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有力校の新星

次の主役はオレだ

 東洋大が大会記録を8分15秒更新して2年ぶり3度目の総合優勝を果たした第88回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝=関東学生陸上競技連盟主催、読売新聞社共催)。東洋大の強さばかりが目立った今大会だが、将来性豊かな多くの1年生ランナーが箱根デビューを遂げた。次回大会で有力校のエースとなりそうな新星を紹介する。

「双子エース対決」いつか…駒大2区・村山謙太 城西大1区・村山紘太

 大会前から注目を集めていた双子の1年生、駒大の村山謙太と城西大の紘太が箱根にデビューした。兄の謙太は各校のエースが集う2区、弟の紘太は1区と重要区間に起用され、ともに貴重な経験を積んだ。2人は互いを意識しつつ、「いつか兄弟で直接対決したい」と口をそろえた。

 宮城・明成高出身で、謙太は1メートル74、52キロ、紘太は1メートル73、51キロ。ほっそりとした体格、広いストライドを生かした走りはうり二つだ。1万メートル28分23秒18と高校歴代3位のタイムを樹立した謙太は優勝を狙う駒大を、潜在能力を高く評価される紘太は成長著しい城西大を選んだ。「別々の大学で力を試したかった」と2人は説明する。

 普段から仲がよく、励まし合っているが、大会直前は「緊張するだろうけど自分で乗り越えよう」と、言葉は交わさないことにしていた。先に1区で登場した紘太は、初舞台とは思えない果敢な走りで区間5位。総合6位に入ったチームの起爆剤となり、「いい流れを作れた」と振り返った。

 伝統校・駒大の「花の2区」を任された謙太も、3位でタスキを受け、積極的に2位グループを引っ張った。仕掛けるタイミングを見計らったが、東洋大の双子選手の兄、設楽啓太(2年)を警戒する余り、「自分のペースを見失ってしまった」。区間9位とやや不本意な結果に終わり、箱根の厳しさを味わった。

 往路のレース後、顔を合わせた2人は対照的な表情だった。「駄目だった」と反省する責任感の強い謙太を、マイペースな紘太が「次があるよ」と励ました。謙太は「弟が頑張っている姿を見ると、自分もできるはずと思えて元気が出る」と話し、紘太も「いつかは2区でエース対決したい」。支え、磨き合う兄弟の成長物語は始まったばかりだ。

気合の粘り 雪辱の鍵…早大5区・山本修平

 2位でタスキを受けた山登りの5区。3位から猛然と追ってきた明大の大江啓貴(ひろき)(3年)に9キロ手前で抜かれたが、10キロを過ぎて抜き返した。18・5キロ付近で再び抜かれても、最終盤の21・8キロ過ぎにまた逆転した。

 「最後は両太ももの裏とふくらはぎがつりかけていたけど、気合を入れて、持ち味の粘りで走りきることができた」。激しいデッドヒートの末に往路2位を死守し、ほっとした笑顔を見せた。

 エンジのユニホームに憧れ、愛知・時習館高から1浪して入学した。浪人時代も自分でメニューを組み立てて練習に励み、即戦力としての合流を目指した。その努力が実り、出雲駅伝で3区、全日本大学駅伝では1区と、ルーキーながら主要区間を任されてきた。

 箱根では、自らの区間記録を更新した東洋大の柏原に3分13秒離されたが、区間2位の大江から18秒差の同3位のタイムを残した。「沿道でいろんな人が応援してくれて純粋に楽しかった」

 2連覇を逃したチームにとって、雪辱の鍵を握る存在となる。

柏原から激励 笑顔の区間賞…東洋大4区・田口雅也

4区の区間賞を獲得した田口=報知新聞社提供

 タスキを渡す相手の5区・柏原竜二(4年)から、レース前に電話で激励された。「後ろにオレがいるから、安心して走ってこい」。その言葉に後押しされ、4区で区間賞を獲得。トップを守るだけでなく、さらにリードを広げて、主将にタスキを託した。

 往路新、復路新、総合新の記録ずくめの優勝に、唯一の1年生として貢献。「すごく強い先輩に囲まれていたので、安心して走れた。区間賞を取れて良かったし、この優勝メンバーに入れて光栄」と、満面の笑みを浮かべた。

 宮崎・日章学園高では1年時に国体などで活躍したが、2、3年時には貧血に苦しみ、実績を上げられなかった。大学に入り、食事の改善などで徐々に貧血を克服。今回の快走で自信を得たようで、「来年はもっと主力の区間を走って、(区間)上位に入りたい」と意欲を見せた。

「想定外」の5人抜き…明大4区・八木沢元樹(げんき)

4区で区間2位だった八木沢=報知新聞社提供

 明大の西弘美監督は、腰痛に悩むエース鎧坂哲哉(4年)を往路で走らせることができず、苦戦を覚悟した。レース前、5区の大江に「たすきが来るのは12、13番目かも」と声を掛けた。しかし、実際には3番目。立役者は4区で5人抜きを演じた八木沢だった。

 那須拓陽高(栃木)から入学後、故障に苦しんだ。だが、箱根駅伝を見据え、オーバーワークを防ぐために「練習をやめる勇気を持った」。万全の体調で大会に臨むと、「観客の多さで緊張したけど、力に変えられた」と振り返った通り、伸び伸びとした走りを見せた。

 翌日は「ダメージがすごくあってビックリ。特に腰」と歩くのもつらそうだったが、表情は充実感にあふれた。

 6人の1年生がエントリーし、古豪復活に向け、若い力の台頭を感じさせた明大。「新しい伝統を築きたい」と、自らがその先頭に立つつもりだ。

2012年1月10日  読売新聞)
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