選抜32校決定、秋季大会上位校が順当に第82回選抜高校野球大会(3月21日から12日間、甲子園球場)の出場32校(一般選考29校、21世紀枠3校)が選出された29日、各地で歓喜の声が上がった。 向陽(和歌山)は36年ぶり、前橋工(群馬)、三重(三重)は15年ぶりの出場となる。初出場は東海大望洋(千葉)、自由ケ丘(福岡)、宮崎工(宮崎)、嘉手納(沖縄)、21世紀枠の山形中央(山形)、川島(徳島)の計6校。組み合わせ抽選会は3月13日に行われる。 各地区とも昨年の秋季大会上位校が順当に選ばれた。 注目されたのは、関東・東京の6校目と、大垣日大が明治神宮大会を制覇したことにより、1枠増となった東海地区の3校目だった。 関東・東京は、関東大会8強の桐蔭学園(神奈川)と東京大会4強の日大三との比較となったが、日大三が投手力、攻撃力で桐蔭学園に勝る、との意見が大勢を占めた。東海では、ともに地区大会ベスト4の三重と中京(岐阜)の争いとなったが、総合力で三重が評価された。また、中国・四国の5校目は、広陵と済美(愛媛)を比べたうえで「投攻守で広陵が上回る」という結果に落ち着いた。 10年目を迎えた21世紀枠は、東日本から山形中央、西日本から川島をそれぞれ選出。地域を限定しない3校目は接戦の末、向陽が選ばれた。 阪神大震災をきっかけに部員らがボランティアを続ける神港学園が、震災から15年の節目に、4年ぶり5度目の出場を決めた。 北原監督と部員は震災以降、1997年1月に日本海で起きたロシア船重油流出事故や昨年8月の兵庫県佐用町の豪雨被害などの現地でボランティア活動を行ってきた。 野球が出来る喜びを感じているという北原監督は「甲子園では震災で犠牲になった人たちと一緒に戦う」と誓い、震災直後の95年と2006年の選抜大会で得た計4個のウイニングボールを持っていくつもりだ。 28年間、同校を率いる北原監督が「これまでの中で、下から5番目」と評した新チームは、エース前仲らの踏ん張りで攻守のバランスが良くなった。無駄な点を与えず、着実に1点を取りにいく。益田主将は「甲子園では感謝の気持ちを持ってはつらつとプレーし、守り抜く野球をしたい」と謙虚に語った。 昨夏の甲子園で、2度の降雨ノーゲームを経て、30年ぶりの夏の甲子園勝利を収めた高知。今度は9年ぶりとなる選抜の白星を目指す。OBの二神一人(法大)が昨年のドラフト1位で阪神に入団したのに続く明るい話題。二神から「自分たちのプレーをしろ」と激励されたそうで、坂本主将は「二神さんに負けないよう、甲子園で活躍したい」と誓った。 昨秋の近畿大会準優勝の大阪桐蔭は、3年ぶりの出場。夏の甲子園は1991年、2008年の2度優勝しているが、春は8強が最高だけに、ナインは「ここからがスタート。春の日本一を目指す」と力を込める。 今年は辻内崇伸(巨人)、中田翔(日本ハム)のような傑出した選手はいないが、攻守にまとまりがある。投手はコンビネーションが持ち味のエースで主将の福本と本格派・大家の両左腕が軸。遊撃・山口らを中心にした守備は堅く、打線もつながりがある。西谷監督は「派手さはないが、粘り強いチーム」と話す。 今冬はバットを振り込み、打撃強化を図ってきた。昨年の選抜は補欠校で悔しさを味わっており、福本は「全員野球を徹底したい」と気を引き締めた。 智弁和歌山の高嶋監督はあと1勝で甲子園通算59勝で、PL学園(大阪)の中村順司・元監督を抜いて単独1位となる。出場決定の知らせに、高嶋監督は「選手の方が意気込んでくれているが、結果として勝てればいい。記録を気にせず、のびのびとプレーしてもらいたい」と淡々と話した。 広陵は、昨秋の中国大会で準決勝敗退だった。それだけに、中井監督も「正直、どうなるかわからなかった分、むちゃくちゃうれしい」と喜びを表した。 1メートル87の長身右腕、有原と1年生ながら4番を打つ丸子が投打の中心。最速145キロをマークする有原は、「甲子園ではとにかくチームが勝つための投球をしたい。目標は日本一」と意気込んだ。2003年に西村健太朗(巨人)―白浜裕太(広島)のバッテリーを擁して頂点に立つなど、3度の優勝を誇る「春の広陵」が、甲子園を心待ちにしている。 敦賀気比は、投手4人の継投とつなぐ打線で大会に臨む。この冬も走り込みで筋力をつけてきたといい、林監督は「力は着実に上がっている」と手応え。17日に福井市内で亡くなった元巨人、阪神投手の小林繁さんの指導を中学時代に受けた錦織主将は「走塁の基本などを教えてもらった。甲子園での勝ち星を小林さんにささげたい」と力を込めた。 中京大中京が、甲子園夏春連覇への挑戦権をつかんだ。昨夏の甲子園の日本文理(新潟)との決勝で九回に1点差まで詰め寄られながら、優勝投手となった森本は「優勝はしたけど、甲子園にはやり残したことがある。チームも自分も目標はもちろん日本一。成長した姿を見せたい」と、戦前の中京商時代にも記録している夏春連覇に意欲をみせた。 〈21世紀枠〉 21世紀枠の川島は、部員数18人だけの県立校。グラウンドの使用も限られ、フリー打撃は内外野ではなくバックネットに向かって打ち込む。昨秋、初めて出場した四国大会で1勝を挙げ、10年以上前から全校生徒で取り組む通学路の清掃活動なども評価された。創部30年で初めてつかんだ選抜の切符に、藤畠主将は「甲子園は手が届かない所だと思っていたのでうれしい。校歌を歌うのを目標に一戦一戦全力で挑みたい」と張り切っていた。 昨秋の東北大会8強の山形中央が、21世紀枠で初出場。「地域に愛されるチーム」を掲げ、ボランティア活動などに取り組んできた。バンクーバー五輪に出場する加藤条治(スピードスケート)と滝沢宏臣(フリースタイルスキー・スキークロス)は、同校OB。庄司監督は「とても良い刺激になる。我々も甲子園で感動を与えられる野球をしたい」と決意を示した。 (2010年1月30日14時30分 読売新聞)
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