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    ITジャーナリスト三上洋さんが、サイバー犯罪から身を守る術や情報流出対策などを解説します。

    スマホで人気の「フリマアプリ」でトラブル

     スマホで人気の個人間売買アプリ(フリマアプリ)でトラブルが多発している。商品が傷だらけ・偽物だった、代金を受け取れないなどの取引トラブルだ。背景にはスマホで誰でも簡単に取引ができてしまう点がある。(ITジャーナリスト・三上洋)

    東京都が注意喚起「フリマアプリ」で個人間のトラブル

    • フリマアプリでの代金の流れ。運営会社が中間に入ってくれるエスクローを採用している(東京都「とらぶるの芽」より)
      フリマアプリでの代金の流れ。運営会社が中間に入ってくれるエスクローを採用している(東京都「とらぶるの芽」より)

     フリマアプリとは、スマートフォン(以下スマホ)の個人間売買アプリのこと。「フリーマーケット(フリマ)」のスマホ版だと思えばいい。スマホで誰でも簡単に販売・購入ができるとあって、2年ほど前から急激に利用者が増えている。人気があるのは「メルカリ」と「フリル(FRIL)」だが、フリマアプリのブームに乗って、LINEや楽天などのネットサービス大手も参入している。

     フリマアプリの特徴は、スマホで誰でも簡単に販売・購入ができること。スマホで写真を撮るだけで出品ができて、購入側もクレジットカードがあればスマホで簡単に購入できる。化粧品などの小物、中古のバッグ・ファッション、ハンドメイドなどが人気だ。代金のやり取りは運営会社を通すことが多いため、比較的安心して取引できることも特徴の一つとなっている。

     このフリマアプリについて、東京都がトラブルについての注意喚起を行った(フリマアプリのトラブル~個人間取引は自己責任、リスクを伴います~:とらぶるの芽 No.50)。それによると「購入者が受け取りの手続きをしないので商品代金が受け取れない」「商品説明にないキズがあるので返品したい」などのトラブルが起きている。

     国民生活センターでもトラブル事例をまとめている。

    ●フリマアプリ買い主側のトラブル例(インターネット取引のトラブル〈3〉フリマアプリによる個人間取引 ―買主側のトラブル―:国民生活センター)。

    ・偽物が送られてきた

     ブランドバッグを買ったら古い偽物が送られてきた。返品したいと売り主に連絡したが、すり替えるかもしれないと言って返品に応じない。フリマ運営会社に相談したが「個人間で話をつけて」と言われるだけで、代金が戻ってこない。

    ・未使用カバンに傷がついていたが返品できない

     未使用に近いと説明があったカバンを購入したが、()みちぎられたような跡があり、端がほつれていた。返品を依頼したが、売り主に配送事故と言われた。代金を決済する受け取り手続きをしなかったところ、売り主から散々脅された。運営会社は当事者で話し合うようにと言うのみ。

    ・取引相手の情報がわからない

     購入したダッフルコートが偽造品だった。メーカーにメールで確認したところ、「正規品ではない可能性が高い」という回答だったのに、売り主は「メーカーは現物を見ていないのだから証拠にはならない」と言って返品に応じない。ただ、だいぶ前の取引で配達時の伝票を()くしてしまい、売り主の住所、氏名が分からない。フリマ運営会社に言っても「住所、氏名は相手の同意、もしくは公的機関からの要求がないと教えられない」と言われた。

     このように偽物だった、未使用と言っていたのに傷がついていたなどのトラブルが目立つ。この他にも送料込みと言っていたのに、着払いで届いたなどのトラブルもある。

     さらに売り主側のトラブルもある。買い主が納得せずに代金のやり取りができないなどの問題だ。フリマアプリの運営会社では、基本的に「個人の売買なので、個人で解決してくれ」というスタンスなので、トラブルの解決が難しくなっている。

    背景に「スマホで簡単に取引できるため安易に行動してしまう」「トラブル解決の手段がない」

     なぜフリマアプリでトラブルが増えているのだろうか。原因の一つは「買い主・売り主ともにフリマアプリのサービスを過信している」ことにありそうだ。

     数年前までネットの個人間売買といえばヤフオクなどのオークションサイトが人気だった。しかしオークションは値段が決まっていないこと、登録や代金のやり取りが面倒なことから敬遠する人も多かった。

