現在位置は
です

本文です
瀬古・中山 ライバル対談

マラソン日本 復活願い

写真の拡大
司会の金哲彦さん

 約3万5000人のランナーが都心を駆け抜ける「東京マラソン2010」は28日に行われる。定員の約8・5倍の応募があった人気マラソン大会。

 アジア大会の代表選考会としても注目される今回のレースを前に、ライバルとして日本のマラソン界をリードしてきた瀬古利彦さん(53)と中山竹通さん(50)が対談し、若手ランナーへの期待を熱く語り合った。(司会は金哲彦・ニッポンランナーズ理事長)


ハングリーさ必要…瀬古氏/志「世界」へ向けて…中山氏

フォト特集 写真の拡大 写真の拡大
瀬古 利彦(せこ・としひこ) エスビー食品元監督。マラソンで15戦10勝。ロサンゼルス五輪14位。ソウル五輪9位。53歳。

 ――2人は現役時代、ライバルと言われたが、中山さんは瀬古さんをどう思っていた

 中山(以下中)「雲の上のような感じですよ」

 瀬古(以下瀬)「尊敬していた?」

 「それと勝負は違う(笑)」

 「中山君を最初に知ったのは、1983年の福岡国際マラソン」

 ――瀬古さんが優勝し、中山さんは初マラソンだった大会だ

 「その時、チラチラと私の横にいた。オレンジ色のユニホームを着て、背が高くてね」

 「何で強いのか、その人の横にいかないと分からないから。『どうして強いのかな、自分と何が違うんだろう』と、いろんな角度から見ていた。でも、分からなかった。分からないうちに、置いて行かれた(笑)」

 「腰が高くて、宙に浮いているような走りだった。こいつは出てくるなと思った。目立っていたね」

 ――当時、2人はどんなトレーニングをしていたか

 「量も大事だけど、量より質を追っていた。5キロ5本を、1本目は14分50秒くらいから始めて、最後の1本は14分10秒で走るとか」

 ――すごい。中山さんは

 「量が多かった。疲れていても、どこからでも(5キロを)14分30秒に持っていける練習をしていた」

 「むちゃをできる体力があった。むちゃな練習をする時がないと、35キロからの脚にくる苦しみには耐えられない」

 「(毎日の)練習メニューを見なかった。見たら恐ろしくて。(監督は)こんなメニュー、よく作るなと思っていた」

 ――きつい練習の後は、どういう状態になるのか

 「体がほてって眠れない。晩飯も食べられなかった。でも、自分を追い込んでおくと、(本番で)絶対に脚に来ないという気持ちになれた」

フォト特集 写真の拡大 写真の拡大
中山 竹通(なかやま・たけゆき) 元愛知製鋼監督。2時間8分台を4度マーク。ソウル五輪とバルセロナ五輪で4位。50歳。

 ――日本記録(2時間6分16秒)は高岡寿成さん(現カネボウコーチ)が2002年に樹立してから更新されていない。一方、世界記録は2008年にハイレ・ゲブレシラシエ(エチオピア)が更新した

 「早く若い選手が出てこないと、どんどん(世界から)置いて行かれるよね」

 「エチオピアやケニアの選手は1万メートルのタイムが27分そこそこ。これなら30キロまで1キロ3分のペースは楽ですよね。そして30キロからバッと(スパートして)行っちゃう。それを日本選手にやれと言っても、ちょっとね」

 「(日本人が)これだけ豊かになると、マラソンの苦しい練習をあまりしないよ」

 「でたらめな練習をしない。自分らのころは、でたらめなことをやっていたなと思う」

 「でも、42キロは練習をしないと絶対に走れない。ケニア人でもエチオピア人でも、練習はしていると思うよ」

 「彼らは練習していますよ。彼らは放っておいてもやる。こうしなきゃ勝てないと知っているから。日本選手は放っておくと……」

 「彼ら(アフリカの選手)はしっかり走らないと食っていけないから。我々の時代はまだハングリー精神というか、ひもじいというのがあったよ。中山君もあったでしょ」

 「ありましたよ。僕もどう子育てしていこうかと思っていた」

 ――何らかの形でハングリー精神のようなものを養う必要がある

 「全部がダメというわけではない。大学生で柏原君(竜二=東洋大=箱根駅伝で優勝)とかいるじゃないですか。彼らが実業団に来ても、志が世界に向いているかどうかだと思う」

 「今は選手や監督たちも自信をなくしている。否定的なことばかり言うと、余計に自信をなくすから、『できるよ』と盛り上げていかないと」

 ――ブレークを期待したい

 「高岡の記録を1人破ったら、バッと続きますよ」

 「女子もそうじゃないですか。高橋尚子さんが2時間20分を切ったら、(続く選手も)簡単に切った。1人切れば、簡単ですよ」

 ――きっかけを東京マラソン2010で作ってほしい

 「佐藤(敦之=中国電力)と藤原(新=JR東日本)はベテランなので安心しているが、次のロンドン五輪に向けて若い選手がしっかり走るのを見たい。北村(聡=日清食品グループ)、岡本(直己=中国電力)といった初マラソンの選手が、次につながる走りをしてほしい」

 「今のマラソンは、30キロまでペースメーカーがいて、30キロからいきなり外国人が(飛び出して)いって、日本人が空回りしてしまう。そこをなんとか30キロ以降、(5キロを)14分半くらいに上げられるトレーニングをして出場してほしい」

(24日午後10時30分からCS放送日テレG+「読売ニュースナビ」で放送)

男子…佐藤軸に展開か/女子…那須川 連覇狙う

 男子は11月に中国・広州で行われるアジア大会の代表選考会を兼ねる。国内招待選手の中で、最も有力なのは佐藤敦之(中国電力)。昨年の世界選手権ベルリン大会で6位入賞。北京五輪で最下位に沈んだ屈辱から復活した。今大会も、優勝候補の一人と言っていい。

 藤原新(JR東日本)は、楽しみな存在。一昨年の東京マラソンで日本人トップの2位に入り、頭角を現した。昨年の世界選手権では61位に沈んだが、その経験も糧にして、さらに飛躍してくれるはずだ。

 海外からは、前回大会覇者のサリム・キプサング(ケニア)らが来日する。外国招待選手のベストタイムはラシド・キスリ(モロッコ)の2時間6分48秒が最高。日本人選手にも、十分に付け入る余地はある。

 女子は、那須川瑞穂(ユニバーサルエンターテインメント)が連覇を狙う。これに立ちはだかるのが、尾崎朱美(セカンドウィンドAC)。女子も男子と同額の賞金が設定されており、激戦が予想される。(田上幸広)


2010年2月23日  読売新聞)
現在位置は
です