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途中棄権と給水OKのルール改正

 42.195キロを走るマラソンと違って、駅伝では長い間、選手への給水はルールで禁じられている「助力行為」に当たるとして認められていなかった。給水がOKになったのは、1997年の第73回大会からだ。きっかけは、その前年の72回大会で4区を走った山梨学院大の中村祐二選手と、神奈川大の高島康司選手の二人が相次いで走行不能に陥り途中棄権になった事件だった。

 ともに疲労というより、故障が原因だったが、大会を主催する関東学生陸上競技連盟や日本陸連関係者から、選手の健康を守るだけでなく、レースをスムースに運営する上でも、駅伝での給水に踏み切るべきという声が急速に高まった。国内の駅伝競走は日本陸連の「駅伝競走規準」に基づいて行われているが、改正では「主催者は、コースの途中で給水を行うことができる」と明記し、御法度だった給水はこうして正式に認められた。

 現在では、東日本縦断駅伝や九州一周駅伝などを含む多くの大会がそれぞれの方法で給水を実施しているが、箱根駅伝では、車で伴走する審判などの競技役員やコーチたちが、選手の体力消耗度や気温の上昇などを勘案して、給水を実施している。給水OKは、日本最古の箱根駅伝史上、画期的な改正でもあったが、そもそもブレーキや、途中棄権はどうして起こるのだろうか。

 最も多い原因としてあげられているのは、脱水症状である。普通の人は一時間運動すると約1リットルから2リットルの汗をかくと言われる。20キロを走る箱根のランナーたちは約3リットル前後の汗をかくという。選手たちは、汗をかくことで体内の熱を外に出し、体温の上昇を適度に保っているが、気温の上昇や体調不良で極端に汗をかきすぎると、体内の水分が急激に失われ、突然ふらふらの状態になる。これが、脱水症状だ。関係者の話では、個人差はあるが発汗量が体重の6パーセントを越えると、体のバランスや動きに異常が生じたり、精神的なダメージが強くなるという。

 選手たちは、ブレーキの恐怖と戦いながら、懸命にたすきをつなぐわけだが、近年のブレーキの背景に、レースの高速化に選手たちの基礎体力が追いつかない側面があると指摘する声もある。ちなみに、80年を越す歴史のなかで、タスキをつなげず、無念のリタイアを強いられたケースは、第73回大会の2件を含め、8件を数える。(水戸英夫)

(読売新聞)
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