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今、注目される「企業のCSV」とは?

2016年12月14日

「貢献と戦略」で共通価値創る

「企業の社会的責任」を意味するCSR。今や企業は環境や労働面に取り組まなければ社会から信頼されない。そして、今新たに注目されているのが、「共通価値の創造」を意味するCSVなのだという。そのCSVについて、専門家に話を聞くとともに、実際の活動例としてコカ・コーラシステムの取り組みを紹介する。

特長生かしたブランド力

CSRとCSVは車の両輪

海野みづえ氏創コンサルティング代表
東京大学大学院非常勤講師
海野みづえ(うんの・みづえ)氏
1996年に株式会社創コンサルティング設立。独自の分析眼で戦略的CSR・サステナビリティ分野での経営の在り方を提言する。

 CSVはどのようなものなのか──。企業のCSR活動に詳しい創コンサルティング代表の海野みづえさんは、次のように説明する。

「企業倫理といったガバナンス(企業統治)体制の確立や、環境をはじめとする基本的なCSRだけにとどまることなく、自分たちの会社にとって特長あるCSRを事業戦略に取り込んで、企業と社会に共通する価値を積極的に創造していくものがCSVだ」

 海野さんによれば、「戦略的CSR」とも言い換えられるCSVの事業は大きく三つに分かれ、①再生可能エネルギー開発に代表される社会的な課題に対応していく事業、②長時間労働を改善して生産性を高めるようなCSRを克服する事業、③事業展開の上で社会貢献を積極的に活用する戦略的社会貢献がある。

「CSRとCSVは、あくまでも車の両輪の関係。企業が課題としてやるべきCSRがフィギュアスケートのショートプログラムなら、そのCSRを事業に組み込んで自社の特長や強みを際立たせるCSVはフリープログラムに当たる。そして総合評価をアップさせることで、世界中で信頼される企業としてブランド価値が高まっていく」と海野さんはいう。

CSVの概念図

 実際に、欧州の生活用品関連のグローバル企業は「すこやかな暮らし」「環境負荷の削減」「経済発展」という3本柱からなるCSRを事業戦略に組み込むことで、成長機会を開拓したり、競争力の強化へつなげ、世界中で企業のブランド価値を高めている。日本企業では、社会イノベーション事業でCSVを取り込んだ重電メーカーの例がある。

 そうした中で、コカ・コーラ社は「水資源保護」という飲料メーカーならではのCSRを軸に、地域の課題に合わせたサステナビリティ活動を世界で行っている。社会的課題に対応する事業の育成を進める同社の取り組みを、「グローバルに、そしてローカルに展開するCSV」と海野さんは評価する。

水資源の保護活動
“原料の水”安定的に調達

製造に使用した水と同量を自然に還元

ウォーター・ニュートラリティー

 コカ・コーラ社は、世界で製品製造に使用した量と同等量の水を自然に還元する「ウォーター・ニュートラリティー」を2020年に100%達成する目標を掲げており、日本でも積極的な活動を展開している。その根底には、大切な原料である水の安定的な調達とともに、地域社会の持続可能性への配慮という、CSVの考えが存在する。

 ウォーター・ニュートラリティーの具体的な取り組みは「水資源保護」「取水」「水質管理」「効率的水利用」「排水管理」の五つからなる。このうち取水と水質管理では、水源エリアを特定し、水質や地下水量に問題がないかを科学的に分析。少しでも製造に使用する水の量を減らすよう、製造工程や工場設備の見直しを行っている。

コカ・コーラウエストが水資源の保護活動を行っている宮崎県えびの市の豊かな自然

 清涼飲料メーカーの水の使途で特に多いのが容器の洗浄だ。たとえば効率的水利用において、宮崎県にあるコカ・コーラウエスト株式会社のえびの工場では、洗浄水をRO膜という特殊なフィルターを通して真水に戻し、繰り返し利用。そのリユース率は90%以上に達する。

 排水管理では、微生物を使った活性汚泥法などを利用して、工場内で排水を浄化。また、法律で定められた水質基準を上回る独自のマネジメントシステム「KORE」の基準を適用した徹底的な管理を進めている。

