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    ITジャーナリスト三上洋さんが、サイバー犯罪から身を守る術や情報流出対策などを解説します。

    高校生のスマホトラブル調査

     高校生のスマホ所持率は約96%と、ほぼ全員が持つ時代になった。高校生のスマホトラブルの多くは、LINEなどSNSのコミュニケーションが元になっている。またスマホを「安全に利用できている」と思っている高校生は、ルールを「家庭内で話し合って決めた」割合が高くなっている。(ITジャーナリスト・三上洋)

    LINEと東京都・神奈川県による高校生のスマホ利用調査

    • 高校生が使っているSNSではLINEが多い(LINE・東京都教育委員会)
      高校生が使っているSNSではLINEが多い(LINE・東京都教育委員会)

     LINEと東京都教育委員会・神奈川県教育委員会が「青少年のネット利用実態把握を目的とした調査」を実施し、3月23日に中間報告が発表された(青少年のネット利用実態把握を目的とした調査 中間報告)

     まず高校生のスマホ所持率は、東京都で96.3%、神奈川県で97.3%と非常に高い数字になった。高校生のほぼ全員が自分専用のスマホを持っており、持っていない人はクラスに1人程度と考えてもいいだろう。他の世代はこれほどスマホを持っていないだろうから、スマホを最も使っているのは現在の高校生だと言える(参考記事:未成年のスマホ利用は1日3時間以上:サイバー護身術)。

     高校生が使っているSNSは、以下の順となっている(これ以降すべて東京都の高校生のデータ)。

    ●高校生が使っているSNS(1日に1回以上使っているサービスをカウント。東京都の高校生)

    ・LINE 95.1%

    ・Twitter 67.5%

    ・Instagram 24.9%

    ・Google+ 23.8%

    • 高校生の1日あたりのスマホ利用時間(LINE・東京都教育委員会)
      高校生の1日あたりのスマホ利用時間(LINE・東京都教育委員会)
    • 高校生のスマホ利用時間帯(LINE・東京都教育委員会)
      高校生のスマホ利用時間帯(LINE・東京都教育委員会)

     特にLINEは圧倒的で、1日に20回以上LINEを使っているという高校生が44.9%もいる。高校生のほぼすべてが、LINEでコミュニケーションしていることが浮き彫りになった。その次に多いのはTwitterで67.5%であり、Twitterを利用する高校生は3人に2人いることになる。

     右はスマホなどを通じたネットの利用時間で、平日では1~3時間が多くなっている。しかしそれ以上の人も、4時間が8.5%、5時間が8.4%、6時間が4.5%もいる。休日はさらに利用時間が多くなることからも、高校生は「スマホにどっぷり()かっている」ような状態だと言えるだろう。

     ちょっと気にかかるのは、スマホの利用時間帯だ。東京都の高校生の調査では、22時台・23時台・24時台に集中しており、スマホで夜更かしをしている実態がある。その結果として、高校生のうちの23.2%が「ネットやゲームをする時間が長く、寝不足になった」と回答している(「ネット利用での問題」についての質問)。

    家庭内でスマホ利用ルールを話し合っている人ほど安全に使っている

    • ネットで実際に体験した嫌なことと、ネットで嫌だと感じるであろうこと(LINE・東京都教育委員会)
      ネットで実際に体験した嫌なことと、ネットで嫌だと感じるであろうこと(LINE・東京都教育委員会)

     LINEで実際にどんなトラブルを経験しているか、またネットで嫌だと感じていることは何かをまとめたのが左の画像だ。左側は「実際に体験したこと」で、右側は「もしされたら嫌なこと」になっている。

     実際に体験したことは、「知らない人からの友だち追加(17.1%)」「既読無視(10.3%)」「話の最中にスマホや携帯を触っていた(10.0%)」「未読スルー(9.2%)」となっている。主にLINEでのコミュニケーションの具体的な方法に関するものだ。

     それに対して「もしされたら嫌なこと」は、ネット上の人間関係・対人トラブルが目立つ。「(うそ)を広められた(13.8%)」「LINE上で自分の知られたくない情報が流された(12.4%)」「写真を勝手に公開された(11.9%)」「入っていないグループトーク内で自分の悪口を言われた(11.3%)」など、プライバシーや対人関係を心配している高校生が多い。

