
IT企業経営
家入一真さん |
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情報が無尽に行き交うインターネットの世界で、社名に「新聞少年」と掲げたIT社長がいる。ベンチャー企業「paperboy&co.」の家入一真社長は、6年前に22歳で起業した。今や東京・渋谷の高層ビルにオフィスを構える家入社長は「新聞配達が人生の転機」と理由を語る。
家入社長の転機とは、「引きこもりからの脱却」だ。中学時代、友達とのけんかがきっかけで対人関係につまずいた。「街で自分と同世代の人を見るだけで居たたまれず、家に引き返すようになった」。高校1年で中退し、3年ほど、パソコンに興じたり、絵を描いたりと、自宅にこもった。「大学で絵を勉強したい」。やっと希望を抱き始めたころ、地元・九州の地方紙に新聞奨学生募集の記事を見つけた。住み込みで新聞配達をしながら学費を稼ぎ、学校に通う制度だ。ついに家を出て、配達所の寮で約2年過ごした。
深夜2時ごろ起床し、早朝6時まで朝刊を配達。予備校から帰ると、夕刊を配った。引きこもり時代は人目を避けて深夜しか外出できなかったから、夜更けの朝刊配達も「あまり人に会わなくていいのが気楽だった」という。配達所では、朝食前に新聞を読むのが日課だった。「福岡で事件があったとか、なめるように読んでいました。思えば、新聞を配る≠セけでなく読む≠フも、僕にとって社会との接点になった」
IT関連会社に就職したが、「家族と過ごすため、在宅で仕事を」と独立。利用者個人で気軽にホームページやブログを持てるサービスが成功した。「これまでは利用者の自己表現をサポートしてきましたが、これからは自分たちも情報を発信していきたい」と、さらなる展開を目指す。
読売新聞には「ITの話題も充実している」と感じている。ITビジネスは、世界中に張り巡らされたネットワークを舞台に、めまぐるしく変化する。家入社長でさえ、言葉で説明するのが難しいこともあるという。ニュース用語を解説する「クリップ」など、「最新の動向も一般的な言葉で的確に説明していますね」と評価する。「僕は、ネット上の現象を現実社会の身近なものに置き換えて考えるんです。社会面の記事を見て、これだ!とひらめくときもあります」
ITの進化は新聞の脅威だという人もいるが、家入社長は「新聞の情報を毎日ネット上で見ようと思ったら、実は膨大な量であきらめてしまうのでは」と異議を唱える。「それに、家庭からお父さんの新聞を読む姿がなくなったら寂しいですよね。紙を持つ感覚も必要だし」。そう言って、新聞を手に取るジェスチャーを見せた。流れるような慣れた手つきに、新聞への深い愛着がにじみ出ていた。
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