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“第2の人生”送る、地方私鉄車両を訪ねる旅行が人気北陸で、長野で、秩父で、通勤車両いまも現役大手の鉄道会社で役目を終えた後、今は地方私鉄で走る車両を訪ねる小旅行が人気を集めている。田んぼや山間部といったのどかな風景の中、かつて通勤・通学でおなじみだった車両と再会できる意外性が魅力のようだ。行楽の秋に“第二の人生”を送る地方私鉄の車両を訪ねてみてはいかが――。 趣味は山登りという東京都多摩市の会社員男性(30)は、友人と連れ立って富山県の北アルプス・立山方面へ出かけることがある。この際のもう一つの楽しみが、富山地方鉄道(富山市、電鉄富山〜宇奈月温泉など)に乗ること。京都の実家近くの京阪電気鉄道(大阪市)を走っていた車両と出くわすことがよくあるからだ。車内でテレビを見ることができるので、「テレビカー」の愛称で親しまれた。 「テレビは既に取り外されていますが、各座席の音声スイッチはそのまま。通学で使った時とは違う窓の外の風景を見るのは、不思議な感覚ですね」 地方私鉄は、JRや大手私鉄から車両を譲り受けて使うことが多い。一部を手直ししても、新車を造るよりはるかに費用を抑えられるためだ。 中でも小型の車両は、ホームが短い地方私鉄を中心に引き合いが多い。例えば、京王電鉄(東京)の京王線や井の頭線を走っていた2種類の車両は、北陸鉄道(金沢市、北鉄金沢〜内灘など)、松本電気鉄道(長野県松本市、松本〜新島々(しんしましま))など9社で走っている。 在籍する車両がすべて、大手からの譲り受けという私鉄も。秩父鉄道(埼玉県熊谷市、羽生〜三峰口)の電車69両は、JRと東京都交通局から来た通勤・急行型。中でも6年前まで都営地下鉄三田線で走っていた12両は、ワンマン用に改造した以外はほぼ当時のまま。わざわざ見学に訪れる人もおり、「『三田線は何時発ですか』といった問い合わせが時々あります」(同社営業推進課)という。 これら“第二の人生”を紹介した「譲渡車両今昔」(JTBパブリッシング)という本も刊行されている。編集担当の大野雅弘さんによると、鉄道ファン以外からも「あの電車が、全く別の場所で今も走っていたとは」といった反響が次々届いているという。 最近は通勤型車両のほか、特急型が地方へ移るケースも増えてきた。小田急電鉄(東京)は8月、特急型車両「ロマンスカー」2編成を長野電鉄(長野市、長野〜湯田中など)に譲った。来年秋から運行される。富山地方鉄道では西武鉄道(埼玉県所沢市)を走っていた「レッドアロー」も、特急用として現役だ。 世界の路面電車に関する著書がある科学ジャーナリストの宮田親平さんは「私も通勤で利用していた電車と、旅先で出会って驚いたことがある。オーストラリアのメルボルンを走っていた路面電車が米シアトルへ移るなど、国を越えて移動する例も少なくない。鉄道ファンでなくても再会を楽しめるのでは」と話している。 (2005年9月8日 読売新聞)
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