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水際対策の「壁」破られる、検疫やはり限界も

 神戸市内の高校生が新型インフルエンザに感染していることが確認され、他国と比べても厳しい水際対策は「壁」が破られた格好だ。

 空港での機内検疫など、新型ウイルスが国内に侵入するのを食い止める手法には、やはり限界があった。

 新型ウイルスは、感染してから2〜7日の潜伏期があり、発症の1日前から他人に感染する力があるとされる。発症しても症状が軽いケースも多く、各地で検疫を通り抜けた人から感染が広がっている可能性がある。

 神戸と同様に、生徒の感染が確認された米ニューヨーク市の高校では、家族を含め1000人以上がインフルエンザの症状を訴えた。学校のような人が集まる場所では感染拡大は速い。外岡立人・元小樽市保健所長は「日本でもすでに数百人以上が感染している可能性がある」と指摘する。

 国内初感染で、事態は新たな局面に入った。政府の専門家諮問委員会委員長を務める尾身茂・自治医大教授も「検疫態勢は徐々に縮小し、普段の規模に戻すべきだ」と主張する。

 今後は、検疫部門に割いていた医療関係者を各地に再配置し、感染の疑いのある患者が受診する「発熱外来」の設置など、大流行に備えることが急務だ。感染拡大の長期化も覚悟しなければならない。

 新型ウイルスは、感染しても軽症で済む「弱毒性」とされている。いたずらに恐れる必要はないが、人込みを避けたり手洗いを励行したりするなど、一人一人の予防策が大切だ。(科学部 米山粛彦)

2009年5月16日20時34分  読売新聞)
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