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観光客急増、荒れる世界遺産…屋久島に入山制限

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登山道を歩いて縄文杉に向かう人たち(9日、鹿児島県屋久島町で)
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11年度から人数・区域指定、罰金も

 環境省と鹿児島県屋久島町は、観光客の急増で環境破壊が進む世界遺産の屋久島で、2011年度から初めての入山制限に踏み切る方針を固めた。

 昨年4月に施行されたエコツーリズム推進法の初適用を目指す。自然公園法とは異なり、地元市町村が立ち入り制限区域を指定できるのが特長で、違反者には30万円以下の罰金が科される。

 屋久島は、推定樹齢7200年ともされる縄文杉や地表を覆うコケなどの自然美や生態系が評価され、1993年、白神山地(青森、秋田)とともに国内初の世界遺産に登録された。

 登録をきっかけに入山者が急増。08年には10万9000人に上り、休日の入山者は1000人前後に達することも珍しくない。特に、し尿の現地埋め立て処分が限界にきている。

 04年、環境省からエコツーリズムのモデル地区に指定された。町、環境省、国有林を管理する林野庁などでエコツー推進協議会を発足させ、ガイド制度や過剰利用対策を議論している。

 今後、1日あたりの入山可能人数などを含めた全体構想を定め、関係省庁の認定を受ける。上限を300人程度にする意見が町などから出ており、日高十七郎・屋久島町長は「世界遺産を守るのは我々の責務」と強調する。

 屋久島のほかには、沖縄・慶良間地域がサンゴ礁保護のため、エコツー推進協で立ち入り制限を検討している。また、自然公園法に基づき、吉野熊野国立公園の一部で入山制限がある。

 国立公園協会(東京)の鹿野久男理事長の話「入山者のマナー徹底や、ガイド同伴を入山の条件にする制度も同時に実現させれば、モデルケースになり得る」

木の根・コケ踏まれトイレ足りず

 樹齢1000年超の屋久杉が茂り、霧に煙る神秘的な島。そんな屋久島のイメージは、激増する観光客のし尿や踏み荒らしのため崩壊寸前だ。

 今月9日午前5時半。小雨降る平日にもかかわらず、登山道の発着点にある荒川口のトイレには、10人の女性の列ができていた。片道11キロに及ぶ縄文杉への登山道にトイレは3か所しかない。登山道を外れて用を足す人が後を絶たない。

 5キロほど先には、ログハウス風のバイオトイレがあるが、「メンテナンス中」の札が下がっていた。男女兼用で、数も2基しかない。大型連休中に利用量が限界を超え、おがくずによるし尿の分解ができなくなり、1か月過ぎても復旧できずにいた。

 植生荒廃も危機的だ。一部に木道もあるが1人分の幅しか確保できないため、観光客はすれ違う際に道をはみ出して歩く。削られた地表に雨水が流れ込み登山道の幅が広がったり浸食されたりする悪循環が続く。

 ようやく到着した縄文杉は、木製デッキの上からしか見物できない。観光客による踏み荒らしで根っこが露出し、遺産登録から3年たった1996年に設置されたが、カメラを手にした人でごった返していた。

 「大きな木の裏でするんだよ」。縄文杉を過ぎて約50メートル辺りで、男性ガイドが女性客3人にトイレットペーパーを手渡していた。3人は、進入禁止のロープをくぐって木の根やコケを踏みながら、原生林に消えた。

 環境省は今季、携帯トイレの普及に取り組んでおり、大型連休中に縄文杉ルートで試験実施もした。ガイドも承知のはずだが、「やむを得ない」とあきらめ顔だった。(地方部 宮沢輝夫)

 エコツーリズム推進法 過剰利用地域の立ち入りを制限して観光資源の保護を図ることで、ブランド力を高め、観光振興との両立を目指す。環境保護意識の高まりを受け、議員立法で成立。罰則もついた。屋久島は霧島屋久国立公園の一部だが、国立・国定公園以外でも適用できる。

2009年6月20日  読売新聞)


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