有馬記念 ディープインパクト初黒星競馬・第50回有馬記念(25日・中山競馬場)――好位から抜け出した4番人気ハーツクライが、圧倒的1番人気のディープインパクトの猛追を振り切り、G1初制覇を果たした。ディープインパクトはデビュー8戦目で初黒星を喫し、史上初となる無敗での有馬記念優勝はならなかった。 秋の天皇賞馬ヘヴンリーロマンスは6着、このレース限りで引退する昨年の覇者ゼンノロブロイは8着、G12勝のタップダンスシチーは12着に終わった。 飛ばなかった 外回る作戦失敗無敗の三冠馬もやはり生身の馬だった。単勝支持率62・6%を集めた大本命ディープインパクトがまさかの2着。ゴールの瞬間、16万人を超えた大観衆から悲鳴が上がった。 序盤はいつものように後方から。菊花賞では武豊との折り合いを欠いた1周目スタンド前も、気持ちよさそうに通り過ぎた。向こう正面から徐々に進出すると、直線は外に持ち出し、最後の600メートルは全16頭中最速の34秒6。いつも通りのレース運びだった。が、違っていたのは、前にまだ1頭いたことだった。 検量室に戻った武に歩み寄った池江泰郎調教師は、「騎乗は完璧(かんぺき)やったよ」とねぎらい、「これが競馬。古馬の壁かな」と漏らした。だが武は、「負けてはいけない馬。僕の力のなさを感じる」。馬込みを避けて外、外を回る安全策を取った結果、1/2馬身届かなかったことを悔やんだ。 あらゆる勝利記録を塗り替え続ける天才騎手が、「飛ぶように走る」、「この馬に巡り合えて良かった」とまで表現した最強馬の敗北に武は「今日は飛ばなかった。走っちゃいましたね」。誰よりも落胆したのは、武自身だったかも知れない。(三室学) ハーツクライ G1初制覇スターホースの連勝街道を見事に止めたのは、前走ジャパンカップ(JC)で2着ながら、2400メートルの“世界レコード”をマークしたハーツクライだった。 末脚の鋭さは一級品ながら、生まれつきの“がに股(また)”が災いしてスタートダッシュがききにくい。そのため、後方待機からの追い込みが届かず2着というケースが多かった。だが、JCでの鼻差の惜敗を分析した騎手のルメールが、「次は直線の短い中山。先行策に切り替えよう」と決断。気合をつけて飛び出し、すぐに3番手の好位につけた戦法が的中した。 馬も騎手も10度目のG1挑戦で悲願の初制覇。フランスからやってきた名手は「日本の競馬ファンは世界一熱狂的だ。その前でようやく勝ててうれしいよ」と笑った。(吉見光次) (2005年12月26日 読売新聞)
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