(下)激戦区、春の覇者に「危機感」…横浜(神奈川)
チャレンジャー精神を強調する横浜の福田主将
8日開幕した神奈川県大会の直前だった。横浜市金沢区の横浜高グラウンドでは、シート打撃をしていた選手たちを集め、小倉清一郎部長が厳しくしかった。投手の投球後、走者の帰塁が遅い、というのだ。「どうせ、(捕手が)投げてこないと思ってるんだろう。全力で戻るんだ。基本中の基本じゃないか。そんな野球じゃ勝てっこないよ」 名指しされた選手には、今春の選抜大会優勝チームのレギュラーも含まれていた。「まだ、チームが一つになっていない感じ」とエースの川角謙投手(3年)が漏らせば、主将の福田永将(のぶまさ)捕手(3年)も「このままじゃ駄目だと思う」と危機感を募らせている。 選抜の後、春季県大会では、同じ選抜出場校の東海大相模に決勝で敗れた。続く関東大会でも、準決勝で東海大甲府(山梨)に屈した。「選抜では優勝できたけれど、自分たちが一番強いわけじゃない」。川角の言葉に、今の横浜の立場が的確に表れている。 選抜や関東大会でスタミナが足りないと実感した川角は、完投や連投ができる体作りをテーマに、体力強化を図ってきた。全国有数のスラッガーと言われながら、選抜では不調だった福田は、「課題は精神面。大舞台でも普段通りやれる自信を身につけたい」と自らを見つめている。 県大会を勝ち抜けば、松坂大輔(西武)を擁した1998年以来の春夏連覇がかかる。これまで春夏連覇を2度達成したチームはない。だが、神奈川大会には全国最多の196校が出場し、東海大相模を筆頭に強力なライバルがひしめく。「春夏連覇よりも、まずは県大会。一瞬でも気を抜けない」と福田。 春の覇者とは言え、夏はあくまで挑戦者だ。すっかり暗くなった午後8時。室内練習場からは、打撃マシンで打ち込む音が響いてきた。(軍地哲雄) (2006年7月9日 読売新聞)
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