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こだわりの宿で一泊

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「光」と「夢」にあふれた新潟県中越地方のアーティストホテルへ

春まっ盛り。谷あいの集落へ

懐かしさを感じる景色があちらこちらに

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朝の小白倉集落。40戸ほどの家が連なっている

 川西では、ぜひ一度、訪れてみたい場所がありました。8年前、「美しい日本の村」コンテストの集落部門で最優秀賞を受賞した小白倉集落です。

 偶然なことに、光の館のスタッフ・江口さんは、小白倉のご出身。今でも秋の祭りや、桜の時期には里帰りしているのだそうです。「あちらこちらに棚田が開けていて、のんびりとしたいいところです。ですが地震でかなり被害を受けてしまいましたので、運転にはどうぞお気を付けて」とのこと。

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松葉荘でいただいた山菜料理。とれたてなので本当に美味でした

 光の館に泊まった翌朝6時、念願の小白倉集落へと出かけてきました。光の館から車で20分ほど。道路脇に車を停めると、すぐ下に集落が開けています。三角屋根の家々が連なる村は、朝のまどろみの中にあるようでひっそりとしていました。雨上がりの冴えた光が屋根に降り注ぎ、キラキラと輝いています。海の町が故郷のワタシですが、なぜだか懐かしさがこみ上げてきました。日本人のDNAの中には、こうした集落を懐かしいと感じるような記憶が刻まれているのかも…、つまりはこれが日本の原風景なのかも…。

 集落の上、旧白倉小学校の前には、カスミザクラの木が植えられています。花が終わり葉陰の濃くなった桜の下に、説明書きの看板が据えられていました。それによるとこの桜は、1876年、小学校の開校記念にあわせて京都から購入。購入時にはすでに成木で、後に日本樹学研究所が鑑定したところ、樹齢300年に達することが判明。町の文化財に指定されたとのこと。小学校は1994年、児童数の減少により廃校となりましたが、桜は今も地元住民の手で守られているのだそうです。江口さんによると、今年も美しい薄紅色の花を咲かせたとの話でした。

 桜を見た後、辺りをうろうろしていると、花盛りのプランターの前でのんびりと新聞を読んでいるおじさんに出会いました。「花が好きでね」というおじさん、昔は、白倉小学校に通っていたのだそうです。「あの桜にはサクランボがたくさんなってたんだよ。これが旨くてね。子供の時分には、口のまわりを真っ赤にしながらお腹いっぱい食べてたもんだよ」。

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松葉荘のへぎそば。「へぎ」という器に、ひと口分ずつ盛って出てくる。緑がかった色合いにも特徴が

 おじさんから棚田のポイントを教わり、国道の東側、十日町方面へと通じる県道に向かいました。県道は一段上を走っているため、のびやかに広がる棚田を一望することができます。本当にパッチワークのようないい眺めです。車を降りるとカエルの大合唱。正面には雪の残る黒姫山。吹き渡る風にもかぐわしい香りが含まれています。田植えの準備でしょうか、水が張られた棚田で、作業をしている人の姿もありました。美しい風景に心が晴れ晴れとしてきます。豪雪に見舞われた中越ですが、確かに春が訪れていました。

カメラマンプロフィール
中井精也  なかい・せいや
 1967年東京生まれ。成蹊大学法学部卒業後、東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ)を経て、鉄道写真家真島満秀氏に師事。
 1996年、個人事務所「レイルマンフォトオフィス」開設。
 2000年、鉄道写真家の山崎友也氏とともに有限会社「レイルマンフォトオフィス」を設立。臨場感のある鉄道写真をライフワークに、雑誌、広告など幅広く活動中。日本写真家協会(JPS)会員。JRPS(日本鉄道写真家協会)事務局長。


2005年6月10日  読売新聞)

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