技術・献身・プライド―日本野球の総合力証明【サンディエゴ(米カリフォルニア州)=小石川弘幸】野球の国・地域別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」は20日(日本時間21日)、決勝でキューバを破った日本が世界一に輝いた。 先発から、中継ぎ、抑えと安定した投手陣の防御率は2・49で、韓国、プエルトリコに次ぐ3位の好成績。攻めては、打率3割1分1厘、10本塁打、13盗塁は、いずれもナンバーワンで、大技、小技を織り交ぜる質の高さを見せつけた。日本野球の総合力を証明する優勝だった。 ◇ 日本が真価を見せたのは、1点差に迫られた直後の九回表の攻撃だった。 一死一塁から、西岡が投手と一塁手の間に絶妙なプッシュバント。続くイチローが一、二塁間をゴロで抜いた。二塁走者の川崎は本塁へ。しかし、捕手が本塁をブロックしていてベースが見えない。捕手の右側に滑り込んだ川崎は、左手でベースに触れようとしたが、「それでは間に合わない」と瞬時に判断。右手をベースに向けて無理矢理突っ込んだ。セーフだった。 一つ間違えば川崎の右腕は折れていた。「危険だということは分かっていたが、夢中だった」。川崎は、捨て身のプレーをこう振り返った。イチローの安打の前後に、見事なバントと決死の走塁があった。強国キューバを突き放した1点には、日本野球の粋が詰まっていた。 2次リーグまでの日本には一体感が欠け、大事なところで点が取れなかった。それが一変したのは、韓国に敗れ、準決勝進出が絶望的になった翌日の16日だった。メキシコが米国を破るという波乱のお陰で、準決勝行きを決めた日本代表は宿の一室に集まった。 「大リーグの独断専行の中、日本がこの大会の開催を支持したのは、国際舞台で、日本野球が世界最高なのだ、ということを証明して欲しかったからです」 選手を前に日本野球機構からの代表者が訴えた。選手の目の色が変わった。 優勝を決めた後、川崎は目を輝かせた。 「日本の野球は世界に通用するなんてものではない。世界を引っ張っていくべきものなんです」 技術と、献身と、プライドと――。選手の心が一つになった時、日本の野球は無敵だった。(下山田郁夫) (2006年3月21日21時23分 読売新聞)
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