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    天平美と技の極致…正倉院展(上)

    • 槃龍背八角鏡(ばんりゅうはいのはっかくきょう) 直径31・7センチ、縁の厚さ0・9センチ
      槃龍背八角鏡(ばんりゅうはいのはっかくきょう) 直径31・7センチ、縁の厚さ0・9センチ
    • 羊木臈纈屏風(ひつじきろうけちのびょうぶ) 縦163.1センチ、横55.9センチ
      羊木臈纈屏風(ひつじきろうけちのびょうぶ) 縦163.1センチ、横55.9センチ
    • 熊鷹臈纈屏風(くまたかろうけちのびょうぶ) 縦162.9センチ、横56.0センチ
      熊鷹臈纈屏風(くまたかろうけちのびょうぶ) 縦162.9センチ、横56.0センチ
    • 玉尺八(ぎょくのしゃくはち) 長さ34・4センチ、吹口径2・0センチ
      玉尺八(ぎょくのしゃくはち) 長さ34・4センチ、吹口径2・0センチ

     第69回正倉院展が10月28日から11月13日まで、奈良市の奈良国立博物館で開かれる。初出展10件を含む58件の宝物は、シルクロードを介して伝播でんぱした西域の意匠を用い、精緻な技巧が凝らされるなど、天平文化の粋を堪能できる内容になっている。

     たなびく雲の中を、2頭の龍が天に昇らんとしている。中心にあるつまみ「ちゅう」は、ハスの葉に乗る亀の形。正倉院を代表する鋳造鏡「槃龍背八角鏡ばんりゅうはいのはっかくきょう」の文様は、龍の爪や亀の甲羅といった細部まで鮮明で、絵画を見るかのような美しさに驚かされる。

     聖武天皇ゆかりの宝物リスト「国家珍宝帳こっかちんぽうちょう」に記された20面の鏡の一つとされ、中国の神仙思想の世界観を表した逸品だ。成分分析から中国・唐で製作されたとみられており、遣唐使が持ち帰って献上したのだろう。

     聖武天皇が756年に亡くなった際に作られた可能性がある「羊木臈纈屏風ひつじきろうけちのびょうぶ」は、樹下にたたずむ巻角まきづのの羊をあしらう。ササン朝ペルシャ(3~7世紀)でよくみられるデザインで、胴体のあちこちにある三角文は、中国・新疆しんきょうウイグル自治区トルファンの錦に類例がある。シルクロードを通じた当時の盛んな国際交流を示す宝物だ。

     「熊鷹臈纈屏風くまたかろうけちのびょうぶ」は、クマタカ類とされる鳥が岩に止まっており、上方にある木の周囲では聖獣の麒麟きりんやイノシシが走り回る。1枚の屏風に静と動が同居している。

     「玉尺八ぎょくのしゃくはち」は、玉ではなく大理石を削って作られているが、竹の節などを忠実に模しており、シンプルな中にも品格を感じさせる。前面に五つの指穴があり、現在の四つと異なっているのが興味深い。

    2017年08月17日 12時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    会場状況

    第69回正倉院展は、おかげさまで無事終了いたしました。多くのお客様にご来場いただき、誠にありがとうございました。

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