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    スキー・ノルディック複合

    渡部暁斗(わたべ・あきと)

    プロフィル

    • W杯9勝目を挙げ、ガッツポーズする渡部暁斗(2017年3月11日、オスロで)=上甲鉄撮影
      W杯9勝目を挙げ、ガッツポーズする渡部暁斗(2017年3月11日、オスロで)=上甲鉄撮影

     1988年5月26日、長野県白馬村出身。白馬高―早大―北野建設。9歳で観戦した長野五輪をきっかけに地元のスキークラブへ入り、3学年下の弟・善斗と競い合いながらノルディックスキーのトップ選手に。北野建設で1990年代の日本複合黄金期を支えた「キング・オブ・スキー」こと荻原健司氏の指導も受けて、さらに才能を開花させた。

     オリンピックは2006年トリノ大会、2010年バンクーバー大会、2014年ソチ大会に連続出場。ソチ五輪の個人ノーマルヒル(NH)で銀メダルに輝き、複合個人では河野孝典以来20年ぶり2人目の五輪メダリストとなった。2017年の世界選手権では個人ラージヒル(LH)で2位、善斗と組んだ団体スプリントで3位。ワールドカップ(W杯)は通算14勝。

     悲願の金メダルを狙う平昌五輪には、フリースタイルスキー女子のハーフパイプで代表入りした妻の渡部由梨恵と夫婦そろって出場する。1メートル73、60キロ。

    渡部暁5連勝ならず(2018年2月4日)

     ノルディックスキー・ワールドカップ(W杯)複合白馬大会最終日(4日・長野白馬ジャンプ競技場ほか)――個人第14戦が行われ、平昌五輪代表でW杯4連勝中の渡部暁斗(北野建設)は3位で、荻原健司が持つ日本勢最多の5連勝に並べなかった。前半飛躍(HS134メートル、K点120メートル)は116メートルで8位と出遅れ、後半距離(10キロ)で順位を上げたが及ばず。ヤン・シュミット(ノルウェー)が今季3勝目、通算5勝目を挙げた。五輪代表の日本勢では山元豪(ダイチ)が8位に入った。

    • 後半距離、3位争いを制してゴールする渡部暁斗(左)=鈴木毅彦撮影
      後半距離、3位争いを制してゴールする渡部暁斗(左)=鈴木毅彦撮影

    競り合いに手応え

     写真判定にまでもつれたチェコ選手との競り合いを0・1秒差で制し、渡部暁が3位に滑り込んだ。「勝ちたかったけど、きょうは3位で良かったかな」。五輪前最後の実戦で、得たものは大きかったらしい。

     ここまでの4連勝のうち、直近3試合は飛躍で首位に立ち、競り合いとは無縁の一人旅だった。この試合の前半飛躍は、記録上は緩い向かい風でも実際は不規則な風を受けて失速。8位にとどまり、後半距離は久々に追う展開となった。

     飛躍首位のイルベス(エストニア)から1分17秒差でスタートし、3秒前に出たシュミットと協力して前を追った。1周2キロの周回コースの3周目で2位集団を作り、先頭との差を詰めたが、最終5周目の上りでスパートを掛けたシュミットに一気に離され、優勝もさらわれた。

     日本の河野孝典ヘッドコーチは「ついて行けなかったのは課題」としながらも「平昌に向けた練習を組むうえで、こういうレースは大事」とうなずいた。飛躍の精度を上げ、スパートのキレを出す。五輪制覇に向けた調整のテーマを実感し、「いろんなレースを網羅したうえで仕切り直せる。ある意味、最高の形」と渡部暁。万全の構えで平昌に乗り込む。(増田剛士)

    W杯4連勝(2018年2月3日)

     ノルディックスキー・ワールドカップ(W杯)複合白馬大会第1日(3日・長野白馬ジャンプ競技場ほか)――個人第13戦が行われ、個人総合首位で平昌五輪代表の渡部暁斗(北野建設)が優勝し、今季5勝目、通算14勝目を挙げた。W杯4連勝でシーズン5勝は自己最多。渡部暁は前半飛躍(HS134メートル、K点120メートル)で130メートル50を飛んで首位に立ち、後半距離(10キロ)では2位との差を大きく広げて快勝した。総合2位のヤン・シュミット(ノルウェー)が2位。五輪代表の日本勢では、山元豪(ダイチ)が自己最高タイの7位、渡部善斗(北野建設)が8位に入った。

