ファーガソンとの対戦 刺激的
アーセナルとマンチェスター・ユナイテッド(マンU)は、現在のイングランド・プレミアリーグを代表する強豪だ。過去10シーズンでマンUが7度リーグ優勝すれば、アーセナルは昨季も含め、リーグとFA(イングランド協会)杯の2冠を2度達成。共に名将と呼ばれるアーセナルのアーセン・ベンゲル監督(53)(元名古屋監督)と、マンUのアレックス・ファーガソン監督(61)は、マスコミを通じて激しい舌戦を展開するなど、ライバル関係にあることで知られる。
◇
今月15日に行われたFA杯5回戦で、宿敵マンUに2―0の勝利を収めたべンゲル監督が、ファーガソン監督との対決の歴史を振り返る。
――1996年9月の就任以来、あなたの行く手には常にマンUが立ちはだかっている。この因縁の対決をどう思うか。刺激的? ストレス?
「刺激的だね。私が6年余り前にここに来たころは、マンUがイングランドのサッカー界に君臨していた。彼らは90年代初頭に画期的なレベルアップを果たしていた。我々にとっては96年時点で既にライバルだった。以来、マンUはリーグ優勝4回(96―97、98―99、99―2000、00―01)、我々は2回(97―98、01―02)優勝している」
「年によって、ついたり離れたりしながらも、競り合ってきた。こうしたライバル関係が何年も続くのは刺激になる。向こうが上にいるときは、こちらが奮起するし、こちらが勝っていれば向こうが巻き返す」
――アーセナルとマンUの対決は、まずベンゲルとファーガソンの対決だといえる。相反する性格とサッカーに関するコンセプト。でも目標は同じく勝つことにある……。この力関係について語ってほしい
「サラダの中に唐辛子が入っているようなもの。時がたつにつれて、互いに本当の意味で尊敬できるようになったと思う。最初は反発のようなものがあった。お互いにね。それ以降は、同じ相手といつも戦っていれば一種の敬意が生まれるもの。相手のやり方に寛容になる、というのか。相手の構築したものが実績を上げているわけだから。今ではお互いに敬意を持っているといえると思う」
――数年前に「イングランドの選手でスカウトするなら誰」という質問に「ベッカムとスコールズ(共にイングランド代表MF)」と答えている。今聞かれても同じ答えか
「概してマンUはまだ、90年代に登場した選手たちに支えられている。彼らの中で2人だけ選ぶとすれば、やはりベッカムとスコールズだろう。2人ともとても成熟しており、例外なく力を発揮できる選手だ。必ず役に立ってくれる」
――今年のチーム編成には満足しているか。マンUと比較してどうか
「優秀な選手が20人そろったバランスのいいチームだ。行けるところまで行く準備はできている(現在はプレミアリーグで2位マンUに勝ち点5差をつけて首位、FA杯は準々決勝進出、欧州チャンピオンズリーグでは2次リーグB組2位と、3冠も狙える位置にいる)。マンUの方は、今季は守備が良くない。ブラウンとファーディナンド(共にイングランド代表DF)が同時に負傷したから」
「ファーディナンドといえば、私ならセンターバック一人に3000万ポンド(約56億7000万円)も出さないだろう。第一、資金がない。でもうらやましいとは思わない。手持ちの資金に応じて成功を評価することが大切。アーセナルより小さいクラブなら、私が成功に足る資金を持っているとうらやむかもしれないが」
――マンUというブランドが、イングランド・サッカーのいわばトレードマークとして世界的に有名になっていることが彼らに大きな経済力をもたらしているが、うらやましくないか
「別に平気。彼らの商業的なスケールは今のところうちより上だが、アーセナルのブランドも知られてきている。それにピッチの上での成功と、認知度には時間的なずれがあるからね」
(取材/グザヴィエ・リヴォワール、翻訳/大沢 信子、監修/小谷 泰介)
(仏・レキップ=本紙特約)