文字サイズ
    ITジャーナリスト三上洋さんが、サイバー犯罪から身を守る術や情報流出対策などを解説します。

    ネット通販詐欺サイト…「格安」検索トップに表示

     ネット通販詐欺の被害が続いている。Google検索などで「ブランド名 格安」と入力すると、詐欺サイトがトップに表示される状態だ。お金を(だま)し取られる、偽商品が送られてくるなどの被害に遭うので注意したい。(ITジャーナリスト・三上洋)

    「ブランド名 格安」で検索…上位に偽サイトが表示される

    • 「バーバリー 格安」のGoogle検索で上位に表示された偽サイト。楽天が注意喚起を出しているURLだった
      「バーバリー 格安」のGoogle検索で上位に表示された偽サイト。楽天が注意喚起を出しているURLだった

     左の画像は、人気ブランド・バーバリーの名前を付けた通販サイトで、Googleで「バーバリー 格安」と検索すると2番目に表示されている(2016年3月11日現在、筆者の環境による)。「バーバリー専門店」としてロゴを掲載し、クレジットカードのアイコンも並んでいる。

     しかしこのサイトは詐欺サイトの可能性が高い。楽天が公式ページに注意喚起を出している「楽天を装ったWEBサイト一覧」にURLが掲載されているほか、特定商取引法に基づく電話番号の表記がない。責任者は書いてあるものの、名前は実在する大手販売店のネットショップ責任者と同じ。勝手にコピーして使っているものと見られる。明らかに偽ショップであり、詐欺と考えたほうがいいだろう。

     この手のネット通販偽サイトが、Google検索結果に大量に存在している。筆者がGoogleで調べたところ「バーバリー 格安」では、上位10ページのうち半分が偽サイトと思われるものだった。「レイバン 格安」では、検索トップが偽サイト(楽天が注意喚起を出しているもの)であり、上位10サイトのうち7サイトで偽サイトの疑いがある。いずれもURLが怪しく、連絡先も表記がない、日本語がおかしいなどの特徴がある。

     Google検索結果の上位に、偽サイトが表示される状態は、ここ数年続いている。以前の記事「偽通販サイトがグーグル検索上位に登場:サイバー護身術」でも紹介したが、偽サイト側が検索上位に表示される手口を使っているためだ。たとえばサイバー攻撃などで乗っ取ったウェブサイトを書き換え、偽サイトへのリンクを張るなどの「SEOポイズニング」と呼ばれる手法を使っている可能性が高い。Google側でも対策を取っているが、追いついていない状態だ。

     検索サイトで少しでも安いショップを探そうとした人が、騙されてしまう可能性が高い。本物のサイトをコピーして使っており、判別がしにくいためだ。

    アニメキャラクターの偽サイトも…相談件数は減少しているが商品の幅が広がる

     有名通販サイトの名前をそのまま使う偽サイトもある。下の画像は、アニメなどのキャラクターグッズやホビー用品を販売しているサイトだが、消費者庁が「詐欺疑い」として「悪質な海外ウェブサイト一覧」に掲載しているものだ。実在の通販サイトと同じ名前をかたっている、いわゆる「なりすましECサイト」である。

    • キャラクターグッズなどを扱う偽サイト。実在する有名通販サイトをかたっており、消費者庁が「詐欺疑い」としている
      キャラクターグッズなどを扱う偽サイト。実在する有名通販サイトをかたっており、消費者庁が「詐欺疑い」としている

     以前はバッグや時計などのブランド品の偽サイトが多かったが、最近では商品の幅が広がっている。消費者庁の「悪質な海外ウェブサイト一覧」には、ブランド品以外にも「キャラクターグッズ」「自転車」「ゴルフ用品」「キッチン用品」などがある。

     通販詐欺の相談を受け付けている公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)によれば「日常生活品などの詐欺サイトもある。最近では家具やキッチン用品の詐欺サイトがあるので注意をしてほしい」と呼びかけている。

    • 日本通信販売協会(JADMA)による詐欺的サイト相談の商品ランキング。ブランド品以外の日常生活品に広がっている(JADMA資料による)
      日本通信販売協会(JADMA)による詐欺的サイト相談の商品ランキング。ブランド品以外の日常生活品に広がっている(JADMA資料による)