    渡部暁10勝目 W杯複合第2戦(2017年11月25日)

     ノルディックスキーのW杯は25日、フィンランドのルカで複合個人第2戦が行われ、渡部暁斗(北野建設)が今季初勝利を挙げた。今年3月のオスロ大会以来で通算10勝目。前半飛躍(HS142メートル、K点120メートル)で142メートル50を飛んで首位に立ち、後半距離(10キロ)で逃げ切った。渡部暁は24日の第1戦では3位。

    前日3位で勢い 完勝

    • 後半距離で力走する渡部暁斗(2017年11月25日、フィンランド・ルカで)=若杉和希撮影
      後半距離で力走する渡部暁斗(2017年11月25日、フィンランド・ルカで)=若杉和希撮影

     3位で開幕戦の表彰台に立ち、気分も良く臨んだ2戦目。磨いてきたジャンプがかみ合い、渡部暁が圧勝で、今季初勝利をつかんだ。

     勝利を引き寄せたのは前半飛躍だ。踏み切り直前に一度沈み込んで力をロスしてしまう悪い癖を取り除くため、夏から試行錯誤してきた成果を発揮した。力強い踏み切りからヒルサイズを超える142メートル50を飛び、首位で後半距離へ折り返した。

     2位につけたタイム差は16秒。これが効果的だった。渡部暁を無理に追うのはリスクが高いと判断したのか、2位集団の海外勢は最終周に入るまでけん制を続けた。一方、渡部暁はスタートから終始一人旅。右腕を掲げてフィニッシュし、「こういうレースが毎回できればいい」と笑みを浮かべた。

     実はルカ入り後の練習で転倒して左脇腹を痛め、ストックを刺す時は「じんわりと痛む」。それでも快勝できたのは思い描くジャンプに近づきつつあるからだ。

     W杯通算10勝とし、師匠でもある荻原健司・北野建設スキー部ゼネラルマネジャーの日本人歴代最多勝利まであと9勝。「理想はやっぱり勝ち続けること。荻原健司氏を超えていけるように頑張りたい」。冗舌に語る姿に、喜びが表れていた。(ルカ 増田剛士)

    世界選手権 複合団体スプリント 渡部 兄弟で「銅」(2017年3月3日)

    • 3位でゴールし、ガッツポーズする渡部暁斗(2017年3月3日、フィンランド・ラハティで)=上甲鉄撮影
      3位でゴールし、ガッツポーズする渡部暁斗(2017年3月3日、フィンランド・ラハティで)=上甲鉄撮影

     ノルディックスキー世界選手権は3日、フィンランド・ラハティで2人1組による複合団体スプリントが行われ、渡部暁斗、渡部善斗(いずれも北野建設)の兄弟ペアが銅メダルを獲得し、日本勢としてこの種目で初めて表彰台に立った。今大会の日本の獲得メダルは5個となった。同ペアは前半飛躍(HS130メートル、K点116メートル)で3位につけ、後半距離(15キロ)で順位を守った。優勝はドイツのエリック・フレンツェル、ヨハネス・ルゼック組。ルゼックは今大会、個人と団体の全4種目を制覇した。

    兄弟が絶妙の掛け合い

     コーチの一人が「思いがけず取れた」と語った複合団体スプリントの銅メダル。瞬発的な走力が試される日本の苦手種目で、「身内」でさえも驚かせる仕事を渡部兄弟がやってのけた。

    • 3位に食い込み、笑顔を見せる渡部暁斗(右)と善斗(左)の兄弟(2017年3月3日、フィンランド・ラハティで)=上甲鉄撮影
      3位に食い込み、笑顔を見せる渡部暁斗(右)と善斗(左)の兄弟(2017年3月3日、フィンランド・ラハティで)=上甲鉄撮影

     1回ずつ飛ぶ前半飛躍は、2人とも123メートルを飛んで3位。1・5キロの周回コースを交互に5周ずつ走る後半距離では、2人が絶妙の掛け合いを見せた。

     先に走る25歳の弟善斗は、距離は不得意。だが、先頭集団で格上選手に食らいついた。集団から遅れずに順番が回る28歳の兄暁斗は4周目に転倒したものの、弟のお陰で余力を残して最終周に突入。最後は3位を争ったオーストリアとフランスの選手を引き離し、個人ラージヒル(LH)の銀に続くメダルを手に入れた。

