文字サイズ

    敗者が勝者に贈る千羽鶴、県高野連が自粛要請

    • 昨夏の県大会3回戦で、勝った磐城の選手(右)に千羽鶴を手渡す福島北の選手(2016年7月16日、いわき市のいわきグリーンスタジアムで)
      昨夏の県大会3回戦で、勝った磐城の選手(右)に千羽鶴を手渡す福島北の選手(2016年7月16日、いわき市のいわきグリーンスタジアムで)

     フェアプレーと友情の象徴のようなシーンが、球場で見かけなくなった。

     福島県高校野球連盟は今大会から、敗れたチームが勝者に千羽鶴を贈るセレモニーの自粛を呼びかけた。「自分たちの分まで甲子園に」。必勝の願いを託す慣例イベントだったが、強豪校は千羽鶴の保管が負担になる上、次の試合に臨む選手らとの入れ替わりが遅れるなど、大会運営に支障が生じる弊害が指摘されていた。

     「足の踏み場もない状態だ」――。

     中通り地方のある強豪校では、相手チームから譲り受けた千羽鶴を用具室に保管している。夏の大会が終わると用具室は千羽鶴で埋め尽くされ、翌年正月のどんと焼きで燃やしている。神社に持ち込む量は「軽トラック2台分」という。同校の監督は「思いが詰まった千羽鶴は大変ありがたい。ただ、量が多すぎて甲子園に持っていけない。高野連の判断も理解できる部分がある」と話す。

     自粛を求めるもう一つの理由は、円滑な大会運営だ。県高野連は甲子園大会までに全日程を終えなければならず、1球場で1日最大3試合をこなしている。試合と試合の間隔は30分。この間に前の試合の選手らは道具を片づけて退出し、すぐに次の試合の選手が荷物を搬入したり、準備運動やシートノックをしたりする。

     だが、千羽鶴のセレモニーが球場の狭い通路などで行われると、全体の移動に遅れが生じて、次の試合開始時刻に影響する懸念がある。数年前から「荷物を搬入できない」「準備運動の時間がなくなる」といった声が上がっていた。

     県高野連の小針淳理事長は「セレモニーの趣旨は尊重したい」と話す一方、「全国的な動きを参考にしている。大会運営や次の試合に臨む選手らの準備、観客の移動に影響が出ないように協力してほしい」と呼びかける。全国的にも、福岡県が2011年に禁止したほか、山形県や宮城県も自粛を要請している。

     保護者らも高野連の呼びかけに協力している。浜通り地方のある強豪校では、野球部の保護者会が毎年約半年かけて千羽鶴を折っている。様々な色の折り鶴で「必勝」の文字をあしらうなどデザインも凝る。母親の一人(46)は「セレモニーがなくなるのは寂しいが、試合をスムーズに進めるためならやむを得ない」と理解を示す。

     福島県高野連によると、今大会では遠慮がちに譲り渡す姿は見かけたものの、準々決勝が終了した時点で、大会運営への支障は報告されていないという。小針理事長は「自粛要請に対するご理解とご協力のおかげで、これまで無事に試合を行うことができている」と話している。

    2017年07月22日 17時57分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    おすすめ
    PR
    今週のPICK UP
    PR
    今週のPICK UP

    山へ行こう♪

    初心者も、ベテランも 準備はしっかりと
    アーカイブ