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「金」誓う無言のエース

体操 冨田洋之 25 (セントラルスポーツ)

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世界選手権の会場練習で汗を流す冨田(10日、デンマーク・オーフスで)=田村充撮影

 世界選手権に向けての壮行会で、冨田は日の丸への寄せ書きにこう記した。

 「無言実行」

 チームメートが「有言実行」と書くのを知り、それならば、と書いた。本来ならば、「不言」だが、「無言」とした部分がこだわりかも知れない。

 大阪出身の関西人にしては、ペラペラとおしゃべりを好む姿をあまり見たことがない。表情を変えず、“寡黙”という名の鎧(よろい)を着込むことで、集中力を増すタイプだ。

 8歳の時に体操を始めた。当時、指導した城間晃さんは「冨田はとにかくおとなしかった。声が小さいといって、よく怒られていた」と振り返る。練習以外で会話をしたのは「2回ほどしかない」。高校卒業後、自宅に招いた際にも、「ちゃんこ鍋を食べているだけだった」という。

 京都・洛南高時代に高校総体で個人総合2連覇。1998年には高校選抜、全日本ジュニアも勝って3冠を達成した。アテネ五輪団体金、昨年の世界選手権個人総合金と次々に栄冠を手にし、日本のエースに成長したが、いつも、言葉以上に演技の方が雄弁だった。

 14日から始まる世界選手権では、初めて主将を務めるが、特に変わらない。それでも、水鳥寿思(徳洲会)に言わせると、「雰囲気を出していた。いいキャプテンぶりを発揮している」という。言葉はなくとも、黙々と演技する背中でチームを引っ張っている。

 壮行会で寡黙な王者は、明快な言葉で誓った。

 「君が代が聴けるように頑張りたい」

 今回、そして次回の世界選手権を経て、迎える北京五輪。金メダルへの戦いが続く。

ひと言 上堀慶

 「何度か会ううちに、ざっくばらんに話も出来るようになった、と思う。ファッションや車に興味があるらしいし、たまには体操以外の話をじっくり聞いてみたい。金メダルを持ち帰ったら、好きな焼肉でも囲みながらの祝勝会でも開くというのは、どうだろうか」

 ◆体操・世界選手権 五輪がある年以外の毎年開催で、団体、個人総合、種目別が行われる。団体は今年の上位24チームが来年の出場権を得て、来年大会(独シュツットガルト)の上位12チームに北京五輪の出場権が与えられる。

 2008年北京五輪の開幕まで、2年を切った。メダルを狙う日本のアスリートたちの素顔に迫る。

2006年10月12日  読売新聞)
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