(下)「無謀と言われても」挑戦…北村聡なかなか若手が出てこない男子マラソンの現状に、日本陸連の幹部は「マラソンを難しく考えすぎているのではないか」と憂える。28日の東京が初マラソンとなるこの若者の場合、そんな心配は無用だ。 「去年を『挑戦の年』と位置づけていて、その流れもある。去年の夏くらいから、(マラソンを)早めにやった方がいいかなと思い始めた」。そう考えた背景には、順調に成長できている手応えもある。 昨年6月の日本選手権では5000メートルで3位、1万メートルで6位に入った。7月には初めて欧州を転戦し、ベルギーの記録会で5000メートルの自己ベストを13分36秒56に更新した。周囲から「出すぎ、走りすぎ」と言われるほど多くの競技会に出場したのも、「どうなるのかやってみたい」と思ったからだ。 練習での距離走も以前は25キロが最長だったが、40キロ走に取り組んだ。「意外と行けるものなんですよね」と、頼もしい感想を口にする。身長1メートル62と小柄だが、骨太な体格はマラソン向きと言われてきた。「世界のトップを狙いたいし、そのためにはマラソンしかない。一発当てたい」と貪欲だ。 実業団2年目。日体大時代は箱根駅伝で活躍し、昨夏の世界選手権5000メートル代表の上野裕一郎(中大―エスビー食品)ら同学年の3人と共に「四天王」と呼ばれた。「箱根から世界へ」という箱根駅伝の理想の実現を期待させる存在だ。 初マラソンで、どこまで行けるかは未知数。「どんな走りができるんだろうと楽しみ。無謀と言われても、先頭集団にはついていく。30キロまでは目立ちたい」と意気込む。日本の低迷を打破するためには、これくらいの思いきりの良さがあっていいのかもしれない。(田上幸広) (2010年2月25日 読売新聞)
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