――。イチニ、イチニ」

     高さ40センチほどの人型ロボットが、かけ声とともに両腕を動かすと、約20人の高齢者が両腕を一緒に動かした。

    • 利用者にかけ声をかけながら体操する「パルロ」。2012年に登場したパルロは、高齢者福祉施設向けモデルを中心に全国で約1000台が活躍している(東京都世田谷区の「ベストケア・デイサービスセンター桜新町」で)
      利用者にかけ声をかけながら体操する「パルロ」。2012年に登場したパルロは、高齢者福祉施設向けモデルを中心に全国で約1000台が活躍している(東京都世田谷区の「ベストケア・デイサービスセンター桜新町」で)

     介護施設「ベストケア・デイサービスセンター桜新町」(東京都世田谷区)では午後のレクリエーションで、小型ロボット「パルロ」が体操の“指導者役”だ。システム開発会社の富士ソフトが手がけるパルロは、AI(人工知能)を搭載し、カメラの目で利用者や介護スタッフを記憶し、名前を呼ぶことも出来る。体操以外に利用者の好みに合わせて歌も披露することができ、高齢者からは「たいしたもんだ」という声も上がる。人手不足の介護現場で人気者だ。

     AIなどを搭載した人型ロボットが人間社会に入ってきている。

     10月、新宿高島屋(東京都渋谷区)では、ロボット専用売り場がオープンし、品定めする人たちで連日にぎわう。ロボットに「明日の天気は」と話しかけると「一日中、雨ですよ」と子供のような優しい声で答えた。ロボットの「個性」がわかると好評で、今後は売り場を拡張し、他店舗でも展開していくという。

     ロボットはどこまで進化するのか。情報通信研究機構の長井志江ゆきえ主任研究員(前大阪大学大学院工学研究科特任准教授)の研究グループでは、視覚と聴覚で相手の「情動」を知るロボットの研究を進める。相手の表情や声を見極めて、ロボットの表情も変化させる試みだ。

     人型ロボットを研究する早稲田大学理工学術院の尾形哲也教授は「近い将来、私たちの生活に適応し、ごく自然にコミュニケーションできるようになると期待している。ロボットが便利で役立つと感じてもらうことが必要だ」と語った。

    (写真と文 加藤学)

    • 相手の険しい表情を見て、まゆ毛をつり上げる「アイカブ」。認知研究用にイタリアで開発され、視覚、聴覚信号を検出し、刺激に応じてまゆ毛と口の形で怒り、喜び、悲しみなどの情動の変化を表す(大阪府吹田市で)
      相手の険しい表情を見て、まゆ毛をつり上げる「アイカブ」。認知研究用にイタリアで開発され、視覚、聴覚信号を検出し、刺激に応じてまゆ毛と口の形で怒り、喜び、悲しみなどの情動の変化を表す(大阪府吹田市で)

    • 10月にオープンした新宿高島屋のロボット売り場。訪れた米国在住の瀬部明さん(74)は「予定を教えてくれたり、会話が楽しめたりするロボットを探しています」と1台ずつに話しかけていた(東京都渋谷区で)
      10月にオープンした新宿高島屋のロボット売り場。訪れた米国在住の瀬部明さん(74)は「予定を教えてくれたり、会話が楽しめたりするロボットを探しています」と1台ずつに話しかけていた(東京都渋谷区で)

    • 体長10センチ、手のひらサイズの「キロボミニ」はコミュニケーションロボット。トヨタ自動車が5月に販売を始めた。「『愛車』の言葉があるように、ともに過ごすことで愛情を深めていくパートナーを目指している」と開発者の一人は語る(長野県安曇野市で)
      体長10センチ、手のひらサイズの「キロボミニ」はコミュニケーションロボット。トヨタ自動車が5月に販売を始めた。「『愛車』の言葉があるように、ともに過ごすことで愛情を深めていくパートナーを目指している」と開発者の一人は語る(長野県安曇野市で)

    • 尾形教授が取り組む人型ロボット「ネクステージ」は、カメラの目で対象物の位置や形状を判断し、タオルを折りたたむ。研究を重ねていく中で、ロボットはAIによって、自ら判断する力を身につけ始めている(東京都江東区で)
      尾形教授が取り組む人型ロボット「ネクステージ」は、カメラの目で対象物の位置や形状を判断し、タオルを折りたたむ。研究を重ねていく中で、ロボットはAIによって、自ら判断する力を身につけ始めている(東京都江東区で)

    • 最終工程の動作確認テストは「たいりょくそくてい」に励むキロボミニ(長野県安曇野市で)
      最終工程の動作確認テストは「たいりょくそくてい」に励むキロボミニ(長野県安曇野市で)

    • 量産される人型ロボット「キロボミニ」。工場内では最終工程の動作確認テストは「たいりょくそくてい」と呼んでいる(長野県安曇野市で)
      量産される人型ロボット「キロボミニ」。工場内では最終工程の動作確認テストは「たいりょくそくてい」と呼んでいる(長野県安曇野市で)

    • たくさんの愛情を注がれ生産される「キロボミニ」(長野県安曇野市で)
      たくさんの愛情を注がれ生産される「キロボミニ」(長野県安曇野市で)

    • 介護施設に導入された人型ロボット「パルロ」。普段は受付でただずんでいる(東京都世田谷区で)
      介護施設に導入された人型ロボット「パルロ」。普段は受付でただずんでいる(東京都世田谷区で)

    • まるで「心があるみたいだ」とロボットと会話を楽しむ介護施設の利用者たち(東京都世田谷区で)
      まるで「心があるみたいだ」とロボットと会話を楽しむ介護施設の利用者たち(東京都世田谷区で)
    2017年11月06日 15時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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