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    ITジャーナリスト三上洋さんが、サイバー犯罪から身を守る術や情報流出対策などを解説します。

    ポケモンGO騒動…「違反アプリ」「ポケソース」が原因

     東京・お台場でポケモンGOのプレーヤーが集中し、警察が出動する騒ぎが起きた。原因には規約違反の「ポケモンサーチアプリ」の存在、「ポケソースの場所」や「強いポケモンを探す人が増えたこと」などの問題がある。(ITジャーナリスト・三上洋)

    お台場で騒ぎ、その後も繰り返し警察出動

    • 9月21日にも同じ場所で「ラプラス」が出現し、数十人のプレーヤーが集まり、警察も出動した(筆者撮影)
      9月21日にも同じ場所で「ラプラス」が出現し、数十人のプレーヤーが集まり、警察も出動した(筆者撮影)

     9月18日に東京・お台場で、ポケモンGOのプレーヤーが集まる騒ぎが起きた。数百人のプレーヤーが珍しいポケモンを探して殺到し、車道まであふれる状態になった。110番によって警察が出動したが、混乱のピーク時には2車線の車道のうち、1車線をポケモンGOのプレーヤーが占領してしまい交通を妨害した。

     写真は騒動から3日後の21日のお台場だ。この日も珍しいポケモンが出現したことからプレーヤー数十人が集まった。筆者は出現直後の現場にいたが、パトカー3台と10人以上の警察官が集まって警戒していた。

     騒動の理由は、大きく分けて三つある。一つは強くてレアなポケモンを探すため。ポケモンGOの中でも希少(レア)度が高く、かつ対戦でも強い「ラプラス」と呼ばれるポケモンをゲットしようとプレーヤーが集まった。二つめは「ポケモンサーチアプリ」の存在だ。離れた場所からポケモンを探せるアプリが、騒動を加速させている。三つめはポケモンの出現場所=ポケソースの位置の問題だ。お台場の騒動では、歩行者が立ち入ることができない場所に、レアなポケモンが定期的に出現していたため騒動が起きている。

     三つの原因を対策とともに見ていこう。

    ●原因1:レベルがあがると「強いポケモン」が欲しくなる

    • ポケモンGOで対戦するためのジム。中級者以上になると、このジム対戦で強いポケモンを探す人が増える
      ポケモンGOで対戦するためのジム。中級者以上になると、このジム対戦で強いポケモンを探す人が増える

     ポケモンGOは大きく分けて「コレクション」「育成」「対戦」という三つの楽しみ方がある。このうち「対戦」では、ジムと呼ばれる対戦場所で、自分のポケモンを戦わせて勝つのが目的だ。勝つためには強いポケモンが必要だ。ポケモンGOで中級者と呼ばれるレベル20以上になると、多くの人がジムで強いポケモンを欲しがる。

     ジムで強いポケモンの一例が「ラプラス」と「カイリュー」だ。ラプラスは希少なポケモンで、なかなかゲットすることができない。お台場に人が集中した理由は、このラプラスをゲットするためだった。

     同時期に東京・上野の不忍池でも、ポケモンGOで問題が起きている。プレーヤーのマナーが悪いため、寛永寺が、境内(弁天堂)でのプレーを禁止する看板を出した。

     この不忍池では「ミニリュウ」と呼ばれるポケモンがゲットできるため人が集まっている。ミニリュウ自体は強くないが、ミニリュウをたくさん集めて進化させると強い「カイリュー」になる。つまりジムで強い「カイリュー」を作るために、不忍池にプレーヤーが集中している。

     お台場でラプラス、不忍池でカイリュー。いずれもジムで強いポケモンで、中級者が目指しているものだ。初心者を卒業したプレーヤーが、この二つを探して遠征する。それが結果としてお台場と不忍池の騒動につながっていると言える。

     もちろんプレーヤーのマナーの悪さが原因だが、強くてレアなポケモンをゲットするには「出る場所に遠征しなくてはならない」「結果として1か所にプレーヤーが集まる」というゲーム自体の構造も原因の一つだろう。

    規約違反の「サーチアプリ」とポケモン出現場所「ポケソース」問題

    ●原因2:離れた場所でリアルタイムに出現がわかるアプリ

    • ポケモンサーチアプリの一例。離れた場所からポケモンをリアルタイムで探せるが、規約違反の不正なツールだ
      ポケモンサーチアプリの一例。離れた場所からポケモンをリアルタイムで探せるが、規約違反の不正なツールだ

     お台場騒動の最大の原因は、この「サーチアプリ」にある。ポケモンGOの正規アプリは、その場所にいる人にしかポケモンが見えないしくみだ。しかし非公式アプリやウェブサービスでは、離れた場所からポケモン出現がわかってしまうものがある。いわゆる「ポケモンサーチアプリ」「ポケモン地図アプリ」と呼ばれるものだ。