     「もしされたら嫌なこと」は、実際には体験していないことであり、体験した人は調査によれば少数にとどまっている。つまりプライバシーや対人関係のトラブルは、それほど多くはなく、それより目立つのは「知らない人からの友だち追加」や「既読無視」など、具体的なLINEのコミュニケーションの方法によるものだった。LINEいじめなどが社会的な問題にはなっているが、実際に高校生が困っているのはもっと具体的なLINEのやり方にあるということがわかる。

    • 高校生の安全意識と、家庭内の使用ルール話し合いとの相関関係(LINE・東京都教育委員会)
      高校生の安全意識と、家庭内の使用ルール話し合いとの相関関係(LINE・東京都教育委員会)

     では高校生はネット・スマホ利用の安全意識をどのぐらい持っているのだろうか? 「あなたはネットを安全に利用できていると思いますか?」という質問に対し、全体の84.0%が「安全に利用できている」また「やや安全に利用できている」と答えている。

     この安全意識は、スマホ使用ルールの決め方と関係があるようだ。右の画像はスマホ使用ルールと、高校生の安全意識を関連付けたもの。スマホ使用ルールを「家庭内で話し合って決めた」という人が多くなるほど、高校生の安全意識は高くなっている。それに対して「自分で考えて決めた」という人は、「安全に利用的できていない」割合が高くなった。

     つまり家庭内での話し合いが、高校生のネット利用の安全意識を高めると言えるだろう。保護者と高校生が、スマホ利用について話し合うことがもっとも大切だということがわかる。

     またLINEと東京都教育委員会では、この結果の追跡調査を第2回として実施している(青少年のネット利用実態把握を目的とした調査 第2回アンケート結果 速報版)。それによると学校での情報リテラシー教育を春に行ったところ、その後の調査でネット利用上の問題経験率が6%下回ったとのことだ。学校での情報リテラシー教育も重要だということがわかった。

    安全にスマホを使うための「SNS東京ノート」を作成・配布へ

    • 東京都の公立学校で配布される「SNS東京ノート」。後日、ネットでも配布される予定だ(LINE・東京都教育委員会)
      東京都の公立学校で配布される「SNS東京ノート」。後日、ネットでも配布される予定だ(LINE・東京都教育委員会)

     このように家庭内での話し合いと学校での情報リテラシー教育が、高校生のネット安全意識向上に効果があるということがわかる。LINEと東京都教育委員会では、この結果を基にして「SNS東京ノート」を作成し、2017年3月末より都内公立学校の全児童・生徒向けに配布することを発表した(【コーポレート】東京都教育委員会と情報モラル教育教材「SNS東京ノート」を共同開発、都内公立学校の全児童・生徒向けに配布:LINE)

     この「SNS東京ノート」は、わかりやすいグラフィックで、LINEなどのSNSやスマホトラブルの実例と対策がまとめられたものだ。小学生(低学年、中学年、高学年)、中学生、高校生向けの5種類が用意されている。また家庭内でのルールを考える項目も取り込んでおり、保護者が話し合いに使う教材にも向いている。

     公立学校で配布されるのでぜひ活用していただきたい。またネット上では後日、東京都教育委員会のホームページより誰でも閲覧・ダウンロードできる予定となっている。

    ★参考記事


    ・未成年のスマホ利用は1日3時間以上:サイバー護身術
    ・ネット被害児童が過去最多 アプリ多様化が一因:サイバー護身術
    ・【コーポレート】東京都教育委員会と情報モラル教育教材「SNS東京ノート」を共同開発、都内公立学校の全児童・生徒向けに配布:LINE

    2017年03月24日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    三上洋   (みかみ・よう
     セキュリティ、ネット活用、スマートフォンが専門のITジャーナリスト。最先端のIT事情をわかりやすく解き明かす。テレビ、週刊誌などで、ネット事件やケータイ関連の事件についての解説やコメントを求められることも多い。
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