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    ジュニア記者が様々な施設やスポットを訪問します。

    伝統と創造 若い世代が結ぶ

    映画「君の名は。」にも登場

     大ヒットしたアニメ映画えいが「君の名は。」で、物語の重要じゅうようかぎにぎるアイテムとして登場する組みひも。この日本の伝統工芸品でんとうこうげいひんが、わかい世代を中心に注目を集めています。東京・上野にある老舗しにせの組みひも制作せいさく会社「道明どうみょう」をおとずれ、組みひも作りを体験たいけんしました。

    • 玉に巻かれた糸の束を少しずつ伸ばしながら組みひもを組んでいく
      玉に巻かれた糸の束を少しずつ伸ばしながら組みひもを組んでいく
    • 組みひもの技法を使って作られた蝶ネクタイやアクセサリー
      組みひもの技法を使って作られた蝶ネクタイやアクセサリー

    組みひも作り体験

    1000年以上前の柄

     組みひもは、絹糸きぬいとを組んでひもにしたもの。古くから用いられ、太刀たちを下げたり、お守りをつるしたりと、時代によって用途ようと変化へんかし、現代げんだいでは主に着物の帯締おびじめに使われています。映画「君の名は。」では、組みひもが主人公の男女をむすびつける重要じゅうよう役割やくわりたすほか、女の子が組みひもを組む場面も出てきます。

     「道明」は創業そうぎょう1652年。取材にうかがうと、色とりどりの帯締めがずらりとならべられ、思わずため息がれました。「浅葱あさぎ」「銀鼠ぎんねず」など、日本古来の色の名前が付いた、170をえる単色の帯締めのほか、様々さまざまがらのものがありました。これらはすべて職人しょくにんによる手作業てさぎょうで組まれているそうです。

     社長の道明葵一郎きいちろうさんが、その中の1本を手に取り、「この柄は、奈良なら時代からつたわっているものなんですよ」と教えてくれました。1000年以上も前に考え出された柄が目の前にあると知り、感動かんどうしました。

     道明では、毎月数種類すうしゅるいの柄を考え出したり、組みひもを使ってちょうネクタイやイヤリングなどのアクセサリーなどを作ったりと、新商品の開発も手がけているそうです。「伝統を守りながら、新しいものを生み出し続けないといけないんです」と道明さんは話していました。

    心が落ち着く

     続いて、「奈良組」と呼ばれる組み方に挑戦ちょうせんしました。使ったのは、「丸台まるだい」という、中央にあなの開いた丸い組台です。穴から放射線状ほうしゃせんじょうに12本の絹糸きぬいとたばが出ていて、その先には「たま」とばれる重りがついています。12本の中から2本ずつとり、決まった場所に動かして組んでいきます。

     コツは同じ力加減かげん、リズムで組んでいくことですが、糸を持っていく場所を間違まちがえたり、糸がからまったりと、なかなかうまくできません。れてくると、うまく組めるようになりました。「組んでいると心が落ち着いてきませんか」と道明さん。組み始めてから1時間ほどで、やく20センチの長さになりました。

     組みひもの魅力みりょくを知ってもらおうと、道明では一般向いっぱんけに教室を開いています。最近では、映画を見て関心かんしんを持ったという若い世代の受講者じゅこうしゃえているそうです。道明さんは「映画をきっかけに、組みひものさを、より多くの人に知ってもらえたらうれしいですね」と話していました。

    【取材後記】独特の手触り■手作業の良さ

    ◆高2・荻原彩楓おぎわらあやか記者

     「君の名は。」を見て、実際じっさいに作ってみたいと思った組みひも。慣れてくると、夢中で組んでしまいました。私たちに指導しどうしてくれた道明さんの手の動きには全く無駄むだがなく、リズムが一定で、とても美しかったです。できあがった組みひもは、色合いや独特どくとく手触てざわりがとてもすてきでした。

    ◆高1・青柳孝信あおやぎたかのぶ記者

     取材を通して、長い間受けがれた伝統の奥深おくぶかさと、つねに新しいものを生み出そうとする姿すがたのすばらしさを感じました。不器用ぶきようなので、組むのはむずかしかったのですが、同じものを大量生産たいりょうせいさんすることができる機械きかいとはちがい、思いをめることができる手作業てさぎょうの良さを感じました。

    ◆中2・若尾美紀わかおみき記者

     私たちが体験した「奈良組」は、簡単かんたんな動きをり返すものでしたが、ほかのことを考えたり、手を休めたりすると、組目がみだれてしまいました。心の落ち着きも、まよいも、そのまま組みひもにあらわれるようでした。何色もの糸が丸台の中央ちゅうおうからびていく様子ようすがとても幻想的げんそうてきで、組みひもの魅力みりょくはだで感じることができました。

    (ジュニアプレス取材団(しゅざいだん)、写真=鈴木毅彦(すずきたけひこ)

    2017年03月03日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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