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    中朝国境 閑散の街

     天井に中国と北朝鮮の国旗を飾り付けた通路は、すべての照明が落とされ、昼間なのに薄暗かった。

    • 中朝貿易の拡大をあてこみ、丹東の郊外に設置された貿易特区。営業している店などはほとんどなく、静まりかえる。中国税関当局によれば、中国の10月の北朝鮮からの輸入総額は前年同月比62%減の約9070万ドル(約101億円)となった
      中朝貿易の拡大をあてこみ、丹東の郊外に設置された貿易特区。営業している店などはほとんどなく、静まりかえる。中国税関当局によれば、中国の10月の北朝鮮からの輸入総額は前年同月比62%減の約9070万ドル(約101億円)となった

     北朝鮮と鴨緑江を隔てて向かい合う、中国遼寧省丹東の郊外。中朝経済交流の促進を目的に、2年前に開かれた貿易特区はすっかりさびれていた。

     100以上の建築資材業者などが、ハングルや漢字の看板を掲げて入居するが、ほとんどが休業状態。中国人観光客向け免税店も6月にオープンしたが、客の姿はほとんど見えない。「夏頃まで忙しかったのに。北朝鮮の核やミサイル実験のせいだ」。男性店員はあきらめ顔だ。

     丹東は、中朝貿易の7割が通過する国境都市。北朝鮮から多くの労働者も受け入れる。中国が北朝鮮に供給する原油の地下パイプラインも、ここが起点だ。

     「ここ数か月ほど、商売はまったくだめ」。市内に事務所を構える貿易商はため息をつく。国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁が強化され、北朝鮮と不正な取引をする複数の企業が今年、米トランプ政権から独自制裁の対象に指定された。

     中朝の経済交流は、目に見える変化が起きている。早朝の丹東税関前には、毎日のように大きな荷物を抱えた北朝鮮の女性らが集まる。郊外にある、中朝共同経営の工場などで働いていた女性たちで、地元住民によれば「数十人単位で帰国している」という。中国政府は国連制裁を受け、あらゆる北朝鮮企業の中国での活動を来年1月までに停止するよう通達した。

     米国によるテロ支援国家再指定から間もない先月29日、北朝鮮は大陸間弾道ミサイルを発射。国連安保理は緊急会合を開き、米国は中国に原油供給停止を強く要求した。中朝国境に落ちる影は、緊張とともに濃くなっている。(写真と文 安川純)

    (11月7日から15日、中国遼寧省丹東で)

    • 中朝国境を流れる鴨緑江の観光ボートから北朝鮮の人々の生活が垣間見える。中国は有事の際に大量の難民が流入することを警戒する
      中朝国境を流れる鴨緑江の観光ボートから北朝鮮の人々の生活が垣間見える。中国は有事の際に大量の難民が流入することを警戒する

    • 中国が国連制裁の履行をアピールする一方、丹東では密輸が横行しているとされる。11月から国境沿いの道路で、より厳しい検問も始まった
      中国が国連制裁の履行をアピールする一方、丹東では密輸が横行しているとされる。11月から国境沿いの道路で、より厳しい検問も始まった

    • 中国から北朝鮮に供給される原油の備蓄施設。地下パイプラインの始点に当たり厳重に警備されている。パイプラインは金正恩政権にとっては「生命線」だ
      中国から北朝鮮に供給される原油の備蓄施設。地下パイプラインの始点に当たり厳重に警備されている。パイプラインは金正恩政権にとっては「生命線」だ

    • 北朝鮮に帰国するため、丹東税関前に集まる北朝鮮の女性たち。丹東市内の電子部品工場や縫製工場などで働いているとされる。給与は中国人のおよそ3分の1だが勤勉と評判だ。中国にいる推定数万人規模の北朝鮮労働者は金正恩体制の貴重な外貨獲得源となっている
      北朝鮮に帰国するため、丹東税関前に集まる北朝鮮の女性たち。丹東市内の電子部品工場や縫製工場などで働いているとされる。給与は中国人のおよそ3分の1だが勤勉と評判だ。中国にいる推定数万人規模の北朝鮮労働者は金正恩体制の貴重な外貨獲得源となっている

    2017年12月04日 15時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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