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    走りを極めたアスリートや各界の著名人にインタビューします。
    第1回大会から大成功…「山形まるごとマラソン」事務局・石澤雄太さん

    準備期間は3年、プレ大会に2年を費やす

     ――昨年の大会で、ランナーに最も評価された点の一つが「ランナーがストレスを感じないスムーズな運営」ですが、いつから準備を始めたのですか?

    • 昨年の大会の記念品を見ながら「準備に長い時間をかけられた」と話す石澤さん
      昨年の大会の記念品を見ながら「準備に長い時間をかけられた」と話す石澤さん

     「開催が正式に決まったのは2010年秋です。それから、翌年4月にマラソン大会を開催するための協力会社として『アールビーズ』(RUNNET運営会社)を選定し、大会の開催に向けて調査を進めました」

     ――多くの自治体がマラソン大会を開いていますが、みんな専門業者のアドバイスを受けて運営されているのですか?

     「そういう大会が多いと思います。我々は、まったくノウハウがないゼロからのスタートでしたので、非常に助かりました。アールビーズからは、トイレや給水所の数、制限時間の設定など、いろいろな点について、参加人数がこのくらいの規模であれば、こうした方がいいのではないかという具合に、かなりの情報提供をいただきました。もちろん、こちらから質問もして、というのを繰り返して(評価が高かった)会場のレイアウトなども決めました。そういった意味では我々の力以上に協力会社のノウハウが大きいと思います」

    反省を生かす

     ――大会運営の経験を積むためにリレーマラソン大会も開催したそうですね。

    • 走り終えたランナーには芋煮がふるまわれた(山形市提供)
      走り終えたランナーには芋煮がふるまわれた(山形市提供)

     「2012、13年と2回やりました。市内にマラソン大会がないため、タイムや距離の計測の仕方も知らない状態でしたので、まずノウハウを得るためにやってみようと。最初の大会では準備していたテントや、更衣や手荷物預かりのスペースが参加者数に比べて足りないという経験もしました。レース開始前に激しい雨が降ってしまい、スタッフ用のスペースを開放するなどしましたが、混乱してしまいました。雨がすぐにやんだので助かりましたが……。非常に初歩的なことだったのですが、そのときには『ああ、こんなことも必要なんだな』と感じました」

     ――トイレの数や荷物預かり所の体制、スタート位置までの導線の確保といった点が評価されましたが、これらを整えるのは大変でしたか?

     「山形市総合スポーツセンターがスタート・ゴール地点だったのですが、ここには6000人規模の大きさのアリーナがあって、雨天時でもランナーや観客の収容が可能なほか、トイレも常設のものがかなりの数あり、駐車場もあるんです。ここに荷物預かり所や更衣スペースを設けることが出来たので、うまくいきました」

     ――このスポーツセンターを使ったのは、リレーマラソンでの反省を生かしたのですか?

     「そうですね。また、いくつかの大会を視察して、これはいいな、と思ったことを取り入れました。例えば、当日や前日には会場で受け付けをしないですむように、ナンバーカードを事前に送付するシステムにしました」

    参加ランナー数抑え、運営スムーズに

     ――「まるごとマラソン」の評価が非常に高かったということは、うまくいっていない大会が多いことの表れだと思います。なぜだと思いますか?

     「会場のスペースの問題があるのではないでしょうか。山形はアリーナなどの施設の大きさと参加人数がうまくかみあった、ということもあると思います。正直に言いますと、参加人数はかなり抑えているんですよ。協力会社には、かなり早い段階からコースなどを見てもらっているんですが、『道路の幅とかスポーツセンターのキャパシティーからいけば、参加人数をもっと増やした方がいいんじゃないですか?』という意見もいただいていました。しかし、初回という不安もあってあえて抑えたんです。スムーズな運営をしたいということで」

    • 山形まるごとマラソンの「勝因」
      山形まるごとマラソンの「勝因」

     ――余裕を持った大会運営が良かったということですか?

     「あくまで、コースの幅と会場のキャパという点では余裕があったということです。運営上の余裕ではありません。マラソン大会を行うのは初めてでしたから、大会前日も『もっと、色々準備ができたはずだな』と不安でした」

     ――とても慎重に準備した印象です。

     「他大会も研究し、ノウハウのある業者からも助言をいただきながら2年間、3年間かけて準備ができたというのは大きかったと思います」

    (メディア局編集部 伊東謙治)

    (つづく)

    第1回大会から大成功…「山形まるごとマラソン」事務局・石澤雄太さん
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    ・ホスピタリティーの要は市民の笑顔(2014年09月22日)
    ・いきなり「大会100撰」、自分たちもビックリ(2014年09月16日)

    プロフィル
     石澤雄太 (いしざわ・ゆうた)
     山形市教育委員会スポーツ保健課スポーツ振興係主事。1986年、山形市生まれ。2006年入庁後、一貫してスポーツ保健課に所属し、今年1月のスキージャンプの女子ワールドカップ蔵王大会では会場主任として選手や観客の動線確保やテントの手配などを担当。同大会の前身、国際蔵王ジャンプ大会の運営にも毎年参加。2011年の山形市民登山では約90人を引率して富士山に登頂。「山形まるごとマラソン」を担当したのは「スポーツ振興係に長く在籍し、いくつものスポーツイベントに関わってきた経験を買っていただいたのかな、と勝手に思っています」。剣道3段。マラソン大会の準備を進めるうちに自分も走りたくなり、去年と今年の「果樹王国ひがしねさくらんぼマラソン」でハーフを完走。タイムは「制限時間(2時間30分)ギリギリ」。山形のおすすめグルメは「冷やしラーメン」。また、おすすめスポットは「蔵王」。「冷やしラーメンは週1~2回は食べてます。蔵王は、夏は登山、冬はスキーと季節を問わず楽しめるし、市中心部から30~40分で行くことが出来ます」
    山形まるごとマラソンデータ(第1回大会)
    開催日 2013年10月6日
    名称 自然や歴史、食など、山形のすべてを満喫してほしいという意味
    公募に対して寄せられた192点の中から選ばれた
    コースの特徴 市街地中心部を走るコースは山形県内で初。市の目抜き通りや、霞城公園、文翔館などの名所旧跡のほか、芋煮会が行われている馬見ヶ崎川を観光しながら走る
    エントリー者数 計4010人
    (山形市1612人、県内の他市町村1014人、県外の29都道府県1384人)
    出走者数 計3468人(ハーフマラソン2827人、4.2195キロ433人、2.195キロ208人)
    完走率 ハーフ95%、4.2195キロ100%、2.195キロ99%
    参加料 ハーフ4000円、4.2195キロ2000円、2.195キロ1000円
    制限時間 2時間半(ハーフ)
    給水所の数 9か所(コース上6+スタート地点2+ゴール地点1)
    距離表示 1キロごと
    トイレの数 181(山形総合スポーツセンターの常設トイレ91+仮設トイレ90)
    現地での受け付け なし。ナンバーカードを事前に送付
    荷物預かり 無料。預ける荷物につける「荷札」を事前送付
    参加賞 記念タオル、コメ(つや姫)2合、芋煮
    表彰 各部門8位まで(賞状・メダル・記念品を授与)
    予算 5200万円(市負担3300万円+協賛金500万円+ランナーの参加料1400万円)
    運営スタッフ 1158人(市職員163人、市陸上競技協会45人、市体育協会42人、ボランティア258人)そのほか警察官約50人、警備員約230人
    ゲストランナー 谷川真理さん、野口みずきさん
    2014年09月19日 09時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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