「まるで国政選」首都決戦、党の顔ら奔走「経験と実績」を強調する麻生首相に、「変革」を訴える鳩山代表。3日告示され、42選挙区で9日間の熱戦が始まった東京都議選で、自民、民主両党のトップは、それぞれ衆院解散・総選挙を強く意識しながら候補者たちの応援演説に立った。 都議会第1党を維持したい自民と、議席の大幅上積みで政権奪取の足がかりを目指す民主の対決の構図が強まる中、景気や雇用の悪化で安心して暮らせる社会が揺らぎ、都政の課題も山積み。過去最多1066万有権者の首都決戦への判断は――。 ◇ 「新しい人は何でも言えるが、無責任になる。やはり経験と実績が大事だ」。麻生首相が「天下分け目」となる今回の都議選で応援演説のスタート地点に選んだのは、激戦が予想される青梅市。午前10時15分、JR青梅駅前に到着すると、約800人の聴衆を前に熱弁をふるった。 定数1の同市選挙区は、自民党のベテラン都議に、民主党の新人候補ら2人が挑む構図で、自民都連が「第一声」の場として要請した。約20分間の演説中、首相は民主党の鳩山代表の献金問題を持ち出し、「個人献金ならば全部、善だと言っていたが、死んだ人からの『故人献金』になっていた。どう考えてもおかしい」と批判も忘れなかった。 石材店経営岩浪武夫さん(53)は「定額給付金やエコポイント制度の創設など、首相が国民生活を考えて精いっぱい頑張っていることがよくわかった」と期待を込めたが、続いて行われた文京区での首相の演説を聞いていた自営業男性(72)は「麻生さんの熱弁は、独りよがりな気がした。都議選の候補者は恩恵にあずかれるかなあ」。 細田博之幹事長ら党幹部5人も、午前中から都議候補の応援に駆け回り、「政権を民主党に渡すわけにはいかない」などと必勝を呼びかけた。 公明党の太田昭宏代表は荒川区の京成町屋駅前で第一声。「都議選は都民の生活を守るため、どの政党が一番、仕事をしているかを問い掛ける選挙だ」と何度も拳を突き上げた。ほかにも北側一雄幹事長や浜四津敏子代表代行も都内各地に繰り出し、支持を訴えた。 太田代表の演説を聞いていた区内に住む会社員田中重安さん(65)は「公明党が都議選をしっかりと戦って勝つことで、次の衆院選もはずみがつくはず」と話していた。 ◇ 民主党の鳩山代表、菅直人代表代行は午前10時過ぎ、移転問題に揺れる中央区の築地市場に顔をそろえた。鳩山代表が「いよいよ首都決戦の夏がやってきた。皆さんの1票で東京を、日本を変えようではありませんか」と声を張り上げると、集まった聴衆約500人から大きな拍手が起きた。 「築地市場を移さなければいけない明確な理由はわからない」という鳩山代表の訴えには、鮮魚店を経営する斉藤善明さん(62)も、「移転は絶対に反対。アメリカのように政権交代しなくては何事もよくならない。国政も同じだ。チェンジだ」。ただ、場外市場で食材を販売する坂田政則さん(45)は「今さら移転中止は現実的ではない。民主が勝っても何も変わらないだろう」と冷ややかだった。 観光客や市場関係者で込み合う市場付近は、交通整理や警備にあたる警察官が至る所に立ち、物々しい雰囲気。仕入れに来たすし店の男性(51)は「まるで国政選挙ですね」。 岡田克也幹事長は、JR日暮里駅前で、自民、公明が2議席を独占する荒川区選挙区の応援演説に立ち、「都議選と総選挙は一体だ」と訴えた。区内の主婦(48)は「自民は末期的症状だけど、民主も代表の献金問題でごたごたしている。どちらを支持するか迷ってしまう」と話した。 共産党の志位和夫委員長は、杉並区のJR荻窪駅前で都議候補の応援に駆けつけ、400人以上の支援者を前に、「石原都政は福祉の予算を削減してきた。東京から福祉の心を取り戻そう。共産党は都民の暮らしを守る唯一の政党」と強調。区内のアパート経営佐竹一郎さん(87)は「高齢者に自民党や公明党は冷たい。福祉を切り捨てるような政治は許せない」と語った。 東京・生活者ネットワークの山口文江代表は午前10時過ぎ、練馬区の西武池袋線の練馬駅前で第一声。若草色のそろいのTシャツを着込んだ支援者の女性ら約50人とともに「社会全体で育児や介護を支えることができる仕組みを作りましょう」と呼び掛けた。 社民党の福島瑞穂党首は午前、大田区のJR蒲田駅前の広場で公認候補の応援演説を行い、「都議会には社民党が必要」と声を上げた。 (2009年7月3日13時22分 読売新聞)
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