坂本 アテネの雪辱誓う[名古屋国際女子マラソン編](3)坂本直子故障再発のリスクを顧みず、1月末から1か月間、中国・昆明での高地合宿で自らを追い込んだ。「この4年間で一番の練習をした。やっと感覚が戻ってきた」。2大会連続の五輪出場を目指す坂本直子(27)(天満屋)に、復活の兆しが見えてきた。 坂本のアテネ後は、けがとの戦いだった。疲労の蓄積で左足が悲鳴を上げ、ひざ、ふくらはぎ、甲、足裏と相次いで故障。かばううちに右も痛めた。3年ぶりのフルマラソンとなった昨年9月のベルリンは2時間28分33秒の5位と健闘したが、しばらくして再び右足首に痛みが出た。 そんな中での中国合宿は賭けだった。2003年に初マラソン国内最高(2時間21分51秒)を記録、04年は優勝で五輪出場を決めた大阪を欠場。坂本は「ただ走るだけなら問題ない。でも、そういうレースじゃない」と、時には涙を流しながら約900キロを走り込み、武冨豊監督が「ふくらはぎの筋肉が浮き出てきたし、戦える足になった」という状態に仕上げた。 その執念の源は、不完全燃焼に終わったアテネ五輪の記憶だ。疲労と緊張感から、スタート直前に、お尻の筋肉がけいれんを起こした。とっさにゼッケンの安全ピンを外し、自らその針で突く荒療治を施して走り抜き、7位入賞を果たしたが、力を出し切れなかった悔しさは、今も鮮明だ。 そのゴール直後から、「もう一度走りたい」と焦がれてきた五輪。秘めた闘志は計り知れない。(山口博康) (2008年3月8日 読売新聞)
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