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    「宇宙一重い物質を探る」「試験管の中で腎臓を創る」

    • 民井淳氏
      民井淳氏
    • 西中村隆一氏
      西中村隆一氏

    「宇宙一重い物質を探る」

    大阪大・核物理研究センター 民井淳准教授

     陽子と中性子で構成する「原子核」は、原子の中心にあり、原子の重さの99・9%を占める。宇宙で観測される物質の中でも密度が最大で、最も重いといえる。

     なかでも鉛などの重い原子核は中性子が陽子より多く、中性子が皮のような層を作って原子核表面を覆っている。この構造が、恒星が爆発した後にできる中性子星によく似ている点に着目。加速器で高エネルギーの陽子を原子核に衝突させて原子核の性質を探り、それを手がかりに、中性子星の謎を解明する研究に挑んでいる。これにより、重さが太陽と同程度の中性子星の半径は、12キロ・メートル程度であることが分かってきた。宇宙の進化や元素の成り立ちの解明にもつなげたい。

    「試験管の中で腎臓を創る」

    熊本大・発生医学研究所 西中村隆一所長

     腎不全による透析患者は増える一方だが根治療法はなく、移植できる腎臓も不足している。そんな状況を打開しようと、移植できる腎臓を試験管内で作る研究に取り組んでいる。腎臓は、血液を濾過(ろか)して尿をつくる「糸球体」や「尿細管」など、3次元の構造を持つ組織で構成されており、「作れるはずがない」と言われた。だが、胎児の腎臓ができる仕組みの研究から始め、若手研究者と試行錯誤。研究開始から18年後の2014年、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から糸球体と尿細管を作ることに成功した。腎臓の作製は今後の課題だが、腎臓病患者から作製したiPS細胞を使い試験管内で病気を再現できれば、原因解明や治療薬を開発する道が開ける。(9月15日開催)

     全国の国立大が研究の最前線を紹介する月1回の公開講座。次回は10月20日、午後6時から、東京駅前の京都大学東京オフィスで開催する。参加申し込みは、セミナーのホームページへ。

    2017年10月05日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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