2016年春夏パリコレクション

心弾むプリーツ…イッセイミヤケ

(武藤要撮影)
YOMIURI ONLINE
制作・著作 読売新聞

9月末から10月上旬に行われた2016年春夏パリコレクションで、日本ブランドは独自に開発した素材でも注目を集めた。

その代表格ともいえるイッセイミヤケは、新しい手法で曲線のプリーツ(ひだ)を施した色鮮やかな服を発表した。

デザイナーが目指した、オリジナルの素材で作る、着る人が楽しくなる服とは――。(生活部 谷本陽子)

「ベイクド・ストレッチ」 イッセイミヤケの2016年春夏コレクションには、こう名付けられた特殊なひだ加工の生地を使ったドレスが登場した。ジャングルから着想した赤や緑、黄など鮮やかな色合いで、モデルが歩くと、ゆったりと弾むように揺れる。

新しいプリーツはどうやって作られるのか。生地に特殊なのりをプリントし、専用の焼き機に入れる。するとのりの部分が膨らみ、生地がひだ状になり形状記憶される。焼き機はもともと服地に転写プリントをする際に使われるものを転用した。プリーツを曲線にすることが可能になり、ひだに合わせて色を自在に表現できるようになった。

デザイナーの宮前義之さん(39)は、膨らむのりの存在を知り、パンを焼くのをヒントに思いついたという。「料理のように焼いたり、蒸したり。素材やレシピが変われば、様々な味わいの服が生まれる。プレスして作る直線のプリーツ以外の方法を考えた」と語る。

アイデアを実現するため、のりの量や焼き機の温度などの組み合わせを幾度も変え、チームで実験を重ねた。力強い色や形に、日常の着ることをより豊かなものに変えたいとの思いを込めた。1月から販売予定で、5万5000円(税抜き)から。

宮前さんはほかに、立体的なプリーツの技術「3Dスチームストレッチ」も開発している。特殊な織り方をしたポリエステルの生地に蒸気を当てると一部が縮み、立体的な幾何学模様になるハイテク素材だ。今回のショーでも、この素材に綿などを混ぜてジャケットやスカートに用いた。

ファッションジャーナリストのティム・ブランクスさんは「イッセイミヤケは研究熱心で、特別な技術を持つ世界に二つとないブランド。ミヤマエが手掛けるハッピーで楽しい雰囲気の服を他はまねすることができない」と話す。

創業デザイナーの三宅一生さんは、糸を作り出すところから服作りをしてきた。4代目の宮前さんも、「新素材を生み出し、着やすく肌触りのいい服にして提案していきたい」と話す。世界を驚かせ、喜ばせる服作りの挑戦は続く。

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