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    ランニングに関するコラムやイベントの特集記事を掲載します。
    ドクター六花のランニング賛歌

    (32)最速市民ランナーと西湖ラン合宿

    • 西湖で開いたサマーランニングキャンプ。星野芳美さん(手前左)と一緒に、美しい風景のなかを走ります
      西湖で開いたサマーランニングキャンプ。星野芳美さん(手前左)と一緒に、美しい風景のなかを走ります

     暑い熱い8月に、“最速市民ランナー”星野(ほしの)芳美(よしみ)さんと「サマーランニングキャンプ in 西湖」と()うイベントを開催しました。富士五湖のひとつである西湖(山梨県)での、1泊2日のランニング合宿です。

     国内では10~12月に大きなレースが各地で開催されます。ランナーは自分の“勝負レース”に向けてトレーニングを重ねるのですが、ひとつのレースを走るための準備期間はおよそ3ヶ月。これは実業団選手でも市民ランナーでも一緒です。秋~冬の“勝負レース”に向けたトレーニングは、8月頃からスタートさせるのが理想的なのですが、30℃を超す8月に長距離を走るのは(つら)く、場合によってはカラダに悪影響が出る恐れもあります。そこで暑い夏でも涼しく走れる場所で、ランニングキャンプを企画してみました。

     標高900メートルを超す西湖は首都圏より6~7℃は気温が低く、カラッとしていて8月でも気持ち良く走ることが出来るのです。このイベントには日本各地から多くのランナーが参加してくれました。

    美しい湖、森、富士山…世界有数のコース周回

     土曜日(8/16)の午後、ランニングキャンプはスタートしました。初日のメニューは30キロ走です。フルマラソン(42.195キロ)に向けたトレーニングとして、30キロ走は非常に効果的なメニューなのですが、ひとりで30キロ走ることはなかなか困難です。

    • 走力に応じて3グループに分かれて走る30キロ走
      走力に応じて3グループに分かれて走る30キロ走

     参加ランナーの走力と、各自の希望にあわせて全体を3グループに分け、1キロあたり4分30秒、5分30秒、6分30秒のペースで走ります。各グループにはペースメーカーが付き、決められたペースでキッチリと先導します。

     走るのは西湖周回コースで、1周10キロの西湖を3周します。西湖畔の道路はクルマも少なく、ランナーのために1キロ(ごと)に距離表示の看板が設置されています。また、ホテル、民宿、キャンプ場などが点在する他は、あるがままの自然が残されており、美しい湖や森、富士山、御坂山塊などを眺めながらのランニングは、世界有数のランニングコースと云っても過言ではないでしょう。

     その美しい景色のなかを、僕は1キロ5分30秒のペースメーカーを務めながら走りました。まずは自己紹介をしながら、色々なハナシをしながら走ります。気温は26℃と涼しい西湖ですが、10キロも走ると全身から汗が噴き出してきます。15キロを過ぎると、辛くなってくるランナーが出てきます。各ランナーの足運び、息づかいなどに注意しながら、励ましながら走り続けていきます。5キロ毎に設けた給水所ではしっかりドリンクを飲んでもらいます。残念ながらペースについてこられなくなったランナーは、グループから離れてひとりで走り続けます。

    「30キロ走り切ろう」…無口な集団、重なる想い

    • キツイ後半、不思議な連帯感が生まれました
      キツイ後半、不思議な連帯感が生まれました

     20キロ(西湖2周)を過ぎて3周目に入る頃、集団にひとつの連帯感が生まれました。誰も(しゃべ)ることはなく無口で静かな集団だけど、ひとつの目的に向かって黙々と走る想いが重なりました。ひとりで走っていたら、辛くて歩いてしまうだろうけど「あと10キロ、みんなで頑張って走り切ろう」。無言のメッセージに支えられて30キロ走が終わりました。初めて会ったヒトばかりなのに、共通の目標に向けた強いチームワークが生まれたのです。

     30キロ走ったあとの夜は、トークショーやミニコンサートを行いました。国内の様々なレースで優勝している星野芳美さんの、レースにかける強い“想い”などを聴かせてもらいました。

    • 30キロ完走、オツカレサマでした
      30キロ完走、オツカレサマでした
    • 夜はトークショー&ミニコンサート
      夜はトークショー&ミニコンサート

    青木ヶ原樹海、トレイルランでほぐれる脚

     日曜日(8/17)は朝からトレイルランを行いました。参加者の半分近くはトレイルラン初挑戦のランナーであり、ゆっくりとしたペースで、青木ヶ原樹海の遊歩道を案内しながら走りました。

     舗装路を走るロードランでは使う筋肉が限られているのですが、アップ&ダウンを含めた不整地を走るトレイルランは、全身の様々な筋肉を使います。そのためロードランのあとにトレイルランを行うと、ストレッチ効果が高いように感じます。前日の30キロ走でパンパンになった脚が、トレイルランで徐々にほぐれていきました。

     午前中の柔らかな陽射(ひざ)しが射し込む樹海は、(こけ)むした溶岩や多彩な植生が美しく、時の()つのも忘れるほどの(たの)しいトレイルランでした。トレイルランの最後には、樹海のなかにある天然記念物「竜宮洞穴」に入り、ひんやりとした冷気にあたり清々(すがすが)しい気持ちになりました。

    • 2日目は樹海でトレイルラン
      2日目は樹海でトレイルラン
    • 竜宮洞穴の冷気に癒やされる
      竜宮洞穴の冷気に癒やされる

    最後は駅伝、そして温泉へ…「オツカレサマでした」

    • ランの最後は駅伝で全力疾走
      ランの最後は駅伝で全力疾走

     ランニングキャンプ最後のメニューは、3チームに分かれての駅伝です。約800メートルのコースを全員が必死に走り、苦しく愉しいランニングメニューは終了しました。

     走ったあとは温泉とBBQでまったりし、湖面を渡る風に吹かれてノンビリと過ごしました。

     「オツカレサマでした。またみんなで走りましょう」

    • たっぷり走った2日間でした
      たっぷり走った2日間でした
    • 最後はBBQでなごみます
      最後はBBQでなごみます

    筆者プロフィル
    福田六花
    (ふくだ・りっか)
     1965年2月24日、東京都生まれ。医師、ミュージシャン、ランナー。大学卒業後、外科医として勤務するうち、ストレスと暴飲暴食から93キロまで体重を増やす。31歳でランニングに夢中になり、30キロ以上のダイエットに成功。ランニングライフを極めるため、2002年に富士山麓の山梨県富士河口湖町に移住。現在は介護老人保健施設「はまなす」施設長(同町)をつとめ、マラソン、トレイルレースなど年間30レースに出場。レースのプロデュースや専門誌での連載などランニングの普及に力を注ぐ。フルマラソンのベストタイムは3時間06分01秒(2014別府大分マラソン)。
    オフィシャルサイトはこちら
    2014年08月21日 08時30分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    
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