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    売り方工夫 幅広い世代が愛読

    小説「君の膵臓をたべたい」

    • 荒田さん(右)から出版の経緯について聞く。左は白石さん(東京都千代田区で)
      荒田さん(右)から出版の経緯について聞く。左は白石さん(東京都千代田区で)

     昨年さくねんの本屋大賞たいしょうに入るなど、大きな話題をんだ小説「君の膵臓すいぞうをたべたい」が映画化えいがかされ、28日から東宝系とうほうけいで全国で公開されます。作者の住野すみのよるさんのデビュー作を世に送り出した出版社しゅっぱんしゃ双葉社ふたばしゃ編集へんしゅう営業えいぎょうをそれぞれ担当たんとうしたお二人に、大ヒット作となるまでの道のりについてうかがいました。

     作品ははじめ、作者の住野さんによって小説投稿とうこうサイト「小説家になろう」に掲載けいさいされていました。編集担当たんとう荒田英之あらたひでゆきさん(31)は、べつの作家から「すばらしい作品がっているよ」と教えられ、病気で余命よめいいくばくもない高校生の少女とそのクラスメートの少年の短い交流をえがく物語を一読し、強い印象いんしょうを受けたといいます。

     「最初はホラー小説かと思って読み始めた」という荒田さん。ところが、「実際じっさいはさわやかな青春小説で、会話のテンポもよく、そしてガツンとくる結末けつまつが待っている。このタイトルにかされるとは、とおどろきました」と、初めて読んだときのことをり返りました。

     「この作品は絶対ぜったいに読まれる」と確信した荒田さん。ホラーと誤解ごかいされそうなタイトルの本を、どうやって手に取ってもらうか、営業を担当する白石俊貴しらいしとしきさん(28)とタッグを組んで、売り方を考えたといいます。

     たとえば、販売はんばい現場げんばを知る書店員たちに発売前の作品を読んでもらい、その意見を本作りに反映しました。タイトルが強烈きょうれつなので、おくさず手にとってもらえるよう、あわ色彩しきさいの絵を表紙にしたのもその一つ。こうした努力どりょくが実り、作品のさをみとめてくれたいくつかの大型おおがた書店でキャンペーンなどが行われたり、「いい場所に本をいてもらえたり」(白石さん)。大ヒットは、「物語の力もありますが、書店員の協力きょうりょくがあってこそ」と白石さんは感謝かんしゃの気持ちをわすれません。

    • 「君の膵臓をたべたい」の表紙はさわやかな印象
      「君の膵臓をたべたい」の表紙はさわやかな印象

     2015年に発売された単行本たんこうぼんは、7月中旬までに83万部、4月まつに発売された文庫本ぶんこぼんは95万部が発行されました。ふだん年配の人からのものがほとんどという読者カードが、この作品に関してはわかい読者からも多数とどいており、荒田さんは「はば広い年齢層ねんれいそうに読まれている」と手応てごたえを感じています。特に、活字ばなれがいわれている若い世代からは、「初めて最後さいごまで読み切った」「読書が好きになった」などの反響はんきょうがあり、2人を感激かんげきさせました。

     「作品の力で一人でも多くの人が読書を好きになってくれるなら、それはもしかしたら、作品が売れること自体よりもうれしいこと」と口をそろえる2人から、本への情熱じょうねつを感じました。

     ところで、作者の住野さんは男性だんせいでしょうか。年齢は? 残念ざんねんながら、年齢、性別せいべつは公表しないそう。「作者本人より作品に関心を持ってほしい、というのが作者のねがいです」と荒田さんは話していました。

    映画「君の膵臓をたべたい」= 月川 ( つきかわ ) ( しょう ) 監督 ( かんとく )  28日公開

     他人に関心かんしんを持たず、クラス一地味な高校生の「ぼく」(北村匠海きたむらたくみ)。ある日、クラスの人気者の桜良さくら浜辺美波はまべみなみ)が重い膵臓の病にかかっていることを偶然ぐうぜん知ります。桜良は病気のことを家族以外いがいにはつたえておらず、「僕」は、その秘密ひみつ共有きょうゆうする“仲良なかよし”となります。「死ぬまでにやりたいこと」を実行する桜良にり回されながらも、徐々じょじょに他人に対する考えが変わっていく「僕」。

     映画では、原作にない主人公らの12年後がえがかれ、「現在げんざい」と過去かこ交錯こうさくします。母校の教師きょうしになった「僕」(小栗旬おぐりしゅん)は、桜良と多くの時間をごした図書館が取りこわされるのを前に、蔵書ぞうしょの整理をしながら、桜良との思い出にひたります。一方、桜良の親友だった恭子きょうこ北川景子きたがわけいこ)も、とつぐ日を前に、親友のことを思い出し――。時をえてつながる思いにむねを打たれました。(高2・青柳孝信、中3・山口万由子、中2・西山寿奈、中1・柳田峰雄記者)

    2017年07月31日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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