文字サイズ

    強敵との戦い方 学べ

     元日本代表主将で、国際サッカー連盟(FIFA)が運営する大学院「FIFAマスター」を修了した宮本恒靖さん(40)が、サッカーの魅力、奥深さを独自の切り口で論じる。(随時掲載)

     サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会の開幕まで約7か月となった。日本代表のメンバー入りを狙う選手たちに求められることは、残りの期間で少しでも個人の力を高めることだ。

     アジア最終予選などを通じて、チームとしての戦い方は鮮明になってきている。ハリルホジッチ監督が要求する力は、球際の強さや攻守の切り替えの早さだ。もちろん残された時間は多くない。それでも選手たちが意識を高く持って日々の練習や試合に取り組むことができれば、上積みは十分、期待できるだろう。

     各選手の目線を上げるという意味では、今回の欧州遠征は非常に重要になる。2015年3月にハリルホジッチ監督が就任して以降の日本は、6大陸王者などが集う大会である今夏のコンフェデレーションズ杯ロシア大会に出場できなかったこともあり、ワールドクラスのチームとの対戦経験がほとんどない。ブラジル、ベルギーという強豪国相手に、現時点でどこまで通用するのか、注目だ。

     もちろん、親善試合なので、球際やここぞの場面での相手の力の入れようは、W杯本番とは別物になる。それでも一つ一つのプレーの質やスピードなどは普段ではなかなか体感できない、桁違いのレベルを味わうことができるはずだ。私も現役時代、05年のコンフェデレーションズ杯ドイツ大会などでブラジルやメキシコといった強豪国と対戦したが、アジアのレベルとの違いに圧倒されることは多々あった。一方で、「こう戦えば通用する」と手応えをつかむことも当然ある。世界基準で見た時の自分たちの本当の立ち位置がわかる。もし打ち負かされたとしても、「もっとやらないとだめだ」と感じることができるだろう。悔しい経験が、W杯で必ず生きてくるはずだ。

     海外で試合を行うことの意義も大きい。勝手知る日本国内とは違うため、体調管理にも気を配らなくてはならない。試合になると、スタジアムのピッチ状態を探るところから始める必要があるし、当然、強い相手だから緊張感もある。欧州のクラブに所属する選手には多少慣れた点かもしれないが、純粋なプレー面だけでなく、各選手が持つトータルの力が試される環境だ。

     個人的に期待しているのは、MF井手口(G大阪)とFW原口(ヘルタ)だ。21歳の井手口は経験こそ浅いが、伸び盛りの彼がさらに成長を遂げるきっかけになってくれればと思う。また、原口のようにボールを前に速く運べる選手がどこまで通用するかは、W杯で日本が戦えるかどうかの、一つの基準になるはずだ。

     ハリルホジッチ監督はこれまで、チーム内の競争を促してきたし、今回も新たな顔ぶれがメンバーに入っている。私は、今後も彼はフレッシュな選手をどんどん試していくだろうと思っている。W杯で戦うためには、チームに刺激を与え続けることは悪いことではない。この遠征でも新しい力が台頭するか、楽しみだ。(元日本代表主将)

     みやもと・つねやす 
     日本代表DFとして2002年日韓共催、06年ドイツのW杯2大会に出場、ドイツ大会では主将も務めた。代表で71試合出場3得点、J1ではG大阪と神戸で計337試合に出場、8得点を挙げた。11年に引退し、13年、FIFAマスターを修了。今夏のW杯ブラジル大会ではFIFAの技術分析グループの一員も務めた。Jリーグ特任理事。大阪府出身。
    2017年11月08日 04時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    おすすめ
    PR
    今週のPICK UP
    PR
    今週のPICK UP
    ハウステンボス旅行など当たる!夏休み特集
    アーカイブ