     たとえば、お台場の地図を、ポケモンサーチアプリやウェブサービスで見ると、今どんなポケモンがお台場に出ているのか、何分後までいるのかといった情報がわかってしまう。

     お台場の騒動はテレビでも報道され、プレーヤーが「出現したぞ」と走っている様子が流れていた。あれはサーチアプリなどで、ラプラスが出現したことを知った人、それを聞いた人が、どっと押し寄せている様子なのだ。

     このサーチアプリやポケモン出現地図のウェブサービスは、ポケモンGOの規約違反であり、運営側によって禁止されている。しかし便利なサービスであるだけに利用者が多く、攻略サイトでも利用されている。

     ポケモンGOの運営会社のナイアンティックは「見えない場所のポケモン出現がわかるアプリは規約違反であり、不正ツールだ。これらのツールを使えないように不正対策を進めている。規約違反なので使わないでいただきたい」とコメントしている。

    ●原因3:ポケモンの出現場所「ポケソース」

    • お台場騒動の原因となった場所付近の交差点。歩行者が立ち入れない場所に「ポケソース」があったために混乱が起きた
      お台場騒動の原因となった場所付近の交差点。歩行者が立ち入れない場所に「ポケソース」があったために混乱が起きた

     お台場騒動で、車道に人が出てしまった理由に、歩行者が行けない場所にポケモンが出現していたことがある。

     実はポケモンが出現する場所は原則として固定されており、その場所に一定間隔でポケモンが出現する。このポケモンが出現する場所のことを、プレーヤーは「ポケソース」と呼んでいる。

     お台場騒動では、強くてレアな「ラプラス」が、歩行者が入れない場所のポケソースに出現していた。しかも1日に数回出現するために、ポケソースの周りに人がスタンバイしている状態だったのである。プレーヤーのマナーが悪いのが問題ではあるが、そもそも人が入れない場所にレアなポケモンを出すこと自体にも問題があるだろう。

     警視庁東京湾岸署は、お台場騒動後の20日、ナイアンティックに対して改善を申し入れている。しかしこの場所でのラプラス出現は、21日まで続いており、22日前後になってようやく「人が入れない場所でのラプラス出現」は止まったようだ。すぐには対応できないナイアンティック側の問題もあるだろう。

    • 9月21日18時頃、お台場の同じ場所にラプラスが出現。警戒のためにパトカーが出動した
      9月21日18時頃、お台場の同じ場所にラプラスが出現。警戒のためにパトカーが出動した

     警視庁は27日に改めて、ポケモンGOの著作権を管理する「株式会社ポケモン」の担当者に対して、交通ルールの徹底やマナー向上を呼びかけるようにと要望を申し入れた。ナイアンティックは「関係各所と協議の上、改善を進めていく」とコメントしている。

    マナー向上と運営会社の迅速対応が不可欠

     このように各地で起きているポケモンGOの騒動は、プレーヤーが1か所に集中してしまうゲームの構造、規約違反アプリ、ポケソースの設置・管理の問題という3点が原因だと筆者は考えている。

     ポケモンGOは開始直後の大ブームは一段落したものの、プレーヤーはまだまだ多く、今後も強いポケモンを探して人が集中することが考えられる。

     まずはプレーヤーのマナー向上が重要だ。一人一人のプレーヤーが周りに迷惑をかけないように、交通ルールを守り、私有地や車道に侵入しないように心がける必要がある。運営会社側もマナー向上とルールを守ることを呼びかけるべきだろう。

     改めてポケモンGOでのトラブル対策をまとめておきたい。

    ●ポケモンGOを安全に楽しむ・騒動を防ぐための対策

    1:交通ルールを守り、私有地に侵入しない

     ポケモンGOは歩きながらプレイしない。交通ルールを守り、車道ではプレイしないこと。私有地に侵入しないように注意する。

    2:規約違反のサーチアプリ・ウェブサービスは使わない

     離れた場所からポケモン出現がわかるアプリ・サービスは使わない。規約違反であり、利用していた場合、ポケモンGOのアカウントが削除される可能性もある。

    3:運営会社によるポケモン出現場所のチェック・管理

     これは運営会社側の問題になるが、私有地に出現させない(ポケソースを私有地近くに置かない)、騒動を把握してすぐに対応するなどのチェック対策をとるべきだ。また人を1か所に集中させないように、出現場所をランダムにするなどの改善も望みたい。

     ポケモンGOの運営会社であるナイアンティックは、小さな会社であり、世界中でも100人を下回るスタッフで運営されている模様だ。できればスタッフを拡充し、ポケソースの場所の調整、ポケモンの出現場所などを細かく管理してほしいものだ。位置情報を使ったゲームの代表格として、率先して安全対策に取り組んでほしい。

    ・ポケモンGO偽アプリから見るスマホの3大脅威:サイバー護身術

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    2016年09月30日 18時44分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    三上洋   (みかみ・よう
     セキュリティ、ネット活用、スマートフォンが専門のITジャーナリスト。最先端のIT事情をわかりやすく解き明かす。テレビ、週刊誌などで、ネット事件やケータイ関連の事件についての解説やコメントを求められることも多い。
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