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    ITジャーナリスト三上洋さんが、サイバー犯罪から身を守る術や情報流出対策などを解説します。

    「免疫」ない? 女性・高齢者のアダルトサイト相談が増加

     アダルトサイトの詐欺被害などの相談件数が、史上最悪の11万件を突破した。スマートフォンの普及、女性や高齢者の被害者が増えていることが主な原因だ。(ITジャーナリスト・三上洋)

    アダルトサイト相談が11万件に:平成27年版消費者白書

    • アダルト情報サイトに関する相談件数。史上最悪の11万件を突破した(消費者白書)
      アダルト情報サイトに関する相談件数。史上最悪の11万件を突破した(消費者白書)

     消費者庁は「平成27年版 消費者白書」をまとめ、6月に閣議決定された。消費者トラブルで多いのは、インターネット通販・デジタルコンテンツに関するもの。その中でも特に目立つのがアダルト情報サイト相談で、昨年よりも3万件増え、史上最悪の11万件を突破している。

     大きな原因はスマートフォンの普及だ。ふだんはパソコンを使わない層が、スマートフォンの普及により、ウェブサイトにアクセスするようになった。それによりアダルト詐欺サイトにアクセスすることが増えて、ワンクリック詐欺や架空請求の被害にあっている。

     被害額も非常に多い。警察庁によれば、平成26年1月から12月までの「架空請求詐欺」の被害額は、なんと約175億8,141万円(架空請求の多くはアダルト詐欺サイト)。1日換算で4800万円にもなる。

     この被害額は、社会的な問題となっているオレオレ詐欺(約174億9,028万円:平成26年)とほぼ同額だ。アダルト詐欺サイトは、メディアが取り上げにくいジャンルだということもあって社会的な問題にはなっていないが、被害は深刻なのだ。

     消費者庁によると、相談者の傾向が変化してきている。女性と高齢者の被害が目立って増えている。

    女性32.3%、50歳以上が37.2%で、平均年齢は45.4歳にアップ

    • アダルト情報サイトに関する相談の年齢分布。女性と高齢者が増えている(消費者白書)
      アダルト情報サイトに関する相談の年齢分布。女性と高齢者が増えている(消費者白書)

     左が消費者庁がまとめたアダルト情報サイトに関する相談件数だ(平成26年度)。男性が約7割を占めているものの、女性の比率が増えて32.3%となっている。平成21年度の女性の比率は26.5%だったから、5年間で5.8%増えている。

     以前の記事でも紹介したが、背景には女性を狙う詐欺サイトが増えていることがあるだろう。女性向けの芸能人動画サイト、成人漫画のサイトなどが多数あり、これらのサイトにあるバナー広告やリンクからアダルト詐欺サイト(架空請求・ワンクリック詐欺)に誘導されてしまう。

     高齢者の被害も増えている。50歳以上を集計すると、全体の37.2%にもなる。アダルト詐欺サイトというと、10代・20代がダマされてしまうイメージがあるが、実際には高齢者の被害も多いのだ。相談者の平均年齢も、36.3歳(平成21年度)から45.4歳へと10歳近くアップしている。

    • アダルト情報サイトに関する相談における支払金額平均。1件あたり27万7千円もの被害が出ている(消費者白書)
      アダルト情報サイトに関する相談における支払金額平均。1件あたり27万7千円もの被害が出ている(消費者白書)

     もう一つ注目すべきは、1件あたりの被害金額だ。5年前の被害金額の平均は約16万4千円だったが、平成26年度は約27万7千円と急増している。

     これについて消費者庁では、詐欺業者に連絡せよとの表示を見て、スマートフォンで電話してしまい、その結果として言われるままに支払ってしまうケースがあるからではないかと分析している。

    • アダルト詐欺サイトの画面。「キャンセルはこちら」などと書いてあるが、電話番号を収集するためのワナだ
      アダルト詐欺サイトの画面。「キャンセルはこちら」などと書いてあるが、電話番号を収集するためのワナだ

     左は詐欺サイトの例だが、必ずと言っていいほど「キャンセル・誤操作の場合はこちらに連絡を」という表示がある。実はこれ、詐欺業者のワナであり、電話番号を収集するための手口なのだ。これで電話番号を収集して、何度もしつこく払うように迫ったり、別の架空請求に使ったりすることもある。

     電話やメールによって連絡しやすいスマートフォンでの被害が増えているため、被害金額が増えたと考えていいだろう。

     また最近ではコンビニで買うプリペイドカードで、料金を支払わせる例も増えている。AmazonギフトカードやiTunesカードなどを買うように指定され、その番号を電話やメールで送らせる手口だ。犯人が追跡されないようにするためだろう。犯人は入手したプリペイドカードの番号を、オークションなどで販売してお金を稼いでいると見られる。

     アダルト詐欺サイトでのプリペイドカード支払いは、2015年に入って増えてきているので注意が必要だ。

    キャンセル・誤操作と言われても無視。怖ければ警察に相談を

     女性・高齢者の被害が増えている理由の1つは、アダルト詐欺サイトの免疫がないことだろう。男性であれば、アダルト詐欺サイトという存在や手口を知っているが、女性や高齢者は高額な架空請求のことを知らないことが多い。そのため、高額請求の画面にビックリして、怖がって支払ってしまうことが多いのだと筆者は推測している。

     高額な請求が出ても怖がらず、無視することが大前提だ。何があっても無視し、電話で脅迫されるようなら消費生活センターや警察に相談しよう。

    アダルトサイト高額請求の対策

    ・後払いの高額請求は「身に覚えがあっても」支払わない

     多くの被害者は「もしかして、あの時に見たサイト?」と勝手に思い込んで支払ってしまう。身に覚えがあったり、動画を見た・規約の承諾ボタンを押したりしたとしても、後払いの高額請求は無視すること。絶対に払ってはいけない。

    ・何があっても連絡しない。キャンセル・誤操作表示にも反応しないこと

     どんなことがあって、業者に電話・メールなどの連絡をしないこと。「キャンセル窓口」や「誤操作の救済」は(うそ)であり、電話番号を収集する手口である。完全無視で連絡しないことが鉄則となる。

    ・怖くなったら消費生活センターや警察へ

     電話などで脅迫されている場合は、消費生活センターか警察へ相談しよう。裁判を起こすぞ、自宅へ行くぞなどと脅迫されても慌てずに警察などへ相談する

     夏休みに入って、中高校生の被害が増えることも考えられる。子供や高齢の父母が被害にあわないように、注意を呼びかけよう。

     

    ●参考サイト

    平成27年版 消費者白書:消費者庁

    アダルトサイト相談急増 平均被害額は27万円:サイバー護身術

    セックストーション(性的脅迫)の被害広がる:サイバー護身術

    2015年07月27日 14時42分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    三上洋   (みかみ・よう
     セキュリティ、ネット活用、スマートフォンが専門のITジャーナリスト。最先端のIT事情をわかりやすく解き明かす。テレビ、週刊誌などで、ネット事件やケータイ関連の事件についての解説やコメントを求められることも多い。
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