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    ITジャーナリスト三上洋さんが、サイバー犯罪から身を守る術や情報流出対策などを解説します。

    16歳少年が不正アクセス…多発する少年サイバー事件の背景

     高校1年生の少年が不正アクセス禁止法違反などの容疑で書類送検された。パソコンをウイルス感染させてID・パスワードを盗み取ったほか、ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)に感染させた疑いがある。(ITジャーナリスト・三上洋)

    高校1年生が掲示板にウイルスとランサムウェアを置いてパスワード盗み取り

    • 警察庁による不正アクセス禁止法違反の被疑者年齢。10代がもっとも多くなっている
      警察庁による不正アクセス禁止法違反の被疑者年齢。10代がもっとも多くなっている

     10代の少年によるサイバー犯罪、不正アクセス事件が続いている。

     警視庁は2月5日、東京都大田区の高校1年生の男子生徒(16)を、不正指令電磁的記録(ウイルス)保管・同供用、および不正アクセス禁止法違反容疑で東京地検に書類送検した(高1が不正アクセス…通販IDなど盗み転売か)

     容疑は2015年6月に、ネットの掲示板に別のソフトを装って遠隔操作ウイルスをダウンロードさせる記事を投稿。ダウンロードした2人のパソコンを感染させ、IDやパスワードを不正に入手したもの。少年は容疑を認めているとのことだ。

     警察によると、この少年は掲示板に遠隔操作が可能なウイルスをダウンロードさせる記事を書き込み、ダウンロード・インストールした約730人がウイルスに感染。少年は感染したパソコンに侵入し、ネットバンキングやオークションサイトなどのID・パスワードを1800件盗み出していたという。このパスワードを使い、通販サイトなどに不正接続した疑いがある。

     少年は盗み出したID・パスワードをネット上で販売していた。ビットコインで代金を得ており、少年のパソコンには5万円相当のビットコインが残っていたとのことだ。

     さらに2014年12月にはランサムウェアのダウンロードリンクを掲示板に書き込んだ疑いもある。ランサムウェアとはファイルを勝手に暗号化し、元に戻すには金を払えとして脅すもので、身代金要求型ウイルスと言ってもいいだろう。

    不正アクセス検挙でもっとも多いのは14~19歳

     少年による同種のサイバー犯罪事件としては、2015年7月に逮捕された17歳の少年の事件がある。ネット上で「@0chiaki(ZeroChiaki、ゼロチアキ)」と名乗っていた少年で、ランサムウェアの配布・感染、出版社などへの不正アクセスを行った容疑で逮捕された。この連載でも取り上げている(日本語ランサムウェア「犯人」インタビュー:サイバー護身術)。

     今回逮捕された16歳の少年は、この「@0chiaki(ZeroChiaki、ゼロチアキ)」にあこがれていたと供述しているとの報道がある。同じようにランサムウェアを配布していることから、手口を真似(まね)ていた可能性が高い。

     16歳の少年が配布したランサムウェアは、都内の法律事務所を(かた)っており、嫌がらせと思われる画像を掲載していた。これも「@0chiaki(ZeroChiaki、ゼロチアキ)」が配布していたランサムウェアと同じ方法だ。16歳の少年の目的は金銭だけではなく、嫌がらせのデモンストレーションもあったと推測できる。

     少年がサイバー犯罪に手を染める事件が繰り返し起きているが、背景にはネット上で比較的簡単に知識・ツールを入手できることがある。遠隔操作できるウイルスの作成ツールをネットで入手できるほか、ランサムウェアでは作成・送金などを行う代行サービスまで存在している。ある程度の知識があれば、少年でもサイバー犯罪を行える環境があるわけだ。

     この状況は、不正アクセス事件で検挙された被疑者の年齢を見てもわかる。平成26年に不正アクセス禁止法違反で逮捕された被疑者は170人いたが、年齢別に見ると「14~19歳」が49人でもっとも多かった。全体の29%が「14~19歳」であり、少年による不正アクセス事件が多いことがよく分かる(不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況:警察庁平成27年3月)。

     サイバー犯罪というと、企業や政府を攻撃するサイバー犯罪集団や詐欺グループを思い浮かべるが、青少年によるサイバー犯罪が多いことも忘れてはならない。10代の少年は嫌がらせやイタズラ目的で、安易に不正アクセスを行い、重大な犯罪であることを認識していないのかもしれない。学校教育などを通して、不正アクセスは犯罪であることを10代の青少年に強く伝える必要があるだろう。

    参考記事

    日本語ランサムウェア「犯人」インタビュー:サイバー護身術

    不正アクセス、被疑者の4割が10代青少年:サイバー護身術

    不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況:警察庁平成27年3月

    2016年02月05日 17時42分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    三上洋   (みかみ・よう
     セキュリティ、ネット活用、スマートフォンが専門のITジャーナリスト。最先端のIT事情をわかりやすく解き明かす筆力には定評がある。テレビ、週刊誌などで、ネット事件やケータイ関連の事件についての解説やコメントを求められることも多い
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