ベルリン壁崩壊から20年…冷戦の象徴、進む観光地化
【ベルリン=三好範英】冷戦の最前線だった「ベルリンの壁」の崩壊から、9日で20年。
壁はほぼすべて壊されたが、今もいくつかの場所に面影を残す。ベルリンを代表する観光スポットの一つにしようと、壁周辺では再開発が進んでいる。
西ベルリンを155キロ・メートルにわたって取り巻いた壁のうち、現在も残るのはわずか数キロ・メートル。このうち最も長いシュプレー川沿いの1.3キロ・メートルは、崩壊直後に100人余りの世界の画家が圧政や自由を象徴する壁画を描き、「イーストサイドギャラリー」と呼ばれている。
最近は観光バスが次々と横付けされるようになり、10年前に1日約300人だった観光客は、数年前から5000人に急増した。周辺が整備され、旅行業者が観光コースに組み込んだことが大きい。ベルリンへの訪問者数も2007年は約760万人と、10年間で倍増した。
壁画を管理する社団法人「イーストサイドギャラリー」代表のカニ・アラウィさん(54)=写真、三好範英撮影=は1980年にイランから絵の勉強にやってきた元留学生。壁画を描いた一人で、96年に壁を取り壊す話が持ち上がった際、反対運動の先頭に立った。今は市との関係も良好で、20周年に向けて画家仲間と改修作業を行った。「芸術の力で世界に残る(政治的な)壁も壊したい」と語る。
周辺はすっかり様変わりした。壁と川の間にある幅100メートル足らずのスペースは公園になり、レストランもオープンした。資料館を建てる構想もある。壁際にあったポツダム広場一帯は、今はベルリン一の商業地区としてにぎわい、壁を再現した記念碑が観光客を引きつけている。ノルウェーから来たエンゲゼットさん(55)は「20年前に壁崩壊のニュースをテレビで見た時は涙が出た」と壁を見上げながら感慨深そうだった。
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