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    ITジャーナリスト三上洋さんが、サイバー犯罪から身を守る術や情報流出対策などを解説します。

    Twitterで2倍に…増える犯罪被害児童

     コミュニティーサイトでの犯罪被害児童数が過去最多となった。特にTwitterでの被害が前年の2倍に急増している。複数アカウントを匿名で使えること、年齢規制がないことなどが理由のようだ。(ITジャーナリスト・三上洋)

    コミュニティーサイトでの被害児童数が過去最多。中学生も被害に

    • コミュニティーサイト及び出会い系サイトでの被害児童数の推移(警察庁)
      コミュニティーサイト及び出会い系サイトでの被害児童数の推移(警察庁)

     警察庁が4月20日に発表した統計によると、SNSなどコミュニティーサイトの被害児童数は1736人で過去最多となった(PDF資料:平成28年におけるコミュニティサイト等に起因する事犯の現状と対策について・関連資料)。

     グラフを見ると、平成19年までは携帯電話(いわゆるフィーチャーフォン)などの出会い系サイトの被害が多かったが、現在では出会い系サイトの被害は大幅に減少。その代わりにスマホ向けのコミュニティーサイトの被害が急増している。

     背景にはスマートフォンの普及があるだろう。被害児童のアクセス手段の割合を見ると87.8%がスマホを使っており、パソコン・音楽プレーヤーは10.2%、携帯電話は2.0%に過ぎない。コミュニティーサイトでの犯罪の多くで、スマホが使われていることになる。

     未成年のスマホ所持率は大きく上昇しており、内閣府調査(平成28年度)によれば高校生で94.8%、中学生で51.7%となっている(参考記事:未成年のスマホ利用は1日3時間以上:サイバー護身術)。スマホを持つ児童が増えたことから、援助交際などの犯罪に巻き込まれる機会が増えたとも考えられる。

    • コミュニティーサイトにおける年齢別被害児童数の推移(警察庁)
      コミュニティーサイトにおける年齢別被害児童数の推移(警察庁)

     年齢別の被害児童数をまとめたのが上のグラフだ。16歳、17歳が合わせて50%を超えもっとも多く、13歳から15歳も増加している。中学生にあたる13歳で168件(9.7%)、14歳でも304件(17.5%)もの被害があるのは驚きだ。コミュニティーサイトでの犯罪被害が中学生にも及んでいる。

    Twitter被害増加は複数アカウントを匿名利用、年齢規制なしが原因か

    • 主なコミュニティーサイト種別の被害児童数の推移(警察庁)
      主なコミュニティーサイト種別の被害児童数の推移(警察庁)

     実際に使われているコミュニティーサイトは上のように多岐にわたっている。詳しい種別については以前の記事「ネット被害児童が過去最多 アプリ多様化が一因:サイバー護身術」にまとめているが、「Twitter」「LINE」「Facebook」などの複数交流系、スマホアプリを使う「ぎゃるる」「ひま部」「友達作りTalk」「ひまチャット」などのチャット系、LINEのQRコードなどを交換する「ひまトーーク」などのID・QRコード交換系が上位を占めている。

     この中でもっとも目立ったのがTwitterだ。平成27年の被害児童数は226人だったが、平成28年は446人と約2倍に急増した。他のコミュニティーサイトは減少しているのに対し、Twitterだけが猛烈に増えている。

     Twitterでの被害急増の理由について警察庁では、年齢認証がないこと、複数のアカウントを簡単に取得できること、援助交際に関連するキーワード検索ができることなどを挙げている。

    • 被害児童数が多いサイト。Twitterが前年の約2倍と急増している(警察庁)
      被害児童数が多いサイト。Twitterが前年の約2倍と急増している(警察庁)

     Twitterのキーワード検索では、ハッシュタグが利用されている。ハッシュタグとは「#○○」のように「#」にキーワードを付けたもので、検索のキーとして使われているものだ。援助交際がらみで使われているハッシュタグが複数あり、そこに地域名を入れて出会いを求める書き込みが多数ある。

    • Twitterの援助交際関連のハッシュタグ検索の例。ほとんどは風俗などの業者だが、中には未成年と思われるものもある
      Twitterの援助交際関連のハッシュタグ検索の例。ほとんどは風俗などの業者だが、中には未成年と思われるものもある

     実際に検索すると「これから会える人募集」「暇です。都内で会える人いませんか」「ホ別2万(ホテル代とは別に2万円という意味)」などの書き込みが多数見つかる。多くは風俗などの業者の宣伝だが、中には未成年ではないかと思われる書き込みもある。女性側・男性側の双方の書き込みがあり、TwitterのDM(ダイレクトメッセージ)でやり取りを希望している人が多い。

     このようにTwitterのハッシュタグ検索が、援助交際などの足場に利用されている実態がある。Twitter社は、深刻に受け止め改善するとのコメントを出しているが、年齢認証を世界的に導入するのは難しいと思われ、被害をすぐに減らせるような具体的な対策があるかは未知数だ。

    「被害」だけではなく児童が金稼ぎのために利用している実態も

    • コミュニティーサイトで被害児童が被疑者と会った理由(警察庁)
      コミュニティーサイトで被害児童が被疑者と会った理由(警察庁)

     ここまで「被害児童」と書いてきたが、児童が一方的に被害を受けている犯罪だけでなく、児童が自ら援助交際などを行っている実態もある。

     上は被害児童1331人に聞いた「被疑者と会った理由」で、「金品目的」が34.1%、「性的関係目的」が9.8%ある。警察庁ではこの二つを「援助交際に関連」としてまとめており、合わせて44.0%は児童自ら金品や性的な関係を求めてコミュニティーサイトを使っていることになる。援助交際というより、実態は売春に近いだろう。安易に金稼ぎのためにコミュニティーサイトを利用してしまう児童がいることに注意を払うべきだ。

     このようにコミュニティーサイトでの児童被害が増える中、警察庁ではコミュニティーサイトなどの事業者による協議会設立を支援し、被害防止対策を強化させようとしている。またサイバーパトロールによる通報やサイバー補導を推進するとのことだ。

     保護者ができる対策としては、子供の行動をよくチェックすることだ。筆者は「子供のお金と時間に注意しよう」と呼びかけている。子供が高価な品物を持っていないか、金遣いが荒くないか、お小遣いは足りているのか、などをよく見張ること。子供がなぜかお金を持っている場合は、援助交際などをしている可能性があるからだ。

     また時間の使い方も重要だ。学校とクラブ活動のほかに、どんな時間の使い方をしているのか。外出が多い場合は、何をしているのか、子供が言っていることは本当かということを確かめておきたい。外出が多い=外でお金を使うことが多いということであり、何らかの収入があるかもしれない。

     子供とのコミュニケーションを増やすことがもっとも大切ではあるが、中高校生は難しい年代であり話し合いができないこともある。子供のお金と時間に関心をもつこと、スマホのフィルタリングも行うことが親にとって重要だ。

    ★参考記事

    ネット被害児童が過去最多 アプリ多様化が一因:サイバー護身術

    高校生のスマホトラブル調査:サイバー護身術

    平成28年におけるコミュニティサイト等に起因する事犯の現状と対策について:警察庁PDF資料

    2017年04月21日 17時12分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    三上洋   (みかみ・よう
     セキュリティ、ネット活用、スマートフォンが専門のITジャーナリスト。最先端のIT事情をわかりやすく解き明かす筆力には定評がある。テレビ、週刊誌などで、ネット事件やケータイ関連の事件についての解説やコメントを求められることも多い
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