(5)戦略で覆す「数字の不利」男子棒高跳び 沢野大地26(ニシ・スポーツ)今季のベスト記録を見れば、世界ランク1位のウォーカー(米)と沢野の間には20センチの差がある。しかし、世界選手権での勝負が、この数字だけで推し量れないことも確かだ。 「ヘルシンキの世界選手権では、自己ベストが5メートル81の選手が、5メートル80で勝っている」。肌寒く、雨と風が選手を悩ませた2年前の大会。5メートル83が自己記録の沢野はそこで、日本人初の8位入賞を果たした。その体験から、大阪大会でも表彰台へのチャンスは十分にあるとにらんでいる。「ポイントさえ外さなければ、つけ入るスキはある」 そのポイントとは「5メートル70の1回目を外さないこと」だと言う。1度でクリアできれば、その後に挑む高さに向け、エネルギーを温存できるし、自分の後に試技に入るライバルに、プレッシャーをかけることもできる。その後の高さも1回目でクリアできれば、なお優位に試合を進められる。 いかに効率良く、少ない試技で、より上の高さを目指すか。体格が良く、体力と筋力に勝る海外のトップ選手を相手に、ポールを操る繊細な技術と空中動作、助走のスピードが持ち味の沢野が勝負するには、それが必要条件となる。 今月25日のスーパーグランプリ「モナコ国際」は、6メートル以上の自己記録を持つ選手が4人も出場。大阪大会で上位を争う強豪のほとんどが顔をそろえた前哨戦だったが、そこで5メートル70で5位に入り、「高く跳べるという自信が戻った」と、ほおを緩めた。 4月30日に今季ベストとなる5メートル75をマークしたが、春先に痛めた首を、大阪国際グランプリで再び痛めた影響などもあり、5〜6月の欧州、米国での3大会は5メートル50が最高だった。しかし、今回の欧州遠征で次第に感覚を取り戻し、本番まで1か月という時の大会で、前回世界選手権優勝のブロム(オランダ)や同5位のロビンガー(独)、アテネ五輪優勝のマック(米)を抑えての5位。今季最高の跳躍だったと喜んだ。 「(世界のトップと)同じ土俵で戦えている」。実戦からつかんだ自信は、大きな支えだ。「大阪でやる地の利を生かし、それを追い風にしたい」。冷静に戦えれば面白い勝負になる。
(2007年7月29日 読売新聞)
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