     それに対してフリマアプリは、スマホで簡単に固定価格で取引できることに加えて、代金のやり取りを運営会社が仲介するというしくみ(エスクロー)があったことから人気となっている。

     フリマアプリの決済では、代金はいったん運営会社に支払う。買い主に商品が届いて「受け取り手続き」をすると、運営会社が売り主にお金を払うというしくみが主流だ。運営会社が中間に入ってくれるため売り主・買い主ともに安心できる。売り主から見ると、運営会社からお金を受け取れるので詐欺などの可能性が低くなる。買い主から見るとクレジットカードで簡単に決済できる・商品が届いてから払うので安心できるというメリットがある。

     優れたしくみなのだが、運営会社が商品の質や取引を保証しているわけではないところに落とし穴がある。運営会社にお金を払う安心感から、買い主側がサービスを過信してしまう傾向があるのだ。しかし実際は、あくまで個人間の取引であり、運営会社が保証しているわけではない。実際にトラブルの相談事例でも「運営会社に相談したが『あくまで個人間取引なので、個人間で解決してくれ』と言われた」というパターンが多い。

     また、スマホで簡単に取引できる点も、トラブルの原因となっている。売り主側ではスマホで写真を撮るだけなので中古品の状態を詳しく書かずに売ってしまう、買い主側ではワンタッチで決済できるので中身を確かめずに買ってしまいがちだ。

     併せてユーザー層が若いことも原因の一つかもしれない。ネット取引に不慣れだったり、売買の社会常識(状態を開示する・きちんと連絡を取るなど)がなかったりすることがトラブルの原因となっている。

    対策は「個人間取引なのでリスクを覚悟」「状態をよく確認」

     大手フリマアプリでは、1か月の流通額が数十億円規模だとも言われている。大きな市場に発展しているだけに、運営会社側の責任もありそうだ。運営会社は規約などで「あくまで個人間取引であり、トラブルは個人間で解決を」というスタンスを取っている。だからこそ低コストでサービスを提供できているのだが、ここまで規模が大きくなると「個人間のトラブルには関与しない」だけでは済まないだろう。

     フリマアプリの運営会社が、トラブルを予防し、解決するしくみを提供することが望まれる。

     とはいえ、フリマアプリの取引はあくまで個人間売買だから、自己責任が原則となる。利用する人はフリーマーケットでの売買と同様に、ある程度の覚悟と対策が必要だろう。東京都では以下のように注意を呼びかけている。

    ●フリマアプリの注意点(東京都の呼びかけ+筆者の注釈)

    ・個人間取引はリスクの伴う取引だと認識した上で利用する

     マナーの悪い人や取引に不慣れな人なども参加している可能性がある。未使用品と言いながら、実際には中古品で傷があるなどのトラブルが多いため、安易に購入しないこと。

    ・取引相手や商品等について十分に情報を収集し、取引は慎重に行う

     相手の取引実績をチェックし、安心できる相手か確認。商品の状態や内容をメールで問い合わせよう。

    ・利用規約をよく読んで、ルールとマナーを守って利用する

     基本的に運営会社はトラブルに関与しないので、安易に販売・購入しないほうがよい。

     加えて、買い主は、商品が届いたらよく内容を確かめることが大切だ。確認せずに「受け取り手続き」をすると、決済が完了されてしまう(運営会社から売り主にお金が支払われる)からだ。届いた商品の状態をチェックしてから、「受け取り手続き」を行いたい。

    ●参考記事

    フリマアプリのトラブル~個人間取引は自己責任、リスクを伴います~:とらぶるの芽(No.50)

    PDF文書:インターネット取引のトラブル(3)フリマアプリによる個人間取引 ―買主側のトラブル―:国民生活センター

    PDF文書:インターネット取引のトラブル(4)フリマアプリによる個人間取引 ―売主側のトラブル―:国民生活センター

    2016年02月15日 11時01分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    三上洋   (みかみ・よう
     セキュリティ、ネット活用、スマートフォンが専門のITジャーナリスト。最先端のIT事情をわかりやすく解き明かす筆力には定評がある。テレビ、週刊誌などで、ネット事件やケータイ関連の事件についての解説やコメントを求められることも多い
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