 残る水資源保護では、水源エリアの自然環境が持続的に水を育み、水を蓄える力を持ち続けられるよう、地域や専門家と協力しながら水源の保護に努めている。

 さらに、2006年からは次代を担う子どもたちを対象に「コカ・コーラ『森に学ぼう』プロジェクト」もスタート。15年は全国で4033人が参加した。

植樹通し自然学習 80人の親子が参加

11月5日に行われた「森に学ぼう」プロジェクトの様子。木の成育を促すために、参加者が下草刈りや枝打ちを行った

 このプロジェクトは、植樹などの体験学習を通じて、森の豊かさや水の大切さを学んでもらうもの。11月5日にはえびの工場の水源である「えびのさわやか自然の森」で、80人の親子が参加して行われた。

 当日は、森林組合関係者の説明を受けながら、カマを使った下草刈り作業や、ノコギリを使った枝打ち作業を実施した。

 指導した西諸地区森林組合の平奈緒美組合長は、「次代を担う子どもたちが木の成長を促したり、森の保水能力を高めるための活動に参加してくれることで、地元の森林と水の大切さを実感してくれるとうれしい」と語った。

 参加した親子からは、「森での作業は初めての経験だったが、こうした活動が森林や水源の保護につながることを知り、大変勉強になった。改めて自然の大切さを認識していきたい」という声があがった。

 えびの工場で使う水量は、水源全体で見るとわずか0.1%。それでも水源全体に目を配り、取水量を少しでも抑える努力を怠らない。「そうした各工場の取り組みにより、日本コカ・コーラシステムでは、15年末時点でウォーター・ニュートラリティーの達成率は86%と、予定を上回るペースで進捗している」と日本コカ・コーラ環境サステナビリティ部長・柴田充さんはいう。

森の保水能力を維持するための作業の大切さについて説明する森林組合の関係者

国際海岸清掃ボランティア活動
海への取り組みサポート

神奈川県三浦市の菊名海水浴場で行われたICC活動。240人が参加した

 10月26日、神奈川県三浦市の菊名海水浴場で、コカ・コーラ社による国際海岸清掃ボランティア活動(ICC)が行われた。汗ばむほどの秋晴れのもと、当日参加したのは、予定していた150人を大幅に上回る240人。午前9時30分から1時間30分かけて拾ったゴミの量は、合計で620キログラム以上になった。

 ICCは海洋生態系の保護を目的とする米国の環境NGOのオーシャン・コンサーバンシー(OC)が主催し、1986年から開始された。1日で行われる世界最大規模の海岸クリーンアップキャンペーンとして知られ、2015年度は94の国と地域で行われた活動に、約80万人もの人が参加している。

海岸のゴミを拾う参加者

 そのICCの特徴は、清掃だけではなく、拾い集めたゴミを種類別に分けてデータを取ること。この日は、ペットボトル450本、空き缶356本、ガラス瓶130本、ボトルキャップ608個のほか、漁船の一部やタイヤなどが回収された。

 自分たちが集めたゴミの量と、その種類の多さに改めて驚いた参加者の中からは、「世界中で行われている海岸清掃の一環として、今回は三浦海岸をきれいにすることができ、とてもよかった」という声が聞かれた。

世界各国でボランティア 日本でも07年から活動

 そのICCのリードスポンサーをザ コカ・コーラ カンパニーが1995年から務めており、世界各国のコカ・コーラ社員がボランティアで参加してきた。1年間で世界27の国と地域での活動に、社員と、その家族や友人など、合計2万4000人もの人たちが参加している。

 そうした中で、日本では07年からICCの活動をスタート。これまで、屋久島、霞ヶ浦や東日本大震災の被災地などで活動し、8年間で延べ513人の社員が参加してきた。今回の活動は、日本コカ・コーラ、コカ・コーライーストジャパンなどのコカ・コーラシステム社員に加え、三浦市役所、NPO法人グリーンバードなども参加した。

 自ら参加した日本コカ・コーラのティム・ブレット社長は「年を追うごとに社員の参加者が増え、地域のサステナビリティの活動に大きく貢献できていることはとても喜ばしい」と述べ、三浦市の吉田英男市長からは「企業として、素晴らしい活動に敬意を表する。また三浦市で活動していただきたい。」と謝意が示された。コカ・コーラ社では、これからもICCを通じて地域のサステナビリティのための活動に積極的に取り組んでいく方針だ。

取材協力=日本コカ・コーラ株式会社

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