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水泳ビジネス 北京攻略


北京五輪で金メダル8個を獲得したフェルプスは、ビジネスでもしたたかだ=安川純撮影

 「金のためにこれをやっているんじゃない。金のためだったら、別のスポーツを選んでいた」と男子競泳界のスーパースター、マイケル・フェルプス(米)は言い切った。「これ」とは、五輪で1972年ミュンヘン五輪のマーク・スピッツの金メダル7個と並ぶという目標。フェルプスは決して自分の銀行口座をふくらませるために競泳の歴史を書き換えているわけではないが、ついに、スピード社が金7個で支払いを約束していた100万ドル(約1億580万円)のボーナスを北京五輪で手にした。

 北京以前の彼の年収は340万ユーロ(約5億2700万円)と見込まれていたが、この推定額は現実とかなり隔たりがあるのは間違いない。競泳界ではイアン・ソープ(豪)は絶頂期に年収600万ユーロを稼ぎ出していた。しかし、ロイター通信が報じた専門家の推計では、「フェルプス・チーム」の年間売上高は2000万ユーロ(約31億円)に届くという。スポンサーには、VISA、マクドナルド、オメガなどトップ企業がずらり並ぶ。

 2002年4月にスポーツエージェントのオクタゴン社の代表、ピーター・カーライルと会ったとき、フェルプスは17歳にもなっていなかった。カーライルは「何が望みか」と尋ねた。半年前にプロに転向していたフェルプスは「水泳を革新したい。スポーツ専門チャンネルで毎日、水泳が放送されるようにしたい」と答えた。2人は、成績は必要条件だが、それだけでは不十分だと意見が一致した。天才選手は過密な大会出場計画を練り上げ、報道に毎日取り上げられてファンのハートをつかんだ。

 アテネ五輪の直後、カーライルは長期戦略を説明した。メディア面でも経済面でも避けては通れない国、中国に、2008年まで毎年1回行くべきだ――。それも、スポンサー付きで。フェルプスは、スピード社、VISAとマクドナルドなどの違ったスポンサー付きで、4回の中国行きを実行した。北京五輪をゴールに、フェルプス・チームは思い切った中国征服作戦を取っていた。(記事=ジャンバティスト・ルネ)

2008年9月25日  読売新聞)
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