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    ITジャーナリスト三上洋さんが、サイバー犯罪から身を守る術や情報流出対策などを解説します。

    LINEと連携の「マイナポータル」…何ができる? 安全性は?

     6月15日に行われた「LINEカンファレンス2017」に、高市早苗総務相が登場した。政府が推進するマイナンバー制度のポータルサイト「マイナポータル」が、スマホで6800万人のユーザーがいるLINEと連携することで、利便性向上と一段の普及を狙ったものだ。「マイナポータル」とは何か? LINEとの連携内容を含めて、改めて整理しておこう。(ITジャーナリスト・三上洋)

    「マイナポータル」って?

    • LINE発表会に高市総務相が登場。マイナポータルとLINEの連携が発表された
      LINE発表会に高市総務相が登場。マイナポータルとLINEの連携が発表された

     LINEカンファレンスとは、スマホのメッセージングサービス国内最大手「LINE」が、1年に1度行う新サービス発表会のこと。この発表会で、マイナポータルとLINEとの連携が発表された。

     高市総務相は発表会の中で、「今秋から稼働予定の『マイナポータル』は、パソコンだけではなくスマホでも使えるようにする。6800万人のユーザーがいるLINEと連携することで、行政窓口を身近にする第一歩にしたい」と述べた。

     さて、その「マイナポータル」だが、内閣府のサイトなどによると、政府が運営するオンラインサービスで、役所に行かなくても各種手続きができたり、お知らせが自動的に届いたりする仕組みだという。

     具体的に検討されているのが「子育てワンストップサービス」だ。住所や家族構成などを入力すると児童手当や保育サービスなどの情報が得られ、オンライン申請も可能になるという。この子育てワンストップサービスへの誘導として、2018年以降、LINEの利用が考えられているのだ。

    マイナンバーの入力なし 「マイナちゃん」を友だち登録

     6月上旬に「マイナンバーがLINEと連携」と報道された時は、LINEの株価が一時上昇するほどの影響があったが、いざ蓋を開けてみると、LINEからできるのは非常に単純なことのようだ。「マイナポータル」のキャラクターである「マイナちゃん」を友だち登録すると、LINE上で子育てサービスを検索できたり、電子申請のURLリンクが送られてきたりするという。

     LINEではマイナンバーや氏名の入力はせず、マイナンバーカードの認証も行わない。単純にマイナポータルのURLが表示されるだけ。LINEでの情報漏えいを心配する声もあったが、この仕組みなら氏名すら登録しないので、情報漏えいの心配はほぼないと言えるだろう。

    • 先行事例となる渋谷区とLINEによる子育て情報提供サービス。年齢と家族構成を登録すると、LINEから渋谷区ウェブサイトへのリンクが届く
      先行事例となる渋谷区とLINEによる子育て情報提供サービス。年齢と家族構成を登録すると、LINEから渋谷区ウェブサイトへのリンクが届く

     先行事例として、東京都渋谷区がLINEと連携した「One to Oneの子育て支援サービス」がある。渋谷区のアカウントを友だち登録し、住所や子供の年齢、家族構成を入力すると、それに合ったサービスの情報がLINEで送られてくる。

     便利ではあるが、実際には渋谷区ウェブサイトのURLが届くだけで、LINE上で何かができるわけではない。単なる検索の入り口と考えたほうがいいだろう。マイナポータルとLINEの連携も、これと似たシステムになると思われる。

    普及が遅れるマイナンバーカード。「マイナポータル」利用にハードルあり

    • マイナポータルで提供予定のサービス一覧
      マイナポータルで提供予定のサービス一覧

     筆者が考えるに、高市総務相が民間企業の発表会にまで登場するのは、マイナンバーカードや「マイナポータル」の普及が遅れているため、この機会にPRしたいという狙いがあるとみられる。

     マイナンバーカードの普及率は今年3月現在で全国民の8.4%(約1070万枚)にとどまっている。また「マイナポータル」も当初は今年1月スタートの見込みだったが、今秋に延期された。

     「マイナポータル」では、行政手続きをオンラインでできるのが特徴だが、いくつかハードルがある。まず利用にはICカードリーダーが必要なこと。パソコンに接続するICカードリーダーを自分で購入しなければならず、接続や設定も必要だ。パソコンに不慣れな人には難しいだろう。

     スマートフォンでの利用もできるが、対応するスマホは今のところ限られている。「NFC」と呼ばれる電子チップ搭載が必要で、現時点の対応機種はシャープ「AQUOS」の5機種、富士通「arrows」の3機種だけだ。利用者の多いiPhoneでの対応はまだ先で、来年4月以降になる見込みだ。

    「公的認証サービス」ポータルサイトのリンクはこちら⇒カードリーダライタのご用意

     これらの問題は総務省でも認識しており、パソコン向け専用アプリやAndroidスマホ向けアプリの提供などの改善策を発表している。そのうちの一つに、さまざまなサイトからマイナポータルに接続し、利用できるようにする「API連携」がある。今回のLINE提携もこれにあたる。

     普及はまだまだだが、「子育てワンストップサービス」で、保育園の利用や児童手当のオンライン申請などが実現すれば便利になりそうだ。2018年度以降には、ネットバンキング認証や、イベント会場でのチケット代わりに使うことも検討されている(マイナンバーを使うのではなく、カードの公的認証サービスを利用するもの)。

     改善策もはっきりしないものが多いが、「マイナポータル」の本格稼働に注目したい。

    ネットでの情報漏えいより怖いのは…

     そして何より私たち国民が注意すべきは、マイナンバーカードの扱いだ。マイナンバーカードには認証用のチップ(公的認証サービス)が含まれており、他の身分証明書と一緒に盗まれたり、なくしてしまったりした場合、暗証番号が単純だと、なりすましや悪用の恐れがある。

     ネット上の情報漏えいの心配よりも、カードの盗難・紛失を心配したほうがいいだろう。マイナンバーカードを他の身分証明書と一緒に日常的に持ち歩かないことや、盗難・紛失に遭わないよう大事に保管することが大切になる。

    ★参考記事

    マイナンバー詐欺が多発、3つの手口に注意を:サイバー護身術

    今度は「訪問型」…マイナンバー詐欺の新手口:サイバー護身術

    マイナポータルとは:内閣府

    渋谷区はLINEを活用したOne to Oneの子育て支援サービスを開始します:渋谷区

    2017年06月21日 11時30分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    三上洋   (みかみ・よう
     セキュリティ、ネット活用、スマートフォンが専門のITジャーナリスト。最先端のIT事情をわかりやすく解き明かす。テレビ、週刊誌などで、ネット事件やケータイ関連の事件についての解説やコメントを求められることも多い。
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