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真央19歳、「金」の鐘鳴らせ…GPシリーズ開幕へ

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昨年12月のグランプリファイナルで逆転優勝した浅田真央のフリー演技(韓国・高陽で)=尾賀聡撮影

 フィギュアスケートのバンクーバー五輪シーズンが、16日からのグランプリ(GP)シリーズで本格的に幕を開ける。

 初戦のフランス杯女子では、いきなり昨季GPファイナルを制した浅田真央(中京大)と、世界選手権優勝の金妍児(キムヨナ)(韓国)の、五輪の金メダル候補同士が対戦。男子は、日本のエース高橋大輔(関大大学院)が故障から復帰、トリノ五輪金のエフゲニー・プルシェンコ(ロシア)らも現役に返り咲き、大混戦が予想される。大舞台に向けた、熱い戦いの見所を探る。(宮崎薫)

 トリノ五輪に出場できない15歳が、快進撃で世界を驚かせたシーズンから4年。いよいよ、19歳の五輪への挑戦が幕を開ける。

 「昨季挑戦したことを生かすシーズンに」。開幕にあたって、浅田はそう誓った。昨季の最大の挑戦は、武器のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を磨くことだった。12月のグランプリファイナルでは、女子では国際大会初となる「フリーで2度」の成功。完全アウェーの韓国でライバル金妍児を破り、3季ぶりの優勝を勝ち取った。「自分が満足しても、結果が出なかったら、後で絶対悔しくなる」と言う浅田にとって、内容も結果も、最高の大会だったと思えた。

 しかしその勝利の後に、意外な衝撃が待っていた。帰国後、「金のミスに助けられた」という評価があると聞いて落ち込み、一時、練習の意欲を失った。2月にバンクーバーで行われた四大陸選手権まで引きずり、3月の世界選手権では連覇の重圧も加わって4位に終わった。心のコントロールの難しさも、浮き彫りになったシーズン終盤だった。

 「女王」の称号を返上して臨む今季。タラソワコーチは、フリーにラフマニノフの「鐘」を選び、「乗り越える」というメッセージを込めた。「五輪まで、弱い気持ちや疲れ、重圧、色々なものを乗り越えなければいけない。乗り越えた時に、壮大な音楽と同じように、力強い表現が真央を通じて世界に伝わる」

 「鐘」は重厚かつ壮大。アップテンポで盛り上がるたぐいの曲ではない。「ジャンプもすべてパーフェクトに跳んで、一つの作品としていいプログラムになる」。完成度を高めるには、難易度の高い技を当たり前のようにこなさなければならない。「動きも気持ちも、曲に負けないように強くしていきたい」。自分にしかできない技、自分にしかこなせない曲を――。19歳の求める完璧(かんぺき)さの先には、孤高の演技がある。

 4年前「出られなくても何とも思わなかった」五輪は、今は「やってきたことを出す場所」に変わった。女王のためのプログラムを携え、バンクーバー五輪の頂点を見据える。

プルシェンコら「復帰組」に注目

 男子の注目は「復帰組」だ。右ひざ故障から復帰した日本のエース高橋は、10日のフィンランディア杯の優勝でまずまずのスタート。トリノ五輪王者のプルシェンコと、銀のステファン・ランビエル(スイス)も競技復帰を宣言した。トリノ五輪以来となるプルシェンコは、第2戦・ロシア杯に向け準備を進める。1年間プロ活動を行ったランビエルは、今夏に復帰表明。9月末の五輪最終予選で優勝、出場枠を確保した。

 「復帰組」はいずれも過去に4回転をこなしてきた選手。高橋も、練習では成功しており、NHK杯には間に合わせてきそう。地元カナダで四大陸選手権優勝のパトリック・チャンら、4回転よりも演技の完成度で勝負する優勝候補との間で、どんな勝負が繰り広げられるか興味深い。

金妍児と同い年対決

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3月の世界選手権で総合得点207・71点の世界最高記録をマークし優勝した金妍児(米・ロサンゼルスで)=増田教三撮影

 浅田と優勝を争う同い年の金妍児が最大の注目。昨季悲願の世界選手権優勝を果たし、ブライアン・オーサーコーチの指導で世界女王として五輪シーズンに挑む。SPは映画「007」のメドレー、フリーはガーシュインの「ピアノ協奏曲へ長調」。報道陣へもカナダ・トロントでの練習を公開しておらず、仏杯で勝負曲をお披露目することになりそうだ。

 ◆今季のルール変更 昨季は、ジャンプの回転不足を厳しく見る傾向が強く、浅田真央のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)や男子の4回転ジャンプは、回転不足と取られた場合の減点が大きく、挑戦するリスクが高すぎる状況が生じていた。これでは技術向上の努力が報われないため、今季はこの傾向がやや緩和される方向だ。

 ◆五輪代表の選考基準 日本勢は男女シングル各3人が五輪に出場できる。GPファイナルで日本人最上位のメダル獲得者は、年末の全日本選手権出場を条件として代表が内定。また全日本選手権優勝者も代表に決まる。そのほかは、ファイナルや全日本選手権の3位以内の選手などを総合的に評価し、選出する。

2009年10月14日  読売新聞)
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