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火星飛行想定、模擬宇宙船で520日…露が実験へ

 人類は火星にたどり着くのか――。

 往復520日間という火星への有人飛行を想定し、人体などへの影響を調べる実験が来年前半、ロシアで始まる。実験を行うモスクワ市内の医学生物学問題研究所で、準備の進む施設を見た。

 模擬宇宙船は4階建ての建物の中にあり、総面積約550平方メートル。操縦棟、居住棟、医務棟など、5棟から成る。円筒形の各棟は内部に木材が張られ、木の香りが心地よい。だが、天井はわずか3メートル。窓はない。

 被験者は宇宙船内から1歩も出ずに生活する。外部との連絡は原則的に、電子メールだけ。病人、けが人が出ても医務棟だけで治療する。機器の修理も自力で。毎日8時間を実験や検査にあて、1時間の自転車こぎで体力保持を図る。休日は週2日。息抜きはサウナ、シャワーとテレビだけだ。

 「火星との往復では飛行士の緊急脱出や水・食料の補給は不可能。これが地球の周りを回る国際宇宙ステーションとの違いだ」と、施設管理者は説明する。

 被験者は隣の制御室にデータを送り続け、これで、ストレスの程度や記憶力、知覚への影響、内臓機能や視聴覚、生殖能力の変化などがわかるという。被験者は、医師や電気工学の専門家などから6人を公募する。

 計算上、地球と火星を宇宙船で往復するには520日かかる。火星飛行に向けた実験を「火星500」と名付け、ロシア宇宙庁と科学アカデミーが一昨年に始めた。

 宇宙滞在の最長記録は、ロシア人飛行士ワレリー・ポリャコフ氏による438日。「500日」以上は、人類にとって未踏の長期隔離となる。

 イーゴリ・ウシャコフ所長は「この実験結果と宇宙での放射線被曝(ひばく)の問題などを総合的に判断し、2012年には火星への有人飛行の可否について結論を出したい」と話している。(モスクワで 緒方賢一)

2009年11月17日23時34分  読売新聞)
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