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    ITジャーナリスト三上洋さんが、サイバー犯罪から身を守る術や情報流出対策などを解説します。

    二重請求、解約不能…旅行ネット予約でトラブル

     インターネットで予約した旅行に関するトラブルが増えている。予約したものと旅行内容が違う、二重に料金を請求された、高額な請求が来たなどのトラブルだ。旅行のネット予約でトラブルに遭わないための対策をまとめる。(ITジャーナリスト・三上洋)

    4年間で2倍に増加

    • 国民生活センターに寄せられた旅行に関するトラブルの相談件数。インターネットで予約した旅行トラブルが増えている
      国民生活センターに寄せられた旅行に関するトラブルの相談件数。インターネットで予約した旅行トラブルが増えている

     国民生活センターが9月1日、「インターネットで予約した旅行に関するトラブルにご注意」と注意を喚起した。それによるとネットの旅行サイトでのトラブルは、4年間で約2倍に増加している。

     ネットで予約した旅行のトラブルの相談件数(左のグラフのオレンジ色)は、2011年は836件だったが、2015年には1669件と約2倍に増えた。ネット以外での旅行トラブルはほぼ横ばいなのに対して、ネット予約でのトラブルが目立って増えている状況だ。

     相談事例として国民生活センターは7つの事例を取り上げている。


    ★ネット予約の旅行トラブル相談事例

     【事例1】旅行サイトで海外のホテルを予約したが、現地で予約が取れていないと言われた
     【事例2】予約中「エラー」と表示されたため別の予約をしたら、二重予約になってしまった
     【事例3】予約内容が、自分が選択した内容と違っていた
     【事例4】代金を支払ったが、航空券を受け取らないまま事業者と連絡が取れなくなった
     【事例5】半年後の航空券を解約したいが、代金の50%の解約料がかかる
     【事例6】予約内容を訂正したいが、日本語の顧客対応窓口がない
     【事例7】返金に関する顧客対応窓口の説明が間違っていた

     相談事例には、業者に問題があるパターンだけでなく、消費者側が不注意な場合もある。これの相談事例を大きく分けると、4つの問題点に分けられる。

    ★ネット予約の旅行サイトでの問題点(国民生活センターのまとめと筆者による注意点)

     ・問題点1:システムエラーなど、消費者が注意しても防げないトラブル

     旅行サイトのシステムエラーなどで起きる、予約が取れない、二重に請求されるなどのトラブル。消費者側に落ち度はなく、旅行サイト側の問題だ。原因がエラーであったことを証明するのが難しいため、トラブルの解決がしにくい。

     →トラブル時に日本語で問い合わせができる窓口があるか、もしくは消費者側が英語で問い合わせができるかどうかがポイント。旅行サイトを運営する会社がどこまで信用できるかという問題でもある。

     ・問題点2:事業者が倒産した場合、代金の全額払い戻しを受けることが難しい

     旅行代金を支払った後に事業者が倒産し、旅行に行くことができなくなったり、返金を受けられなかったりといった相談もある。倒産した場合に一部が弁済される制度はあるものの、実際には支払った全額が戻るケースはほとんどない。

     →旅行サイト運営会社の信頼度の問題。倒産の心配が少ない大手旅行会社を選んだほうが安全だ。

     ・問題点3:海外の旅行サイトではコミュニケーションを取るのが難しい

     海外の旅行会社では、問い合わせしても連絡が取れなかったり、日本語サイトであっても日本語の顧客対応窓口を設けていなかったりする場合がある。またキャンセルの条件や返金等について、事実と異なる内容を説明されたり、旅行サイトと航空会社やホテルの間をたらい回しにされたりすることも。

     →日本語の問い合わせ窓口がない旅行会社を選ぶべきではない。英語に自信がないのであれば、国内の大手旅行会社を選んだほうが無難である。

     ・問題点4:海外旅行サイトの場合、日本の法律などを用いた交渉が難しいケースがある

     海外の旅行会社では、日本の旅行業法や電子消費者契約法は及ばない。そのため日本の消費者が旅行業法などに基づいて返金を求めても受け付けてもらえない。

     →格安の旅行会社を選ぶ場合は自己責任で。高くても国内の大手旅行会社を選んだほうがトラブルは少なくなる。

    「問い合わせ窓口があるか」「高くても国内大手を」

     最近では旅行費用の比較サイトが人気だ。比較サイトには、びっくりするような低価格でツアーや航空券・ホテル予約を提供している旅行会社がある。しかしその旅行会社が本当に信用できるか、トラブル時に対応できるかといった点は未知数だ。消費者側が旅行会社の信用度をチェックする必要がある。

     それらの事情を含めて、ネット予約での旅行トラブルを防ぐ対策をまとめておく(国民生活センターでの対策に、筆者の注意を含めたもの)。

    ★ネット予約の旅行トラブルを防ぐための対策

     1・契約前に旅行サイトの所在地情報などを確認する

     契約前に旅行サイトを運営する事業者がどこの国の事業者かを確認すること。国内の旅行会社であれば、国や都道府県に登録されているか、旅行業協会(日本旅行業協会か全国旅行業協会)に登録されているかチェックする。海外の旅行会社の場合は、日本語で電話やメール対応をしているかどうか事前に確認する。不安があれば、海外の旅行会社は避けたほうが無難だ(参考:外国の旅行会社など旅行業登録のない会社のホームページへの申込に注意しましょう:日本旅行業協会)。

     2・解約料などの契約条件や予約内容をよく確認する
     格安なツアー代金・ホテル予約・航空券予約では、何からの制約がついていることが多い。早期予約が条件で、変更できないか、変更するには高額な手数料が必要などの制約だ。これらの条件を事前にチェックする。また氏名のスペルを間違えて、飛行機に搭乗できなくなることもあるので、予約は慎重に行うこと。

     3:予約確認メールなどは、旅行が終わるまで保管する
     契約後に送付される予約確認メールは、解約料等の契約条件や予約内容を明示する大切な書面だ。後でトラブルになることもあるので必ず保管する。また予約サイトの画面も印刷しておいたほうがよい。

     4:トラブルになったら消費生活センター等に相談を
     トラブルにあった場合は、すぐに最寄りの消費生活センターに相談する(消費者ホットライン:局番なしの「188」)。海外の業者とのトラブルについては国民生活センター越境消費者センター(CCJ)でも相談を受け付けている。

     5:高くても国内の大手旅行会社を選ぶ
     ネットで安いところを選ぶ場合は、トラブルが起きることも含めて自己責任であることを覚悟する。海外の旅行会社であれば、英語で交渉できるだけの英語力があったほうがよい。それが無理なら、値段が高くても信頼できる国内大手旅行会社を選んだほうがよい。

     トラブル対策の最大のポイントは「日本語で電話対応してくれるか」にかかってくる。海外の安い旅行会社を選んで失敗するよりも、多少高くても国内の大手旅行会社を選んだほうが安心して旅行が楽しめるだろう。筆者としては旅行代金の比較サイトに惑わされず、安心できる国内の大手旅行会社を選ぶことを勧めたい。

    ●参考記事
    インターネットで予約した旅行に関するトラブルにご注意:国民生活センター
    ネット通販詐欺サイト…「格安」検索トップに表示:サイバー護身術
    インターネット消費者トラブル:消費者庁

    2016年09月09日 18時48分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    三上洋   (みかみ・よう
     セキュリティ、ネット活用、スマートフォンが専門のITジャーナリスト。最先端のIT事情をわかりやすく解き明かす。テレビ、週刊誌などで、ネット事件やケータイ関連の事件についての解説やコメントを求められることも多い。
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