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    ITジャーナリスト三上洋さんが、サイバー犯罪から身を守る術や情報流出対策などを解説します。

    有料サイトかたる架空請求詐欺に注意!

     警察庁の統計によると、特殊詐欺全体の件数は減っているものの、有料サイトをかたる架空請求詐欺の件数が増えている。特に電子マネーをコンビニで買わせてだまし取る詐欺が増えているので注意が必要だ。(ITジャーナリスト・三上洋)

    警察庁が平成28年の「特殊詐欺」統計を発表

    • 平成28年の特殊詐欺認知件数と被害額(警察庁)
      平成28年の特殊詐欺認知件数と被害額(警察庁)

     警察庁が2月2日に平成28年の「特殊詐欺」の統計を発表した(PDF資料:平成28年の特殊詐欺認知・検挙状況等について:警察庁)。「特殊詐欺」とは、面識のない不特定多数の相手をだます詐欺のこと。実際に会わずに、電話やメールでお金などをだまし取るもので「オレオレ詐欺」「架空請求詐欺」などがある。

     グラフは特殊詐欺全体の件数と被害額だ。件数は前年に比べて微増で(前年比+327件、+2.4%)、被害額は406.3億円と前年より減少した(前年比-75.7億円、-15.7%)。警察の取り締まりや呼びかけ、金融機関などでの対策が効果を上げている。

    • 有料サイト利用料金等の詐欺件数(警察庁発表から筆者作成)
      有料サイト利用料金等の詐欺件数(警察庁発表から筆者作成)
    • 有料サイト利用料金等の詐欺・月別件数(警察庁発表から筆者作成)
      有料サイト利用料金等の詐欺・月別件数(警察庁発表から筆者作成)

     ただし有料サイト料金をかたる詐欺は増加している。平成27年の「有料サイト利用料金等名目」の件数は1523件だったが、平成28年には1861件と22%も増加した。直近5年間のグラフを見ると一貫して増えている。

     さらに月別の数字でも、有料サイト料金をかたる詐欺は増加している。平成28年9月までは1か月に150件前後だったが、11月は229件、12月には258件と年末にかけて増加。架空請求詐欺の中でも、有料サイトをかたる詐欺が特に増えているように見える。

     増えた理由は、スマホ普及で詐欺メールや詐欺サイトに触れる機会が増えたことにありそうだ。前回の記事「DMM装う詐欺摘発…被害10億円以上か」でも取り上げたように、SMS(ショート・メッセージ・サービス)での詐欺が目立っているほか、スマホ向けサイトの広告でだまされる例もある。スマホ向けサイトでは、広告を誤クリックさせるようなデザインが増えているため、うっかり詐欺サイトへ誘導されてしまうこともある。詐欺業者はスマホユーザーを狙っているのだ。

    架空請求詐欺の被害者の4分の1は高齢女性

    • 架空請求詐欺の被害者年齢・性別(警察庁)
      架空請求詐欺の被害者年齢・性別(警察庁)

     有料サイト料金目的の詐欺を含む「架空請求詐欺」の被害者の年齢・性別をまとめたのが右の表だ。男性は約4割、女性は約6割で女性の方が多くなっている。特に女性で多いのは70歳以上の高齢者で、全体の27.1%を占めている。

     架空請求詐欺には「有料サイト利用料金名目」のほか「借金返済・債権回収」「訴訟関係費用等名目」などがあるが、「有料サイト利用料金名目」が件数で半分(49.5%)を占めている。

     ということは70歳以上の高齢女性も、「有料サイト利用料金名目」の詐欺にだまされていると考えていいだろう。高齢女性がアダルトなどの有料サイト詐欺にだまされるのか?と疑問に思うかもしれないが、内容にかかわらず架空請求詐欺メールに反応してしまっている可能性がある。

     他の特殊詐欺でも、70歳以上の高齢女性の被害が多くなっている。たとえば「振り込め詐欺」では全体の52.6%が70歳以上の女性、「オレオレ詐欺」では全体の71.6%が70歳以上の女性だ。おばあちゃん世代の女性が多いので、家族は注意すべきだろう。

    • 電子マネー型の詐欺件数と被害額(警察庁)
      電子マネー型の詐欺件数と被害額(警察庁)

     今回の統計の中で、警察庁が特に注意を呼びかけているのが「電子マネー型」の詐欺だ。コンビニで電子マネーやギフトカードなどを買わせ、その番号をメールや電話で伝えさせる手口だ。グラフを見ても分かる通り、件数・被害額ともに大きく増加している。警察庁によれば「被害額の比較的小さい犯行が多数回行われる傾向が見られた」とのことで、数万円程度のアダルト詐欺・有料サイト利用料金目的の詐欺で使われているようだ。

     現在のアダルト詐欺・架空請求詐欺のほとんどは、この電子マネーで払わせる手口を使っている。Amazonギフトカードなどを買わせるパターンが主流で、犯人が身元を隠しやすいからだと思われる。「コンビニへ行って電子マネーやギフトカードを買え」と言われたら、詐欺だと考えていい。

    高齢の家族がスマホ・携帯を使っている場合に注意を

     警察ではこれらの特殊詐欺被害を減らすために、積極的に捜査・摘発を行っている。たとえばコンビニと連携して電子マネー購入者への声かけを行う、犯行に使われる携帯電話を止めるなどの対策のほか、犯行グループの拠点の摘発も行っている(前回の記事参照)。

     私たちができることは、自分がだまされないだけでなく、高齢の家族への注意を払うことだろう。対策をまとめておく。

    ●架空請求詐欺、アダルト詐欺などへの対策

    1:「後払いの高額請求」は詐欺だと疑え

     電話・メール・SMSなどで来る「後払いの高額請求」は詐欺だと考える。ほとんどのサイトは先払いであり、後払いのメールや電話は疑ったほうがいい。

    2:何があっても連絡しない

     メールなどに「キャンセルの方はこちら」と書いてあってもクリックしない。詐欺業者の目的は電話をかけさせて脅すことなので、なにがあっても連絡せずに無視しよう。

    3:高齢家族に注意を

     オレオレ詐欺・架空請求詐欺の被害者の多くは高齢者だ。携帯電話やスマホで困っていないか、急に現金を必要としていないかなど、家族が注意を払ってほしい。

    4:困ったら「188(いやや!)」で相談

     不安になったら消費者ホットライン「188(いやや!)」へ。最寄りの消費生活センターの番号を教えてくれるので、電話で相談できる。

     なおGoogleなどの検索サイトで「架空請求詐欺」「アダルト詐欺」と検索すると、「解決します」「返金交渉します」などの広告が出てくるが、これも詐欺か詐欺まがいの広告なので絶対に手を出してはいけない。詳しくは以前の記事「詐欺被害者を二重にだますネット広告に注意!」を見ていただきたい。

    ★参考記事

    ・振り込め詐欺を始めとする特殊詐欺の被害状況:警察庁

    ・「解約」の罠にご注意~アダルト詐欺相談が5年連続1位:サイバー護身術

    ・ネット詐欺 狙われるシニア ~アダルト関係など相談急増~:サイバー護身術

    2017年02月24日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    三上洋   (みかみ・よう
     セキュリティ、ネット活用、スマートフォンが専門のITジャーナリスト。最先端のIT事情をわかりやすく解き明かす筆力には定評がある。テレビ、週刊誌などで、ネット事件やケータイ関連の事件についての解説やコメントを求められることも多い
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