     初の世界選手権表彰台に立った弟は「暁斗を信じて走れた。みんなが喜んでくれて実感が湧いた」と喜び、兄は「善斗もいい走りをしたし、スキーは抜群に滑った。日本チーム一丸となって取ったメダル。すごくうれしい」と笑顔を見せた。

     団体スプリントは平昌(ピョンチャン)五輪では行われないが、4人で戦う団体LHがある。今回は控えに回った選手たちの心にも火が付くならば、兄弟だけに贈られた銅以上の価値を秘めたメダルになる。(ラハティ 増田剛士)

    ソチ五輪 渡部暁 複合「銀」 個人NH(2014年2月12日)

    • 前半2位につけた渡部暁斗のジャンプ=2014年2月12日、小林武仁撮影
      前半2位につけた渡部暁斗のジャンプ=2014年2月12日、小林武仁撮影

     ソチ五輪は12日、ノルディックスキー複合の個人ノーマルヒルで渡部暁斗(25)(北野建設)が銀メダルに輝いた。日本勢の複合のメダルは、1994年のリレハンメル大会以来、5大会ぶり。

    日本勢 5大会ぶり

    • 花束を掲げ、スタンドの声援にこたえる銀メダルの渡部暁斗(左)=2014年2月12日、小林武仁撮影
      花束を掲げ、スタンドの声援にこたえる銀メダルの渡部暁斗(左)=2014年2月12日、小林武仁撮影

     河野孝典(現全日本コーチ)以来、20年ぶりのメダルに渡部暁は、「この20年間、いろんな方が引っ張ってくれて、今のチームがある。先輩方には、すごく感謝している」。長野大会以降、歴代のエースが届かなかったメダルを獲得し、言葉に万感を込めた。

     前半飛躍で3位以下を20秒以上引き離す2位につけたことが、メダルを呼び込んだ。後半距離は、昨季のワールドカップ(W杯)個人総合王者のフレンツェル(独)とのマッチレース。最後は力尽きたが、ゴール後は互いに笑顔で肩を抱いて健闘をたたえ合った。

     長野県白馬村出身。1998年長野五輪をきっかけにジャンプを始め、中学から複合に進んだ。早大―北野建設という経歴は、90年代のエースで、「キング・オブ・スキー」と言われた荻原健司と同じだ。

     現在の所属チームの荻原部長からは「常にチャンピオンとしての心構えを忘れるなと言われている」。例えば、トイレに入るときでも、三つ並んでいれば必ず真ん中を使う。表彰台で両側に2、3位を従えるイメージを植え付けるためだ。

     W杯は4勝だが、五輪のメダルは格別だ。「五輪のメダルを取れないで、『W杯の方がレベルが高いんだよ』と言っても説得力がない。今後の僕の発言にとって大きいこと」と喜ぶ。

     次の出番は18日のラージヒル。「今度こそ金メダルを取って、真ん中に立ちたい」と渡部暁。「キング・オブ・スキー」への道を歩み続ける。(三室学)

     ※ラージヒルは6位だった。

    バンクーバー五輪 複合個人LH 渡部9位(2010年2月26日)

     個人ラージヒルは、前半飛躍で125メートルを飛んだ渡部暁斗(早大)が、後半距離(10キロ)で順位を守り、9位。湊祐介(東京美装)は26位、個人ノーマルヒルで7位の小林範仁(東京美装)は27位、加藤大平(サッポロノルディックク)は30位だった。前半6位のビル・デモング(米)が後半に逆転し、北米勢初となる複合での金メダルを獲得した。

    トリノ五輪 複合 個人スプリント 日本惨敗(2006年2月22日)

     個人スプリントの日本勢は、高橋大斗(土屋ホーム)の15位が最高で、小林範仁(東京美装)は18位、渡部暁斗(長野・白馬高)は19位、畠山陽輔(秋田ゼロックス)は22位だった。日本が複合個人種目で入賞を逃したのは、1988年カルガリー五輪以来。

    2018年02月05日 19時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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