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    ジュニア記者が様々な施設やスポットを訪問します。

    漫画も 洋書も カレーも!

    古書店街ツアー

     東京都千代田区ちよだくが今秋、同区在住ざいじゅう・在学のジュニア記者世代を対象たいしょうに始めた「神保町じんぼうちょうへようこそ! 中高生のための古書店街こしょてんがいツアー」を体験たいけんしました。本のまち・神保町についてのレクチャーを受けた後、個性豊こせいゆたかな古書店がのきつらねる街に出発です!

    • 古書店が並ぶ神保町の街並み
      古書店が並ぶ神保町の街並み

     最初さいしょに私たちが集まったのは、同区立千代田図書館。ここで、同図書館やその周辺しゅうへん情報じょうほう紹介しょうかいしてくれる「図書館コンシェルジュ」の池田陽子いけだようこさんから、神保町について説明せつめいを受けました。

     それによると、神保町の書店は2種類しゅるい大別たいべつできます。一つは、新品の本や雑誌ざっしが売られている新刊しんかん書店。もう一つが、だれかが手放した本や、出版社しゅっぱんしゃ絶版ぜっぱんや品切れになった本をあつかう古書店です。やく160もの古書店が、貴重きちょうな本や巻物まきもの、古地図なども扱っており、「これほど多くの古書店が一つの地域ちいきに集まっているのは世界的にもめずらしい」そう。

     では、なぜそれほど多くの古書店が集まったのでしょう。その歴史れきし明治めいじ時代にさかのぼります。維新いしんで江戸時代の武家屋敷ぶけやしきが立ち退き、そのあとに今の大学の前身となる学校が次々にてられました。学生が集まることで本が必要ひつようとなり、古書店が次々つぎつぎ創業そうぎょうされたのです。

     「今、神保町で最大さいだいの新刊書店・三省堂さんせいどう書店や、出版社の岩波いわなみ書店も、元は古書店として始まったそうです」と、池田さんは話します。古書店街は大正時代の関東大震災かんとうだいしんさいなどを乗り越え、東京大空襲だいくうしゅうでも奇跡的きせきてきけ落ちることなく、現在げんざいまでつづいています。

    • 江戸時代の界隈の絵を見せながら話を聞かせてくれる玉川堂のご主人
      江戸時代の界隈の絵を見せながら話を聞かせてくれる玉川堂のご主人

     神保町の街歩きは、コンシェルジュの山村智星やまむらちせいさんの案内あんないで。古書店が多く集まる靖国やすくに通りで山村さんからクイズが出題されました。「古書店は通りの南がわに立っているでしょうか、それとも北側?」。答えは主に「通りの南側」。古書に日光が当たるのをふせぐため、北側に入り口をもうけて、通りの南側に立っているそうです。

     最初に私たちが足を止めた建物たてものの2階は、洋書専門せんもんの北沢書店。1階が児童書専門の新刊書店「ブックハウスカフェ」になっており、5月にリニューアルしたばかり。かわいらしい内装ないそうですが、「併設へいせつされたカフェは夜はバーに。子どもから大人まで楽しめる店」と山村さんは話します。

     さらに進むと、音楽を専門とする古賀こが書店と、映画えいが演劇えんげき、シナリオなどが専門の矢口やぐち書店がならんで立つ一角に。この2けんは、関東大震災かんとうだいしんさいの後に建てられた「看板建築かんばんけんちく」とばれる洋風の建物。アールデコ調の装飾そうしょくに昔の面影おもかげのこしつつ、今も営業えいぎょうを続けています。

     また、六つの古書店が入った神田古書センターでは、漫画まんが専門の夢野書店にお邪魔じゃましました。店内にはところせましと、私たちの親世代の漫画などが。親子で来ても楽しめそうでした。ビル内にカレーの有名店があり、大変にぎわっていました。

     近現代の文学が専門のけやき書店では、作家直筆のサイン本も多く扱っています。店主は近くの老舗しにせ一誠堂いっせいどう書店で修業しゅぎょうの後、独立どくりつしたという佐古田亮介さこだりょうすけさん。神保町の魅力みりょくについて、「長く続いている店も多く、がさがさしていない、独特どくとく雰囲気ふんいきがあることかなあ」と話してくださいました。

    • ツアーの終点は文具・画材の老舗の文房堂。現在の建物は、大正時代に建てられた社屋の外壁を残しつつ1990年に建て替えられたもの
      ツアーの終点は文具・画材の老舗の文房堂。現在の建物は、大正時代に建てられた社屋の外壁を残しつつ1990年に建て替えられたもの

     今夏まで「本と街の案内所」があった(現在げんざい移転いてん)のは、「十一軒長屋けんながや」とばれる長屋のあと。十一軒長屋は、大正から昭和初期に建てられたとされる木造もくぞう建築です。戦災せんさいなどで多くがうしなわれ、残っているのはわずか3軒だということです。

     ところで、神保町にカレー専門店がたくさんあるのはなぜなのか、山村さんに聞いてみました。「本を読みながら片手かたてで食べられる食べ物として人気になった、など諸説しょせつある」ということでした。

     この界隈かいわいには、ほかにも私たちの興味きょうみを引く店が。あの「南総里見八犬伝なんそうさとみはっけんでん」の作者、滝沢馬琴たきざわばきんが筆を買いに来たという書道用品の玉川堂ぎょくせんどうは江戸後期の1812年、そしてツアーの終点となった文具・画材専門店の文房堂ぶんぽうどうは、明治20年(1887年)創業の老舗。いずれも品ぞろえ、店構みせがまとも堂々どうどうとしていました。

     個性こせいあふれる店の数々と、魅力的な街並まちなみを味わうことのできるこのツアー(要予約)は、来年3月30日まで。問い合わせは、同区読書振興しんこうセンター(03・5211・4288)。

    【取材後記】不思議な魅力 印象が一変

     ◆高2・ 松原彩 まつばらあや 記者

     私の中で古書店は「大人の行く場所」でした。でも、店の方々かたがたの話を聞くうちに古書店ならではの落ち着いた雰囲気を感じ、また行きたいと思うようになりました。

     ◆高1・ 筒井菜々歩 つついななほ 記者

     多くの古書店がある神保町は、1日では回りきれず、いつ行っても新鮮しんせんおどろきがある街だと思います。街の歴史にも魅力があると感じました。また、人から人の手にわたる古書は、人の記憶きおくも宿しているよう。神保町が持つ不思議ふしぎな魅力をツアーで再発見さいはっけんしました。

     ◆中2・ 伊東志穂 いとうしお 記者

     今回の取材で、古書店にも専門分野があり、「個性」があることを知りました。古書店だけでなく、一般いっぱんの新刊本を扱う書店の特徴とくちょうも知れば、書店めぐりがさらに楽しくなりそうです。

     ◆中1・ 河野菜緒 こうのなお 記者

     近くに住んでいながら、古書店には近寄ちかよりがたいイメージがあり、立ち寄ったことがありませんでした。でも、取材で出会った古書店の人たちはみなフレンドリーで話しやすく、これまでのイメージが一変。神保町が身近に感じられるようになりました。

    (ヨミウリ・ジュニアプレス取材団しゅざいだん撮影さつえい飯島啓太いいじまけいた

    2017年12月01日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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