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    ITジャーナリスト三上洋さんが、サイバー犯罪から身を守る術や情報流出対策などを解説します。

    今度は「訪問型」…マイナンバー詐欺の新手口

     マイナンバーの送付が遅れる中、便乗したマイナンバー詐欺の新手口が報告されている。自宅を訪問し、「マイナンバーは届いているか」と声をかけて金をだまし盗る手口だ。(ITジャーナリスト・三上洋)

    送付の遅れに「訪問型」詐欺が便乗

    • マイナンバー関連の詐欺的トラブルに関する相談件数。10月から急増している(11月4日発表のため、11月の件数は一部に限られている:国民生活センター)
      マイナンバー関連の詐欺的トラブルに関する相談件数。10月から急増している(11月4日発表のため、11月の件数は一部に限られている:国民生活センター)

     マイナンバーの送付は当初、11月中に終える予定だったが、郵送業務がパンク状態になるなどの影響で12月にずれ込んでいる。遅れることが報道されると、詐欺業者がすぐに反応した。タイムリーにも、配達の遅れに乗じて、「マイナンバーは届いているか」と自宅を訪問する詐欺が行われているのだ。

     マイナンバー詐欺については、10月9日掲載の「マイナンバー詐欺が多発、3つの手口に注意を:サイバー護身術」で詳しく紹介した。流出したと嘘でだます「劇場型」、マイナンバーに合わせて個人情報を聞き出す「個人情報収集型」、金融商品などを売りつける 「便乗型」の3タイプの詐欺があり、10月に入って多くの詐欺相談があった(左上の画像は国民生活センターによる相談件数まとめ)

     11月に入ってから登場したのが、新たなタイプ「訪問型」のマイナンバー詐欺だ。国民生活センターによれば、以下のような被害がある。

    ●男性2人が「マイナンバー通知カードは届いているか」と訪問してきた

     スーツ姿で青い(ひも)のネームホルダーを下げた男性2人が「マイナンバー通知カードが届いているか」と訪問してきた。まだ届いていなかったので「届いていない」と答えると「1万5千円支払えば2時間以内に宅配で送る」と言われた。カードを待っていたこともあり支払ってしまった。(2015年11月受付、女性、香川県)

    ●「マイナンバーのカードは届いているか」と訪問があり1万円を支払ってしまった

     「マイナンバーのカードは届いているか」と訪問があった。「まだ届いていない」と答えると「1万円を支払えば宅配便ですぐに届ける」と言われたので、1万円を支払い2時間ほど待ったが、誰も来ない。(2015年11月受付、女性、香川県)

    ●宅配業者を名乗る2人組が「マイナンバーは届いているか」と訪問してきた

     宅配業者を名乗る男性2人組がマイナンバーは届いているかと訪問してきた。「いつマイナンバーの通知カードが来るのか知りたいのであれば、5,000円支払えば2時間で調べてあげる。」と言われ、支払った。その後、宅配業者から何の連絡もない。(2015年11月受付、女性、香川県)

     

     共通するのは「マイナンバーが届いているか」と、男性2人組が自宅を訪問してくること。まだと答えると、「すぐに送るから」または「調べる」と称して、5千円から1万5千円をだまし取る手口だ。自宅を訪れる男性2人組は、スーツ姿で青い紐のネームホルダーを付けてマイナンバーの担当者を装うか、宅配業者を装っている。

     明らかにマイナンバーの遅れに乗じた詐欺であり、届いていないことを利用してお金をだまし取っている。特徴的なのは、わざわざ自宅を訪問してくることだ。電話ではなく、直接会って信用させ、それほど大きくない金額を支払わせようとする。わざわざ訪問してくるのだからと、本物と信用させて少額をだまし取る手口だ。被害報告がいずれも香川県と限定的だが、今後は広がる可能性があるので注意したい。

    ターゲットは「60歳以上の女性」か

     マイナンバー詐欺は全国に広がっており、内閣府や警察庁、マイナンバーを扱う特定個人情報保護委員会などが警告を出している。各地の消費生活センターにも相談がよせられており、前述した「劇場型」と「個人情報収集型」のマイナンバー詐欺が多くなっている。

    • 相談者の年齢と性別。60歳以上の女性が圧倒的に多くなっている(国民生活センター)
      相談者の年齢と性別。60歳以上の女性が圧倒的に多くなっている(国民生活センター)

     国民生活センターへの相談例をまとめたのが上の円グラフだ。60歳未満は17件(約20%)に過ぎず、約80%は60歳以上の被害相談だ。性別では圧倒的に女性が多く、約80%を占めている。ここまで女性が多くなるのは不自然なので、詐欺グループが「60歳以上の女性」をターゲットにしている可能性がある。

     何らかの方法で入手したリストを基にして、60歳以上の女性に向けて、マイナンバー詐欺をしかけているのかもしれない。

     今までのマイナンバー詐欺の手口を見ると、劇場型・個人情報収集型・訪問型のいずれでも、そっくり同じ手口が使われている。まるでマニュアルがあるかのように同じパターンだ。筆者の推測ではあるが、組織的な詐欺グループが動いていると思われる。振り込め詐欺の犯罪グループが、マイナンバー詐欺の手口をまとめたマニュアルを作って、組織的に動いている可能性が高い。

     高齢者を狙った振り込め詐欺は、2014年に史上最悪の被害額559億円となった後、2015年はやや減ったものの大きな被害が続いている。特に高齢者を狙った「オレオレ詐欺」は、2015年1月から9月までの9か月間で125億円もの被害が出ており、これは史上最悪だった昨年と同じペースだ。オレオレ詐欺などを行う犯罪グループが、マイナンバー詐欺を行っている可能性があるので、十分警戒する必要がある。

     マイナンバー詐欺への対策をまとめておく。特に高齢者の女性に向けて、娘・息子さんやお孫さんが注意してあげてほしい。

    マイナンバー詐欺の注意点

    ・「マイナンバー」という言葉が出てくる電話・訪問は詐欺だと思え

     マイナンバーについて、役所の人間が電話をかけてきたり、訪問したりすることはない。電話や自宅訪問で「マイナンバー」と言われた時点で詐欺を疑うこと。相手にせず、役所や警察に相談する。

    ・マイナンバーで費用がかかることはない。流出でも負担する必要なし

     マイナンバーのカードを発行するのは無料である上に、まだ発行は始まっていない(2016年1月から発行開始)。まだ流出したこともないし、流出したとしても一般国民が費用を払う必要もない。つまりマイナンバーでお金は一切かからないので、詐欺にだまされないようにしたい。

    ・不審に思ったらコールセンターか警察へ相談を

     不審な電話があったら、国の専用コールセンター(0570-20-0178)か、警察へ相談しよう。

     年末にかけて、詐欺グループがマイナンバー詐欺を活発化させる可能性がある。自分の親・祖父母に「気をつけて」と声をかけよう。

     

    ●参考記事

    マイナンバー詐欺が多発、3つの手口に注意を:サイバー護身術

    「免疫」ない? 女性・高齢者のアダルトサイト相談が増加:サイバー護身術

    マイナンバー制度に便乗した不審な電話等にご注意ください!11月19日更新:国民生活センター

    2015年11月30日 16時57分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    三上洋   (みかみ・よう
     セキュリティー、ネット活用、ケータイが専門のテクニカルライター。最先端のIT事情をわかりやすく解き明かす筆力には定評がある。テレビ、週刊誌などで、ネット事件やケータイ関連の事件についての解説やコメントを求められることも多い
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