(1)しこ踏み制球力改善明大4年(東京六)
![]() 8季ぶりの優勝に貢献した明大の岩田(東京・神宮球場で)=三浦邦彦撮影
その1球が、岩田の今季の急成長を物語っていた。 勝てばリーグ優勝に王手をかけられる5月21日の立大4回戦。3点リードの九回二死、走者を2人背負って立大の浅山(和歌山・田辺)と対戦した。パンチ力のある右打者を、スライダーで落ち着いて中飛に打ち取った。 捕手のサインは直球だったが、今季初めて首を振った。実はその10日前の対戦で、浅山に直球を二塁打にされた反省があったのだ。「以前の自分はそんなことを考える余裕もなかった」と振り返る。 1メートル81、80キロの右腕。スリークオーターから長い腕をしならせて投げ込む直球とスライダーは角度がある。愛知・東邦高3年の時、春の甲子園にも出場。卒業後、あこがれの川上憲伸(中日)の出身校である明大に進んだが、レベルの高さに自信を失った。3年春は肩の故障にも苦しみ、出番を逃す不運もあった。 転機は3年の冬。新チームの副主将を任され、投手陣のまとめ役になった。練習メニューを仲間に課しただけに、率先して体をいじめ抜いた。相撲部の友人に助言も仰ぎ、しこを踏むなど下半身を鍛え上げた効果で、軸足も定まり、制球は改善した。 中継ぎで大学初白星をやっと挙げた昨秋とは見違える安定感は、数字にも表れている。昨秋の防御率は4試合で7・20だったが、今春は新球のシュートで投球の幅も広がり、13試合で0・95。リーグ最多の4勝を挙げる大活躍だった。 「六大学の代表として恥ずかしくない投球をする」。斎藤(東京・早実)らを擁して敵なしと言われた宿敵・早大を退け、巡ってきた大舞台。遅咲きのエースは一気に頂点を狙う。(新田哲史) ◇ 野球の大学日本一を決める第57回全日本大学野球選手権(全日本大学野球連盟、読売新聞社主催)は10日から15日まで、神宮球場と東京ドームで行われる。頂点を目指す全国の26チームの中から、注目の選手を紹介する。 (2008年6月3日 読売新聞)
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