     ネット通販の相談件数は、横ばいか減少傾向にはある。国民生活センターへの相談件数は、2015年4月から2016年1月までの数字で192,795件。前年同期は189,187件だったから、ほぼ横ばいだ。

    JADMAへの相談件数は、2015年度は961件で前年の2216件に比べて半分以下に減少した。

     相談件数が減少した理由についてJADMAでは「2014年が非常に多かったため、注意喚起を積極的に行った。メディアが大きく取り上げ、消費者庁がキャンペーンを行ったために、消費者の意識が高まったためだと思われる」としている。

     ただし、現在でも被害は出ているため注意が必要だ。JADMAによれば「クレジットカード決済が可能な詐欺サイトが今も活動している。偽物や中古品を送ってくる昔ながらの詐欺サイトが残っているので注意してほしい。」とのことだ。

    消費者庁も注意喚起…「事業者名・住所・電話番号」を確かめる、「安すぎる」のは疑う

     消費者庁では2016年2月17日に「海外事業者とのインターネット通販におけるトラブルに御注意!」という注意喚起を出した。それによると海外通販サイトでのトラブルでは「模倣品が送られてきた」「商品が送られてこなかった」「引き落とされた金額が請求金額と違った」など、深刻なトラブルが目立っている。

    • 海外事業者とのトラブル内容(消費者庁による)
      海外事業者とのトラブル内容(消費者庁による)

     これらの通販サイトに騙されないためには、以下のことを頭に入れておきたい、

    ★ネット通販でトラブルに遭わないためのチェックポイント(消費者庁による)

    ●海外事業者でのチェックポイント

    ・ウェブサイトの日本語表現が不自然(言葉遣いがおかしい、旧字体が使われている、文字化けしているなど)

    ・価格表示の通貨単位が「円」でない、又は書かれていない

    ・振込先の銀行口座の名義が、ウェブサイトの名称や事業者名と異なる(外国人の個人名義の口座であるなど)

    ●ネット通販一般でのチェックポイント

    ・正確な事業者の情報(事業者名・住所・電話番号)がはっきりと書かれていない

    ・商品の代金の支払時期やその方法、商品の引渡時期がはっきりと書かれていない

    ・商品価格が、通常価格や他のウェブサイトよりも大幅に安い

    ・キャンセルの条件などがはっきりと書かれていない

    ・支払手段が複数用意されていない(銀行振込み(前払い)のみなど)

    ・ウェブサイトの名前を検索すると、良くない評判が見つかる

     最近では「安すぎない偽サイト」もあるので注意が必要だ。以前は6割引き、8割引きなど極端に安いものが多かったが、最近の偽サイトではあえて1割引きなどの価格にしているところがある。安すぎて怪しいと思われないための対策だと思われる。価格だけで判断するのは危険だと言えるだろう。

     筆者がおすすめする対策は2つ。1つは「検索で通販サイトを探さない」ということ。検索結果には偽サイトが多く表示されるからだ。もう1つは「多少高くても信頼できる有名サイトを利用する」ということ。価格にひかれて詐欺に遭うよりも、信頼できる有名サイトで購入したほうが安全だ。ネット通販を利用するには「自分の手で、有名サイトにアクセスして買うこと」をお勧めしたい。

    参考記事

    インターネット消費者トラブル:消費者庁(「海外事業者とのインターネット通販におけるトラブルに御注意!」及び「悪質な海外ウェブサイト一覧」を掲載)
    インターネット通販の相談件数:国民生活センター
    偽通販サイトがグーグル検索上位に登場:サイバー護身術

    2016年03月11日 18時23分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    三上洋   (みかみ・よう
     セキュリティ、ネット活用、スマートフォンが専門のITジャーナリスト。最先端のIT事情をわかりやすく解き明かす筆力には定評がある。テレビ、週刊誌などで、ネット事件やケータイ関連の事件についての解説やコメントを求められることも多い
    おすすめ
    PR
    今週のPICK UP
    PR
    今週のPICK UP